【ネオクラ名車23選】今こそ大人が乗りたい輸入車まとめ|BMW「六本木のカローラ」から空冷ポルシェ911まで
1970年~90年代の輸入ネオクラシック車の魅力を余すことなく紹介。クルマとの出会いや愛着など、文化系男子のクルマ生活のあれこれを聞いてみた。

【ネオクラ名車23選】今こそ大人が乗りたい輸入車まとめ|BMW「六本木のカローラ」から空冷ポルシェ911まで
1970年~90年代の輸入ネオクラシック車の魅力を余すことなく紹介。クルマとの出会いや愛着など、文化系男子のクルマ生活のあれこれを聞いてみた。
「ネオクラシックカー」とは?
1980年代から90年代にかけて製造されたクルマを、主に1960年代から70年代に製造された従来のクラシックカーと区別して「ネオクラシックカー」と呼ぶ。 30代から40代にとっては青春時代の憧れのクルマであり、若い世代にとっては最新のクルマとは異なる、メーカーの姿勢が色濃く反映された個性的なつくりが新鮮に映り、世代を問わず人気を博している。また車種にもよるが「クラシックカー」よりは、まだ現代でも日常使いしやすいものが多いのも魅力的だ。とはいえ昨今では、状態のいい人気の車種は年々価格が高騰している。買うなら今がラストチャンスだ。
ネオクラシック「輸入車」

01. GMC ラリーSTX(1979年式)
ボロボロの状態を自らレストア&カスタム
茨木 一綺さん(Cielbleu. 代表)
アジア市場ではトヨタ・ハイエースが商用バンのロングセラーであるように、アメリカではシボレーやフォードのバンが長年シェアを占めてきた。なかでも、1960年代から90年代中頃まで製造されたシボレー・バンは、“シェビーバン”の愛称で今も世界中のファンに親しまれている。今回登場するのは、その姉妹車としてGMが販売していたラリーワゴンだ。

東北から九州まで、日本全国で行なわれるアウトドアイベントへも愛車で赴く。「アメ車は燃費が悪いと言われますが、6km/ℓくらいは走ります。しっかりメンテナンスすれば快適そのものです」。
GMC ラリーSTX(1979年式)
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02. ボルボ240 GL(1981年式)
帝人ディーラー時代の仕様にこだわった
山田 昭一さん(people showroom 代表)
ひと昔まえのボルボといえば、とにかく四角い見た目が印象的。その世代の代表格として、未だに根強い人気を誇るのが240シリーズだ。1974年から93年まで累計280万台が生産され、先代に続き、ドイツ車とも異なる独自の堅牢性から「ボルボ=頑丈で安全」というパブリックイメージを築き上げたことにも大きく貢献した。近年ではインテリアやライフスタイル雑貨と同様、北欧(スウェーデン)プロダクトという観点からも評価が高まっている。

総合繊維メーカーの帝人とボルボの合弁会社である「帝人ボルボ」が販売していた1986年までの240シリーズは、マニアの間でも人気が高く、今や希少。
ボルボ240 GL(1981年式)
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03. メルセデス・ベンツ230TE(1984年式)
堅牢なメルセデスに一度は乗りたかった
水野遼平さん(スタイリスト/OVERLAPオーナー)
ネオクラ車の魅力はさまざまだけれど、そのひとつにボディカラーを掲げる人も少なくない。今回紹介するのはW123と呼ばれるメルセデス・ベンツのミディアムクラスの中でも、S123型となるワゴン230TE(1984年式)。この時代特有の「チナブルー」が眩しい。黒やシルバーのシャープなボディで街をゆく現行のメルセデスを見慣れた人からすれば、「えっ、これ本当にベンツなの?」と驚きを覚えるだろう。

S123は1976年に登場。その後、同じく名車と名高いS124へと引き継がれる1985年まで製造された。水野さんの個体は’84年製の最終期。「一見、エステートバンのようなカジュアルな見た目と品格を併せ持つところが魅力です」
メルセデス・ベンツ230TE(1984年式)
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04. MERCEDES BENZ 380SL(1985年式)
優雅で質実剛健なグランドツアラー
久木元陸央さん(LES LESTON代表)
主に2ドアのスポーツクーペを「グランドツアラー」と呼ぶことがある。古くは19世紀の英国で、修学を終えた学生が欧州を数年かけて横断する長旅で使う馬車を差す言葉だった。それが時を経て、いつしか長距離移動に向いた居住性と運動性能を備えるクルマに使われるようになった。例えば、今回登場するメルセデス・ベンツのSLクラスは、誰しもが認める欧州のグランドツアラーであり、ラグジュアリースポーツカーだ。
US仕様の三代目SL(R107)に乗る久木元さんは、大阪のビスポークシャツメーカー「レスレストン」を営む二代目。紳士服のみならず、身の回りの洋品をはじめライフスタイルにまつわる物事に一家言をもつ親のもとで育てられた。

サンドベージュの車体に茶色の幌がよく似合う。「幌は少しだけ雨漏りしますが、あまり気になりません」
MERCEDES BENZ 380SL(1985年式)
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05. SAAB 900 Turbo(1986年式)
北欧が生んだ、インテリジェンスあふれる名車
宇佐美直人さん(フォトグラファー)
2016年に惜しまれつつも歴史に幕を下ろしたスウェーデンのサーブは、航空機メーカーとして培ったノウハウと、個性的なスタイリングで多くの人を虜にした。その名を聞いて「懐かしい」と感慨を抱く人も多いはずだ。
サーブは1947年に自動車部門を設立。空力に優れたボディに小排気量エンジンを搭載したモデルを発売するなど、独自のクルマづくりで市場を広げていった。今回紹介する「900シリーズ」は、1978年から93年まで製造された同社を代表する車種。先代の「99」から受け継がれたターボは、出力を稼ぐだけでなく、排ガス規制による出力低下を改善するための役割を兼ねるものとして開発され、当時としては画期的なものだった。
サーブが日本で知られるようになったのも、900シリーズによる功績が大きい。バブル期の日本でも人気を博し、自らも900を愛用した作家の五木寛之氏が広告に登場するなど、どこかインテリジェンスを感じさせる佇まいが魅力だった。そして近年では、濱口竜介監督の映画『ドライブ・マイ・カー』に登場する赤い車として、再び多くの人の目に触れたことが記憶に新しい。
宇佐美さんの900ターボは、通称「絶壁顔」と呼ばれる希少な前期型。この後に「空力顔」と呼ばれる後期型へとフェイスリフトされる。ルーフキャリアは社外品。
SAAB 900 Turbo(1986年式)
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06. フォード エコノライン E-150(1987年式)
キャンプとの相性もいいフルサイズバンの代表格
山口慎也さん(mountain mountain factory 代表/M16 CEO)
アメリカで圧倒的なシェアを誇るフルサイズバンといえば、フォードのエコノラインだ。1961年にフォード・ファルコンエコノラインとしてデビューし、その後、エコノライン、E150とモデルチェンジし、53年目となる2014年、その長い歴史に終止符が打たれた。

車体の全長は535cm。ルーフキャリアには、山口さんの趣味のひとつであるカヌーを余裕で載せることができる。
フォード エコノライン E-150(1987年式)
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07. プジョー505 V6(1988年式)
父が乗り継いだ505が忘れられなかった
岡部 湧さん(会社員)
数々の名車をデザインしてきたイタリアの名門・ピニンファリーナ。今でこそプジョーにピニンの面影はないが、両社は1950年代から2000年代初頭にかけて様々なモデルの開発において関係があった。そして、その多くが名車として今も語り継がれている。
今回登場するプジョー505は、奇をてらわない真っ向からの美しさで勝負した、かつてのプジョー×ピニンファリーナらしいミドルセダンの傑作だ。

フロントからリアへ一直線に抜けるウエストライン。トランクに装着されたリアスポイラーが、ネオクラなムードを漂わせる。ダークブラウンともパープルとも形容できる独特な色味が渋い。
プジョー505 V6(1988年式)
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08. CITROEN AX 14TRS(1989年式)
シトロエンのハイドロ“じゃないほう”の隠れた魅力
加藤史人さん(フォトグラファー)
シトロエンの古い車種は、ハイドロ ニューマティック サスペンションという独自の機構とともに知られることが多い。だがシトロエンの魅力は、通常のコイルサスペンション(バネサス)を用いたモデルにおいてもまったく褪せることがない。例えば小型ハッチバックのAXは、知る人ぞ知るバネサスシトロエンの名作だ。
シトロエンAXは1986年にデビュー。プジョー205や106とプラットフォームを共用した小型車として、98年まで製造された。フォトグラファーである加藤さんが所有するのは、89年式のTRSグレード。加藤さんはAXの魅力を「一にデザイン、二に乗り心地」と話す。確かにシトロエンらしい個性をとどめつつ、小さな5ドアハッチバックのパッケージを美しくまとめている。そしてやはり、この年代のフランス車は、柔らかなシートも相まって乗り心地が格別によく、見た目以上に直進安定性も高い。

「ハイドロでもなく見た目も小さいですが、リアフェンダーアーチのデザインにシトロエンらしさが詰まっています」と加藤さん。
CITROEN AX 14TRS(1989年式)
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09. メルセデス・ベンツ 300GD(1989年式)
洗練さが漂う初期のゲレンデヴァーゲン
干田哲平さん(フォトグラファー)
メルセデス ベンツの「Gクラス」は、今やすっかり日本におけるラグジュアリーカーの代名詞になった。角ばったボディに張り出したフェンダー、大きなホイール。仕様は真っ黒なAMGからラギッドにカジュアルダウンされたものまでさまざまだが、とにかく都内で1kmも歩けば10台はゆうに見つけられる。
「ガチなSUVを街むけに乗る」。これはアウトドアウェアやスポーツウェアを都会のファッションに取り込むこととも近い。かつては本格的なものしかなかったが、今やもとより街で使う用途で普及、人気を得るという構図だ。Gクラスの源流は1979年までさかのぼる。
UOMOでも活躍するフォトグラファーの干田哲平さんのGクラスは、「ゲレンデヴァーゲン」と呼ばれる前期型(W460)。79年から90年まで製造されたW460は、現代のGクラスとは比べ物にならないほど繊細で素っ気ない。でもこの姿こそがオリジン。当時はラグジュアリーSUVなんて分類はあるはずもなく、ゲレンデはNATO軍の軍用車に採用される本格的な四輪駆動車として生まれた。

純正のホイールは「鉄チン」と俗に呼ばれる黒の鉄製。威圧的なストリートマッチョ感はないが、野生味のある男らしさが光る。
メルセデス・ベンツ 300GD(1989年式)
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10. RENAULT EXPRESS GTL(1989年式)
商用車感丸出しの粋な’80sフレンチ
永尾慎一郎さん(公務員)
かねてより、フランスの自動車メーカーは実用車づくりが上手だ。緊張感があってプロダクトとしての完成度が高いドイツ車も魅力的だが、フランスの実用車がもつ“抜け感”には、独特の親しみやすさがある。ルノー・エクスプレスは、そんな肩肘のはらない名脇役といえる。
エクスプレスは、ルノーが生み出した小型車の傑作・サンク(シュペールと呼ばれる2代目)をベースとした商用車として1985年にデビュー。その後に登場したカングーは、商用だけでなく自家用車として使う人も増えているが、エクスプレスは郵便局や生花店が使うれっきとした商用車だった。ゆえに国内はもちろん、本国でも状態が良いものは多く残っていない。今乗れるネオクラシックカーのなかでも、ひときわ珍しい車種のひとつだ。
ベースとなったサンクと比べてホイールベースは長い。荷室が箱状になったいわゆる「フルゴネット」と呼ばれる形が、いかにもネオクラらしい趣だ。
RENAULT EXPRESS GTL(1989年式)
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11. BWM 318i(1990年式)
日本にBMWを知らしめた傑作セダン
中山慶人さん(URBAN RESEARCH プレス)
「駆けぬける歓び」。クルマ好きならずとも、一度はどこかでこの言葉を聞いたことがあるかもしれない。バイエルンのエンジンメーカーとして出発したBMWは、長年このキャッチフレーズとともに、走りの楽しさと実用性を兼ね備えたクルマを世に送り出してきた。
日本でBMWの名前が一躍有名になったのは、1980年代後半から90年代頭にかけてのこと。今回ご紹介する3シリーズセダン(E30型)は、バブル景気の日本において「ベンベー」「六本木のカローラ」などと呼ばれ、人気を博したコンパクトセダンだ。オーナーの中山さんは、今から6年前にライトブルーの318iと出会い、初の愛車として出迎えた。

3シリーズとしては2代目にあたるが、4ドアがラインナップされたのはE30が初。このほかに2ドアも用意されていた。
BWM 318i(1990年式)
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12. VW ゴルフ2 マディソン(1990年式)
ようやく出逢った一台は、色が気に入った限定モデル
澤村尚徳さん(編集者)
フォルクスワーゲンの「ゴルフ」シリーズは、1974年の誕生以来、累計3500万台以上を販売している超人気車種。現在は8代目が販売されているが、編集者の澤村尚徳さんがチョイスしたのは、1983年から1992年の間に製造された2代目の「ゴルフⅡ」。

限定モデルの「マディソン」はボディカラーとシート生地に特別色を採用。ホイールはBBSのもので、ルーフキャリアを後付けしている。
VW ゴルフ2 マディソン(1990年式)
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13. ALFA ROMEO ALFA75 TS(1991年式)
走りにこだわりまくったアルファの純血セダン
小田将大さん(bayfm78 PR)
かつて、アルファロメオの歴史はレースと共にあり、つねに時代の先端をゆく技術力を市販車にも投影していた。若きエンツォ・フェラーリも1920年代にアルファロメオのドライバーであり、のちに彼が自らのマシン(=フェラーリ)でアルファを負かしたとき「私は母親を殺してしまった」と言ったエピソードは有名だ。
1985年に登場した「アルファ75」は、そんな同社の創業75周年にちなんで名づけられたFR(後輪駆動)セダン。だが当時の経営状況は、70年代前半から尾を引く品質低下や、走りを追求するがための高コストな設計で破綻寸前。86年にはフィアットに買収されてしまう。それゆえ、ファンの間では75を「最後の純血アルファ」と評する声も多い。とにかくいい意味でクセが強いのだ。

好みが分かれる尖ったスタイリングは内製によるもの。合理的なセダンをつくるなら、このシェイプはまず思いつかないはず。「トランクが高いハイデッキな格好を際立たせるために、車高オリジナルに近い高めの設定にしています」。
ALFA ROMEO ALFA75 TS(1991年式)
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14. RANGE ROVER(1991年式)
時を経ても色褪せない砂漠のロールス・ロイス
舟山紀之さん(会社員)
ある分野における最上級の製品を「●●のロールス・ロイス」と呼ぶことがあるが、レンジローバーは1970年代のデビュー当時から「砂漠のロールス・ロイス」と称されてきた。おなじ自動車同士という意味において、厳密には冒頭の比喩とは異なるかもしれないが、今日のようなラグジュアリーSUVが存在しなかった当時、初代レンジローバーは抜きん出た高級感と乗り心地のよさで、人々に衝撃を与えた。そんな「クラシックレンジ」と呼ばれる初代は、近年のネオクラシック再評価の波に乗って人気を集めている。

舟山さんのレンジローバーは1991年式。国内導入が始まった初期のモデルだ。92年には、リアの居住性を向上させたロングホイールベース仕様の「バンデンプラ」が加わる
RANGE ROVER(1991年式)
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15. BMW 320i(1994年式)
機能美を極めたモダンBMWの原点
國井優樹さん(会社員)
旧いBMWといえば、バブル期に「六本木のカローラ」と称されたE30の3シリーズが浮かぶが、その後継たるE36も今や立派にネオクラの仲間入り。今回は至極の6気筒エンジンを搭載した「320i」と、オーナーの國井さんに登場いただこう。
1990年にデビューしたE36の3シリーズは、4ドアセダンに2ドアクーペ、カブリオレ、そして新たに3ドアハッチバックのコンパクトが用意された。ちなみに、2ドアのモデルでも大人4人が余裕をもって乗れる実用性を備えている。スポーツモデルの「M3」は92年よりラインナップ。近年では相場も上がり、高値で取引されている。

令和元年までワンオーナーだったという國井さんの個体は、今や貴重なフルオリジナル。購入時の走行距離は9.3万キロ、塗装や樹脂パーツなどの程度も上々だ。
BMW 320i(1994年式)
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16. ジャガーXJS(1995年式)
作り手の思想を取り込みたかった
山崎 晴太郎(アートディレクター、デザイナー)
今から30年以上前の英国車には、紳士が持ち合わせる気骨な精神とジェントルな気質、そして高い運動能力が見事に宿っていた。文化系だが体育会系な一面も持ち合わせている、ギャップ萌えだ。現行のFタイプだって格好よく高性能だけれど、ネオクラ世代のジャガーのような二面性は感じられない。そんな今だからこそ、荘厳なジャガーのグランドツアラーは、ますます見る者を惹きつける。

山崎さんのジャガーは最終期の1995年式(96年に製造終了)。元色はワインレッドメタリックだったが、純正のネイビーに塗り替えてもらった。低いウエストラインと大胆なホイールアーチのバランスが、色気と気高さをあらわしている。
ジャガーXJS(1995年式)
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17. メルセデス・ベンツ E320 ワゴン(1995年式)
気づけば19万km。家族の思い出が詰まった一台
西坂和浩(UOMOエディター)
「最善か無か」。クルマ好きであれば一度は耳にしたことがあるフレーズではないだろうか。メルセデス・ベンツの創始者のひとりであるゴットリーブ・ダイムラーの格言であり、同社の理念でもある。この言葉を最も体現するモデルとして、今回ご紹介するW124を評価する声は今も絶えない。メルセデスが膨大なコストと心血を注いで開発した名車だ。
W123とバトンタッチする形で、1986年にセダンがデビュー。翌年にはクーペとカブリオレ、そして88年にステーションワゴン(厳密にはS124と呼ぶ)がラインナップに加わった。ちなみに、バブル全盛期の東京で「小ベンツ」と呼ばれた190E(W201)も同じく「Eクラス」を名乗っていたが、あちらはコンパクト、そしてこちらがミディアムという住み分けだった。

西坂家が所有するのは最終型の95年式E320。「奇しくも、私が生まれたのと同じ95年2月製。運命というと大袈裟ですが、この縁は大事にしたいなと」
メルセデス・ベンツ E320 ワゴン(1995年式)
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18. ポルシェ911[Type 993](1995年式)
初期のミニマルなフォルムに魅せられた
手嶋 慎さん(Makers デザイナー)
ポルシェが空冷エンジン車の製造を終えてから25年が経とうとしている。近年では水冷エンジンを積んだ初代911(Type996)や初代ボクスターの価値も見直されてきており、「ポルシェといえば空冷」という価値観も揺らぎつつある。そんなトレンドにおいても、もっとも成熟した空冷として人気を博すのがType993(以下993)と呼ばれる最後の空冷911だ。

ポルシェ911は、1964年に先代の356からバトンタッチする形で登場。以降、基本的なプロポーションとRR(リアエンジン、リア駆動)の駆動方式を継承し、現在にいたる。993と呼ばれる4代目は93年に登場。空冷ポルシェの最終系として98年まで製造された。
ポルシェ911[Type 993](1995年式)
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19. シトロエン・エグザンティア ブレーク(1996年式)
ハイドロの極楽な乗り心地から抜け出せない
豊田光信さん(ヘアサロン KATE 代表)
ネオクラなクルマに求める理由のひとつに「今のクルマでは得られないアナログな乗り味」というのがある。それはコストを度外視してつくられた乗用車の滑らかな乗り心地であったり、大衆的な小型車のチープさが逆に味わい深く感じられたりと、人によってさまざま。
フランスが誇る異端、シトロエンはそのどちらにも属さないのだが、オイルと窒素ガスを混ぜたハイドロニューマティックサスペンション(ハイドロ)による柔らかな乗り心地は筆舌に尽くしがたいもので、今もこの複雑なサスを採用していた時代のシトロエンを求めるファンは多い。今回は、そんなシトロエンの“色”をなお残す「エグザンティア」(1993~2001)をご紹介。

「ブレーク」という名前のとおり、豊田さんの個体はレアなワゴンタイプ。多くは5枚ドアのハッチバックセダン。一見地味だが、よくまとまった美しいデザインには、イタリアのカロッツェリア(デザイン会社)・ベルト―ネも関わっている。
シトロエン・エグザンティア ブレーク(1996年式)
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20. アルファロメオ 155 V6 2.5(1997年式)
レースで活躍する姿にひと目惚れ
小嶋克佳さん(ヘアメイクアップアーティスト)
ネオクラ車はどれも個性的だが、なかでも「イタフラ」と呼ばれるラテン系の伊&仏車はひと際クセが強い。今回紹介するアルファロメオ155 V6 2.5(1997年式)もそのひとつ。鋭い顔つきと、前後で高低差の激しい直線的なボディはまさに個性の塊。実用的なプロダクト然としたセダンを求めず、速く情熱的に走ることを追求したアルファロメオの姿勢が窺える。

アルファ75の後継として、1992年から97年まで造られた155は、国営からフィアットの傘下に入った過渡期のアルファロメオを象徴するモデル。駆動方式もFR(後輪駆動)からFF(前輪駆動)に改められた。
アルファロメオ 155 V6 2.5(1997年式)
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21. フィアット・パンダ セレクタ(1999年式)
夫婦でベーシックな機能美に浸る
加藤 秀さん(美容師)
国民車はその性質上、ベーシックなものが多い。が、大量生産を見据え、限られた予算で多くの人に親しまれるパッケージを考える必要があるからこそ、そこには作り手の思想や工夫がいたるところに散りばめられている。
デザインの巨匠、ジョルジェット・ジウジアーロによる直線を多用したコンパクトな外観と合理的なインテリアをもつフィアット・パンダは、1980年代のイタリアを象徴する国民車だった。オイルショックで景気が落ち込んでいたフィアットの社運を賭けたプロジェクトでもあり、ジウジアーロ率いるイタルデザインは、その設計とデザインをすべて任された。

全長は3380mmと小さく、前後の駐車枠の余白から見てもそのコンパクトさがうかがえる。前後に動けないほど窮屈な縦列駐車の光景によくハマる、旧き善きイタリア車といった風情だ。
フィアット・パンダ セレクタ(1999年式)
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22. ジープ チェロキー スポーツ(2001年式)
ホームステイ先で衝撃を受けた小さなアメ車
高橋正典さん(スタイリスト)
1983年にアメリカン・モーターズ(AMC)が発表したジープ・チェロキー(XJ)は、既存のエンジン以外はすべてゼロから開発した新世代のSUVだった。それまでのジープにはなかったコンパクトなボディに4000ccエンジンを積むという斬新なスタイルはヒットを重ね、日本でも90年代に輸入RVとして人気を博した。
「子供の頃からアメリカの映画をたくさん観て育ったので、アメ車に対する憧れは昔からありました」と話すスタイリストの高橋正典さんも、チェロキーに感銘を受けたひとり。

「ファッションがシンプルなので、車のデザインもゴチャゴチャしてないほうが好き」と高橋さん。
ジープ チェロキー スポーツ(2001年式)
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23. ランチア・デルタ HFインテグラーレ 16V
幼少期に憧れた「ラリーのランチア」に乗りたくて
長谷川鉄馬さん(会社員)
2022年にブランドの本格的な復活が発表されたランチア。イタリア・トリノの高級車ブランドであり、古くから先進的な設計思想をもつことでも知られる。1920年代には、モノコック(フレームとボディが一体構造)を採用した「ラムダ」を発売。その後もV型4気筒エンジンや、世界初のV型6気筒エンジンを開発し、60年代には前述のV4エンジンを前輪駆動方式と組み合わせるなど、その“尖りかた”は相当なものだった。
しかし、コストがかさむことで経営は次第に悪化。69年にフィアットの傘下に加わってからは、同社のコンポーネントをベースに高級志向でエレガントなクルマをつくり続けてきた。今回ご紹介する「デルタ」は79年にデビュー。時代はフォルクスワーゲン・ゴルフⅠ(74年デビュー)に代表されるハッチバックが勢いを増しており、デルタもトレンドを牽引した。
デルタといえば、世界ラリー選手権(WRC)での活躍でも有名。WRCは主に安全上の理由で、86年から参戦車両のグループ規定が大幅に見直された。ランチアの活躍ぶりは80年代前半から目覚ましいものがあったが(デルタS4という2ドアミッドシップのモンスターマシンがあったが、今回のクルマとは別モノ)、規定改正後も4WDのデルタを投入し、瞬く間にチャンピオンタイトルを獲得。改良を重ねて、快進撃は90年代前半まで続いた。それと同時に、市販のデルタにも様々なエディションが登場。多くのラリーファンやクルマ好きを虜にした。

車名につく「インテグラーレ」はイタリア語で「完全」を意味する。直線的なデザインは、ゴルフⅠも手がけたジョルジェット・ジウジアーロ率いるイタルデザインによる。
ランチア・デルタ HFインテグラーレ 16V
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おしゃれな大人が乗るネオクラシックなクルマ