2022.01.07

これから乗りたい大人のための「ネオクラシック」な名車図鑑

現代では得られない味わいをもつネオクラの名車はほかにもある。ここでは、王道とハズシ、気になる8台をピックアップ。20台以上もネオクラ車を乗り継ぐ、ライターの遠藤イヅル氏による細かすぎる解説とともにお届け。


これから乗りたい大人のために「気になるこのクルマはアリorナシ?」



今なら100万円あれば安心して乗れる!

BMW 3シリーズ (E36型)

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’80年代と’90年代のいいとこどりな3シリーズ

売っているか?度★★★☆☆維持できるか?度★★★☆☆
普段使いできるか?度★★★★☆価格相場50万~150万円

「3シリーズ」はBMWの中核車種の一つで、激戦区を闘う量販車ゆえに力の入ったモデル。ネオクラシック世代には、バブル期に売れた二代目(E30型)と、後継の三代目(E36型)が該当するが、あえてE36型に注目したい。1990年デビューなので、’80年代的プチレトロな雰囲気と、’90年代的完成度がマッチした内外装のバランスが絶妙。ボディタイプは、セダンのほかに4人が乗れるクーペがある。特に、現行では高価格モデルでしか望めない直6エンジンモデルは魅力。購入後の予備費を含め100万円ほど用意できれば、程度良好の個体が手に入れられる(プレミアのつくM3を除く)。走行を司るパーツに寿命がくるとトラブル不可避なクルマなので、買う際は少々の覚悟と維持費は必要だが、部品供給面ではまだいける。過去の整備履歴を見て、定期メンテ済みの個体を選びたい。


思った以上に壊れない? 買うなら後期モデルを

ジャガー XJ6 (XJ40型)

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古典とモダンが融合した時代のジャガーサルーン

売っているか?度★☆☆☆☆維持できるか?度★★☆☆☆
普段使いできるか?度★★★★☆価格相場40万〜250万円

憧れのジャガーサルーン「XJ」だが、中古車の価格は思った以上に安い。ネオクラなXJ40世代もその例に漏れず、伝統的な英国車の内装をもつ高級車に、さほど高くない金額で乗れるのは魅力。1986年に登場したXJ40型は、旧来のXJシリーズのイメージを残しつつ、モダンなデザインを獲得。品質もより向上した。ただ、 ’94年には販売が終了したこともあり、中古車市場に出回る台数はかなり少ない。購入する場合は、’90年以降の後期型を選ぶと、さらに信頼度がアップする。後期型には、フォード(’89年にジャガーを買収)によるクオリティコントロールが反映されているためだ。なお、普段使い度で星4つとした点については、このクルマに限ったことではないが、あくまでも「整備がきちんとされた個体」であることが前提。過去の修理履歴がしっかりわかっているものを選択したい。


ゴルフⅡ専門店で直せるので安心して乗り続けられる

フォルクスワーゲン・ジェッタ (二代目)

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「ゴルフⅡのセダン」を買うというハズシの美学

売っているか?度★★★☆☆維持できるか?度★★★★★
普段使いできるか?度★★★★☆価格相場100万〜160万円

世界中で愛されているハッチバック「フォルクスワーゲン・ゴルフ」。中でも二代目のゴルフⅡは大人気だ。現代のクルマと比べると、内外装のデザインは明らかにクラシックなのだが、エアコンやパワステを備え、日常でさほど支障なく使うことができる。さらに、そもそもゴルフIIは実用車であること、そして専門店が多くパーツ供給の面で心配が少ないことも、その人気を後押しする。でもゴルフⅡはたくさん走っているし、人とかぶらないクルマがいい…という人には、ハズシとして、ゴルフⅡの後部に箱をつけてセダンにした「ジェッタⅡ」がおすすめ。トランクの広さも圧倒的。こちらもゴルフIIの専門店で購入可能、共通の部品も多いため、それほど維持に困ることもない。ただし実用車の傑作とはいえ、乱雑な運転はせず、メンテナンスをこまめにすることが大事。


整備すれば、日常のアシとして十分乗れる!

フィアット・パンダ (初代)

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シンプルな装備とデザインが魅力の傑作コンパクトカー

売っているか?度★★★★☆維持できるか?度★★★★☆
普段使いできるか?度★★★★★価格相場50万〜200万円

1980年に登場したイタリアの大衆車「フィアット・パンダ」は、コストを下げるために装備は少なく窓ガラスも平面だが、むしろその潔さが魅力。けっして安っぽく見えないのは、名デザイナー・ジウジアーロの手腕だ。発売後、次第に快適装備が増えていったが、基本的にはシンプルな形状のまま2003年頃まで生産された。AT免許で乗れる「セレクタ」があるのもうれしいところ。MTさながらの操作感があるため、ATでは物足りない人にもおすすめだ。日本でも新車時から人気があり、在庫は豊富。ただ、ほとんどの個体が発売から20年以上を経ているため、電装系トラブルの可能性などはゼロではない。特にセレクタを選ぶ場合はCVT(変速機)の状態に注意が必要。しかしパーツの供給は多く比較的維持は容易で、きちんと整備をすれば、日常を楽しく彩る最高のアシとして活躍する。


部品の心配はあれど、国産の安心感は絶大!

日産・セドリック/グロリアバン (Y30型)

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今はなき、おおらかな国産高級商用バンの味わい

売っているか?度★★☆☆☆維持できるか?度★★★☆☆
普段使いできるか?度★★★★☆価格相場60万〜100万円

現在では信じられないが、昭和の国産車の多くにはセダンのほかに商用バンがあり、それが高級車にも存在した。昭和50年代後半の1983年に登場し、’99年まで販売された「セドリック/グロリア(Y30型)」のバンは、その生き残り。Y30型は「昭和のクルマ」と「高級車のバン」を同時に堪能できるのだ。しかも’95年以降のエンジンはV6のみで、おおらかなアメリカ車っぽい雰囲気さえ漂う。中古車では、同車種のワゴンが圧倒的に多いが、あえて装備が省かれたバンに乗るというチョイスも捨てがたい。一般に商用バンは簡素だが、Y30バンはもとが高級車なので、内装の水準も高い。国産車だからパーツが豊富で故障も少ないと思われがちだが、必ずしもさにあらず。ふたを開けてみたら不具合が、というケースも。国産旧車に強いショップで購入&メンテナンスを依頼したい。


程度のいい個体なら安心度は高め。ただし維持費は高額!

メルセデス・ベンツ・ゲレンデヴァーゲン (W460型)

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簡素な内外装に軍用車の名残をもつ初期型Gクラス

売っているか?度★★☆☆☆維持できるか?度★☆☆☆☆
普段使いできるか?度★★★☆☆価格相場350万〜1300万円

世界に冠たる高級SUV「メルセデス・ベンツ Gクラス」。1979年に発売を開始して以来のロングセラーモデルだ。実は登場時のGクラス=ゲレンデヴァーゲンは、クロスカントリー車としての性格が強かった。製造を容易にするための武骨な外観は、もともと軍用車として開発された経緯による。メルセデスらしく内装は上質だったもののデザインは簡素で、現行型のような派手な装飾もいっさいない。そのため、’91年までの初期モデル(W460型)では、本来のゲレンデヴァーゲンらしさが色濃く反映されており、質実剛健さを好むなら、同額で買える高年式車より価値が高まる。購入の際は、ディーラーや詳しいショップで、メンテナンス履歴がわかる個体を探したい。なお電装系のトラブルがよく聞かれ、足まわりの定期交換パーツも多いが、それらの部品は高価。維持費の確保も必要だ。


勇気と覚悟、それなりの維持費が必要!

マセラティ 222/430

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見た目に反した激しい加速と豪奢な内装に惚れ惚れする

売っているか?度★★☆☆☆維持できるか?度★☆☆☆☆
普段使いできるか?度★★☆☆☆価格相場200万~300万円

スーパーカーブーム期には「メラク」なども有名だったマセラティ。1980年代に入り、同社の主力「ビトゥルボ」系は、乗用車然とした外観にV6ツインターボエンジンを押し込み、暴力的な加速&豪奢な内装で人気を博した。見るからにラグジュアリーな現行のマセラティとはイメージが随分と異なるが、だからこそ、危ういギャップをもつ、かつてのマセラティに再注目したい。危ういといえば、ビトゥルボは「電装系はとにかく全部壊れる」とまで称される、伝説的な壊れっぷりも有名。だが弱点をクリアし、しっかり手の入った個体と、信頼できるショップさえ選べば、思ったほどトラブルもなく維持もできる。ビトゥルボ系で流通が比較的多いのは、2ドアの222と4ドアの430。イタリア車の甘美な世界に入るには、覚悟と維持費がそれなりに必要だ。


部品は確保が困難。買う前に信頼できるお店探しから

プジョー 205GTI

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軽量でキビキビ走る! 元祖ホットハッチの代表格

売っているか?度★★☆☆☆維持できるか?度★★★☆☆
普段使いできるか?度★★★★☆価格相場150万〜250万円

かつては、シブいセダンを長年造り続けていたプジョーを、フレッシュで若々しいイメージに変えたのが、1983年デビューの小型ハッチバック「205」である。特にそれを牽引したのが、オーバーフェンダーや赤いストライプを備えたスポーティグレード「GTI」だ。パワーアップされた1.6ℓエンジン(後に1.9ℓにアップ)と、軽量な車体による加速力や、優れたハンドリングが評価され、日本でもヒットに。かつては相当数が流通していたが、日本市場での販売終了から25年以上が経過したため、現在ではかなり貴重な車種になってしまった。トラブルは皆無ではないが、よく整備された個体なら普段使いも可能。ただしその際、稀少なパーツを確保でき、確実に修理を行える専門店を見つけておくことが肝要。1tを切る車重がもたらす軽快さは、現代のクルマが失った本来のホットハッチの味わいだ。



Photos:Kosuke Tamura 
Text:Izuru Endo
Illustration:Izuru Endo

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