2020.09.20

祐真朋樹の密かな買い物 Vol.75 キャバンのチェックジャケット|2020年6・7月合併号掲載

コロナとともに生きる時代がやってきた。首から上はマスクやゴーグルで保護がマスト。でも膝から下は肌を出したい。だって夏だから。ベリーショート丈に挑戦するのもありだけど、日本の夏にはゆるいシルエットの膝下丈が合う。トップスは軽くて柔軟な素材のものをチョイス。インナーにはルーズなTシャツが気分だ。さて、完璧なコロナ防備でお出かけしましょう!

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毎日コロナ情報に振り回され、不安な時間を過ごしている。ドイツのメルケル首相やロシアのプーチン大統領のリーダー然とした力強いスピーチを聞くと感動してしまう。が、今の東京では一体何を信じていいのかわからなくて、情緒不安定になりがちだ。先日も、ガリガリ君を買うつもりでコンビニに入ったのに、真っ先にトイレットペーパーコーナーをのぞいてしま った。もちろん売り切れだったが、気づく とその隣にあったポケットティッシュを3パックもつかんでいた。普段は買ったこと もないのに。不安な心とは厄介なものだ。



長い間、洋服を買い続けているが、これも何か不安を補うためなのかもしれないな、と思った。安心・安全を買うために服を買うわけではないが、僕の場合、服の購入は間違いなく心の安寧につながってくる。もし買わなくなったら、そのときこそ次のフェーズである。それっていつなのだろう。死んでからであってほしいと願う。



春夏に着るジャケットの素材は軽くて薄いものがいい。特に昨今の気候状況を考え ると、シャツのように裏地すらないのがいい。キャバンのチェックジャケットは、トラディショナルな形をしていながらも素材はコットンストレッチ。伸縮性のある素材が適度にボディラインをカバーしつつ、美しいシルエットを生む。堅いトラッドアイテムとはそこが違うのだ。チェック柄は、このほかにブラックウォッチなど2種類あったが、僕はこの紫ベースをチョイス。今回は白Tとチノパンを合わせて、春らしく涼や かに着たかった。



白Tはランズエンドのもの。ここ4年ほど、春夏になると愛用している。ヘインズやヘルスニットに代表される、アメリカン白Tならではの爽やかなDNAを受け継ぎつつ、滑らかな肌触りと生地の厚みが心地よく、ラグジュアリー感を兼ね備えているのがいい。ネックの閉まり具合とボディラインも程よくて、ジャケットを脱いで一枚になっても安心だ。



これに今回もトランクルームから引っ張り出してきたマイ・ヴィンテージのチノパンツを合わせた。おそらく2010年ころの「ts(s) 」のものだったと思う。シワ加減とダブルの裾が靴に重なる表情に味がある。まるで半世紀以上前のアイビーリーグの写真集から飛び出してきたようなディテールだ。そんな白Tとチノパンスタイルに、ストレッチをきかせたモダンシルエットなキャバンのジャケットを合わせる。



足元は、2014年にニューヨークのドーバーストリートマーケットで買ったヴァンズのオールドスクール。薄いシャーベットピンクとパープルのツートーンカラーが春らしい。PEANUTSコラボのため、スヌーピー、チャーリー・ブラウン、そしてルーシーが、小紋柄のようにプリントされている。購入して5年以上が過ぎているが、ハイカットで甲が低いデザインで着脱が面倒なため、一度も履かないままだった。そんなの買うときにわかりそうなものだけど、欲しいと思ったその衝動には勝てませんでした。スケボーはしないけど、履きます。



今回も新しい服と過去に買った新品のスニーカー、そして以前はヘビロテだったが このところ眠っていたチノパンツなど、さまざまなストーリーをもったアイテムを気ままに混ぜ合わせました。ほんの一瞬ではあるけれど、不安な時間から解放され、着る時間を愉しめた気分。さ〜て、そろそろ外出したいな〜。



(左)キャバンのジャケットは、ルーズに着たくていつもよりワンサイズ大きいLサイズ(48)を購入。(中)デルヴォーのバッグは1泊2日の旅やゴルフに行くときに使います。ベルギーを代表する画家、ルネ・マグリットの絵画が内側にあしらわれている。(右)年始に買ったフレッドペリーとコム デ ギャルソン・オム ドゥのコラボポロ。ゴルフ用に買ったが、半袖ゴルフはまだ寒くて未使用。寝かせすぎである。
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Text:Tomoki Sukezane
Illustration:Sara Guindon
Photos:Hisashi Ogawa

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