2019.11.17

祐真朋樹の密かな買い物 Vol.56 ヤンチェ_オンテンバールのコート|2018年11月号掲載

日比谷に「ヤンチェ_オンテンバール」が開店。香取慎吾さんと僕がディレクターを務める店だ。今回は、その店のために作ったコートとパンツ、それにアミのタートルネックセーターを紹介。コートはリバーシブルでパンツはブーツカット。コートの着丈とパンツの裾にこだわりました。ヒールブーツとつり目のサングラスを合わせて、ヌーヴェルヴァーグを意識してみたりして。

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約1年前、「ヤンチェ_オンテンバール」のプロジェクトはスタートした。最初は慎吾ちゃんと僕が「買いたいブランドの服」をセレクトとして展開するイメージだった。が、最終的には、「すべてこの店でしか買えない」「ブランドと一緒に作られた服」が並ぶ店になった。人呼んで“PPPSHOP(パーマネントポップアップショップ)”である。



オープン前日の内覧会では、これまで何度も袖を通し、サンプルチェックしてきた服が並んだ。店内には、これまでのメイキング画像とブランドのイメージ映像が音楽とともにモニターに流された。たくさんの人々の協力があってようやくここまでこぎつけたと思うと、胸にくるものがあった。



来てくれた人々に商品の説明を始めると、僕の頭にはこれまでプロジェクトに関わってくれた人たちとのシーンが走馬燈のように駆け巡り、やる気が300倍くらいに盛り上がった。約7時間の間に、同じことを100回くらい話しまくり、リバーシブルのコートは30回くらい、表裏と着直して見せた。猛烈に忙しかったが楽しかった。シャンパンが用意されていたが口にはせず、ペリエで給水させていただき、商品の説明を繰り返した。長距離ランナーのごとく、久々に燃えた一日であった。



サンヨーコート、マインデニム、ボルサリーノ、ヴァジック、ステアなどのブランドとともに作った商品には、それぞれのストーリーがある。例えば、サンヨーコートは、土台になるヴィンテージコートを僕のトランクルームで探すことから始まった。



「確かあのコートが…」と古い記憶を辿りながら、トランクルームの膨大な洋服の海に突入。そして探しあてた。が、生地違いで2着あったはずなのに、結局1着しか見つからなかった。見つからなかったほうはリバーシブルタイプだったのだが、パターンはまったく同じなので、とりあえず見つけた1着をベースにしようと考えた。



慎吾ちゃんにそのコートをはおってもらうと、「へ〜、今の服みたい。これ、いいかも」となったので、それを持ってサンヨーコートの門をたたいた。そして数カ月の間ミーティングを繰り返し、その中で、「リバーシブル、ライナー付き、丈の長さが調整できる」などなど、いくつかのキーワードを見つけつつ、デザインが完成されていった。



最初から慎吾ちゃんの絵を裏地に使いたいと思っていたので、特別な絵も描いてもらった。絵は2枚完成し、タイトルは「一笑懸命」と「その先へ」。その絵は、各アイテムの裏地やポイントとして使っている。



イラストで僕が着ているのは、「一笑懸命」をウール生地に直接プリントしたもの。表のグレンチェックとのコントラストを愉しんでほしい。例えば、昼間はグレンチェックを着て、夜は「一笑懸命」を表にして飲み歩く、なんてどうでしょう? 



店名の「ヤンチェ_オンテンバール」は慎吾ちゃんのアイデアだ。元はオランダ語で、日本語の「やんちゃ坊主」「お転婆娘」の語源と言われている。日頃から気になることがあると書き留めている慎吾ちゃんが、3つの名前を候補に挙げてくれたが、僕は即座にこの響きに反応した。



みんなに「この先どんな服を作るのですか?」と質問されるのだが、正直、今は空っぽ。とにかく今は僕たちの服を、目いっぱい愉しんでほしいと願うのみ。「世界に一つだけの店」の開店です!



(左)マインデニムとの共作。太うねコーデュロイのブーツカットは、写真の黒とベージュの2色展開。マインデニムのアイコンである二つのスタッズに「ヤンチェ_オンテンバール」の頭文字、JとOがエンボスで入っている。(中)サンヨーコートとの共作。ちらりと見える慎吾ちゃんの「一笑懸命」を表にして着ることも可。(右)アミのタートルネックセーター。真四角のシルエットが特徴。ワンサイズ大きめを着用中。
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Text:Tomoki Sukezane
Illustration:Sara Guindon
Photos:Hisashi Ogawa

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