2023.03.14

『劇光仮面』|ギミック満載のヒーロースーツで本気の特撮マニアが戦う相手とは!?【このマンガの実写化が見たい!|南 信長】

数ある漫画の中から実写にしてほしい作品を紹介する連載。第五回目に取り上げるのは、本気で特撮ヒーローになろうとした人々を描く『劇光仮面』
だ。

『劇光仮面』|ギミック満載のヒーロースーの画像_1

ギミック満載のヒーロースーツで 本気の特撮マニアが戦う相手とは!?

 『シン・ゴジラ』の大ヒット以降、『シン・ウルトラマン』『シン・仮面ライダー』(2023年3月公開予定)と往年の特撮ヒーローが続々リメイクで甦り、『空の大怪獣ラドン 4Kデジタルリマスター版』の上映など、過去作品にもスポットが当たっている。そんな中、本気で特撮ヒーローになろうとした人々を描くのが本作だ。

山口貴由_劇光仮面_小学館
 主人公は、大学時代に特撮美術研究会(略称・特美研)に所属していた実相寺二矢。この名前からしてすでにヤバイ。『ウルトラマン』や『ウルトラセブン』の名監督・実相寺昭雄と日本社会党の浅沼委員長を刺殺した右翼青年・山口二矢の合わせ技。その名のとおりストイックというより狂信的な特撮マニアである。

 特美研の活動のメインは、ヒーローのスーツを自作すること。それも単なる着ぐるみではなく、武器や技のギミックが圧縮空気などによって作動し、特撮の動きを再現するという本格的なものだ。素材も金属や繊維強化プラスチックなどを用い、“実用性”すなわち防御力や攻撃力をもたせる。彼らはそれを「劇光服」と呼び、その危険性ゆえ運用には厳格なルールを設けていた。しかし、ある事件によって実相寺は逮捕、特美研は廃部に追い込まれたのだった。

劇光仮面_山口貴由_ビッグコミックスペリオール連載中
 『覚悟のススメ』の作者だけに、特撮マニアが本物の怪人と戦うことになるSF活劇かと思いきやガチの特撮マニアの物語…と思いきや、新たな展開の気配もあり予断を許さない。が、それより何より感銘を受けるのは、’70年代特撮ヒーローをモデルにした作中のヒーローたちの設定と造形、劇光服に装備されるギミックのアイデアの秀逸さだ。成田、中野、芹沢といった特美研メンバーの名前や、明らかに円谷英二がモデルの一ノ谷萬二特技監督のエピソードも特撮ファンならグッとくるはず。「神は細部に宿る」というが、そうしたディテールの描写が説得力となる。その点は特撮もマンガも同じなのだ。

 初代『ゴジラ』が空襲や核兵器の恐怖のメタファーであることは有名だが、本作においても戦争や原発、いじめへの言及がある。「正義とは何か?」という問いかけも含め、それらすべてを特撮愛に収斂させた野心作。この愛に本職の特撮屋たちが応えなければ噓だろう。ぜひ庵野秀明&樋口真嗣コンビで実写化を!


劇光仮面_山口貴由_表紙

『劇光仮面』
山口貴由 1~2巻/小学館
ビッグコミックスペリオール連載中

主人公・実相寺二矢の過剰な特撮愛が行き着く先は…!? キャラ名や作中ヒーローの設定からレジェンドたちのエピソードまで、特撮ファンにはたまらない魂と情熱のドラマ!



南 信長
マンガ解説者。朝日新聞ほか各雑誌で執筆。著作に『現代マンガの冒険者たち』『マンガの食卓』『1979年の奇跡』など。2015年より手塚治虫文化賞選考委員も務める。


Ⓒ山口貴由/小学館


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