2026年秋の着こなしに合わせたいのは、暖かみのあるブラウンカラーのスニーカー。東京スニーカー氏ことエディターの小澤匡行さんがピックアップした5型なら、落ち着きのあるカラーと洗練されたデザインで、大人の足元を格上げできる。
01:adidas Originals for BILLY’S|HANDBALL SPEZIAL LOAFER
注目のローファーモデルにシボ革を採用した別注
「ちょうどUOMO10月号の連載でハンドボール スペツィアル ローファーについて書いたところ、タイミングよくビリーズから別注が登場するというニュースが飛び込んできました。インラインのアッパーはスムースレザーでクリーンな印象ですが、ビリーズ別注はシボ革を採用していて、より男くさく、革靴ライクな仕上がりです。
特にヴァンプのモカ縫い部分はふっくらと盛り上がっていて、ここに自分の父親が会社に履いていったような革靴を思わせるレトロ感を個人的に感じました。ローファースニーカー自体、現代のアイデアでつくられているし、ツルッとしたインランは少し若々しい感じがしましたが、これは僕のような世代にスッと寄り添うような佇まい。いいところを突いているなと思いました。
アディダスはヒットしているシューズを、文脈を変えてモダンにアレンジすることに長けています。例えばスタンスミスをデコンにしたり薄底仕様にしたり、ハンドボール スペツィアルをローファーにつくり替えたり。しかもベースのモデルのイメージを引き上げるデザインに仕上げている。
ビリーズ別注はブラックアッパーにブラックのスリーストライプスのワントーンもありますが、僕の推しはブラウン×グリーン。クラシックなカントリームードが大人向きだし、チノパンやジーンズといったオーセンティックなボトムに合わせれば、ほどよくトレンド感も演出できそうです」(小澤)
02:PUMA × Graphpaper|H-STREET
注目モデルを大人に響くブラウンのワントーンで
「最近、若年層を中心にプーマの薄底スニーカーを履いている人が増えました。そのブームを牽引しているのがスピードキャットや、その流れで復刻されたこのHーストリートです。プーマの人気はレディース優勢でしたが、この春、ジル サンダーがHーストリートをベースにしたK-ストリートをコラボレーションで発表したことで、メンズにもだいぶ響き始めているようです。
ただ、インラインのHーストリートのラインナップを見ると、配色や素材感がやや若々しい印象です。それをグラフペーパーが手がけると、ヴィンテージライクな質感のナイロンアッパーにヌパックを採用し、トレンド感のあるブラウンのトーナルカラーで大人の男性に似合う一足へと着地させてくれる。
プーマが支持されている理由は“薄底がトレンドだから”というというわけではなく、90年代のプーマにはドライビングシューズや陸上スパイクなど、もともと薄底シルエットが多かったということがポイントです。当時流行していた、足を守るバスケットシューズ的なものよりも、ヨーロッパのブランドらしい感覚で、素足に近い接地感や軽さを実現することを得意としていた。
つまりスピード感を体現する靴づくりに長けていたわけです。その頃のアーカイブが今も新鮮に見えるのは、デザインが本質的に優れていたからで、だからこそ“今プーマ”なのだと思います。グラフペーパーのコラボはとても品がよく、大人が自然に取り入れられる仕上がりです」(小澤)
03:HERMÈS|《Master》
懐かしくもモダンな薄底レザースニーカーの最高峰
「最初にこの《マスター》を見たとき、昔のエルメスのスニーカーっぽいなと、懐かしさを覚えました。実際に初期のモデルをベースにしているそうです。素足に近い感覚の薄底スニーカーがトレンドになったことで、足に気持ちよくフィットする上質なレザーでつくるというのはとても理にかなっていて、その中でもエルメスは最高峰です。
物価高、減量費の高騰、為替の影響などいろいろな要因が複合して、20万円でハイブランドのバッグが買える時代ではなくなりました。その影響もあってか、上質なスニーカーに力を入れるメゾンが増えたように感じています。それこそ、20万円あれば「これはいい」と心底思える一足が買える。
だからバッグの代わりに、ラグジュアリーブランドがしっかりとつくった革のスニーカーを、昔、装飾品としてバッグを持ったような感覚で取り入れるのは“あり”なんじゃないかと。スポーツメーカーとはまったく違う目的や意味で、こういうスニーカーを履く日があってもいいなと思って、僕はメゾンのラインナップを見ています。まぁ、当然スニーカーも昔より高くはなっているのですが。
エルメスの《マスター》は、履き口のライニングなど足にフィットする部分へのつくりこみなど申し分がありません。このしっとりしたヴォー・スープルを眺めていると芸術的で、単なるスニーカーとは思えなくなってくる…。
2000年代に裏原宿で話題になっていたスリップオン型の《ターボ》を、今も大切に持っています。その後《ターボ》に似たスニーカーが市場にいろいろ登場しました。そんな記憶もあって、エルメスのシューズには何か面白い靴がありそうな気がして、毎シーズン、チェックしています」(小澤)
04:MARANT | SENNYH LOW SNEAKER
アクセサリー的なアプローチが活きる新作
「かれこれ10年近く前かな。イザベル マランがメンズラインのマランを立ち上げた当時、パートナーシップを締結していたトゥモローランドが推していて、展示会などでマランのスニーカーをよく目にしていました。今でいうアフォーダブルラグジュアリーという立ち位置で、その頃からクオリティの高いスニーカーを真摯につくっている印象がありました。
その後、意識的に追うことはなかったんですが、先日ショールームで偶然、この『セニー ロー スニーカー』を見かけ、しっかりとラグジュアリーなものづくりをしていることに改めて感心して。ブラウン系のスニーカー、特にスエードアッパーのロープロファイルモデルはトレンドのど真ん中、すごく今の気分でデザインされています。
ガムソールはミリ単位という薄さですが、履いてみるとレザーライニングやインソールのクッション性のおかげで、履き心地は快適。何よりも肉厚で滑り感のあるスエードは高級感があります。どことなくバッグのような佇まいもあり、スニーカーというよりアクセサリー的な発想でつくられているように感じました。ステータス性も含めて、ラグジュアリーブランドが手がけるスニーカーとしての説得力があります」(小澤)
05:New Balance | TF 100
「オジ世代」好みの新型スニーカーがデビュー
「ニューバランスに何か面白いスニーカーがないかとショールームへ足を運んだときに、この『TF 100』に出会いました。初見は革靴の雰囲気をもったウォーキングシューズのようなルックスで、玄人好みなデザインだなと思いましたが、よくよく見ていると、スポーティなムードがちゃんと表現されている。なんか、今までのニューバランスにはない独特のバランス感があるな、と。
990シリーズに比べて複雑なレイヤーやディテールをそぎ落とした構成で、茶色と黒の2トーンも秀逸です。アッパーはメッシュを黒、レザー部分を茶色のコンビネーションにして今っぽく見せつつ、ミッドソールは上下の2層を配色にすることでハイテクなソールユニットを落ち着いた印象に。スタイリッシュでいて『オジ世代』に刺さる一足に仕上がっています。
アッパーはスエードですが、ヒール部分はレザーで切り替えられ、高級感があるのも気に入ったポイントです。こういうディテールがウォーキングシューズっぽいんですが、この上質なクオリティで2万円を切る価格というアンバランスさも魅力。今のファッションに一番合わせやすいシルエットでもあるから、これはかなりお買い得です」(小澤)
「足元ばかり見ていては欲しい靴は見えてこない」が信条。近著に『1995年のエア マックス』(中央公論新書)。スニーカーサイズは28.5㎝。
ビリーズエンター シブヤ TEL:03-5466-2432
グラフペーパー 東京TEL:03-6381-6171
エルメスジャポン TEL: 03-3569-3300
イザベル マラン 青山店 TEL: 03-6427-3443
ニューバランスジャパンお客様相談室 TEL: 0120-85-7120














