HERMÈS|《Master》
懐かしくもモダンな薄底レザースニーカーの最高峰
「最初にこの《マスター》を見たとき、昔のエルメスのスニーカーっぽいなと、懐かしさを覚えました。実際に初期のモデルをベースにしているそうです。素足に近い感覚の薄底スニーカーがトレンドになったことで、足に気持ちよくフィットする上質なレザーでつくるというのはとても理にかなっていて、その中でもエルメスは最高峰です。
物価高、減量費の高騰、為替の影響などいろいろな要因が複合して、20万円でハイブランドのバッグが買える時代ではなくなりました。その影響もあってか、上質なスニーカーに力を入れるメゾンが増えたように感じています。それこそ、20万円あれば「これはいい」と心底思える一足が買える。
だからバッグの代わりに、ラグジュアリーブランドがしっかりとつくった革のスニーカーを、昔、装飾品としてバッグを持ったような感覚で取り入れるのは“あり”なんじゃないかと。スポーツメーカーとはまったく違う目的や意味で、こういうスニーカーを履く日があってもいいなと思って、僕はメゾンのラインナップを見ています。まぁ、当然スニーカーも昔より高くはなっているのですが。
エルメスの《マスター》は、履き口のライニングなど足にフィットする部分へのつくりこみなど申し分がありません。このしっとりしたヴォー・スープルを眺めていると芸術的で、単なるスニーカーとは思えなくなってくる…。
2000年代に裏原宿で話題になっていたスリップオン型の《ターボ》を、今も大切に持っています。その後《ターボ》に似たスニーカーが市場にいろいろ登場しました。そんな記憶もあって、エルメスのシューズには何か面白い靴がありそうな気がして、毎シーズン、チェックしています」(小澤)
2026年春夏の新作として登場した《マスター》は、エルメス初期のレザースニーカー《クイック》を現代的に再解釈した超薄底モデル。アッパーにしなやかなヴォー・スープル(カーフ)を使用し、ステッチでさりげなく「H」のディテールを取り入れた。写真のゴールド(ブラウン系)のほか、ホワイト、ブラックなど多彩なカラーバリエーションをそろえる。
エルメスジャポン TEL: 03-3569-3300
「足元ばかり見ていては欲しい靴は見えてこない」が信条。近著に『1995年のエア マックス』(中央公論新書)。スニーカーサイズは28.5㎝。