プロに聞く、楽器を学ぶうえで大事なこと

Q40歳から楽器をはじめても上達できるんですか?

答えてくれたのは…
松隈ケンタさん/音楽プロデューサー

1979年福岡県生まれ。2005年、avex traxからデビュー。J-POPに本格的なロックを取り入れることに定評があり、BiSやBiSHなど、数多くのアーティストを手がける。著書に『松隈ケンタ流 ロックDTM入門』がある。


A大人のほうが学習の要領を得ているし、上達は早い

 BiSHや豆柴の大群のサウンドプロデューサーとして数々のヒット曲を世に送り出している松隈ケンタさん。自身が代表を務める音楽制作チーム「スクランブルズ」では、音楽スクール「スクランブルズ ミュージックカレッジ」も運営し、30~40代の生徒も多く通っている。

「スクールは東京と福岡にあって、今は200名ほどの生徒さんがいます。約4分の1が30~40代で、中には80代でドラムを始めた方も。なので遅いということはまったくありません! 逆に、若いとインプットも多いから『あれもこれも弾きたい』と気持ちが散漫になりがちです。それが40代になると『ビートルズやサザンが弾きたい』という感じで目標が明確なことが多いので、取り組みやすい。また、ある程度の社会経験を積んでいるから、理論や奏法を習得する要領も得やすいし、自分を客観視できる。大人のほうが意外と上達がスムーズなんです」

 今はYouTubeで楽器を学ぶこともできるが、やはりスクールに通うことのメリットはあると松隈さんは続ける。

「基礎的なことは確かにネットでも学べるんですけど、やっぱりプロの先生が目の前で正解を弾いてくれるのはまったく別モノだと思います。特にギターは目の前で鳴る生音と、レコーディングされた音とでは全然違うので、生音の響きを味わいながら『力加減はこうだよ』と教えてもらったほうが楽しいし、覚えるのも早い。楽器ってスポーツみたいなもので、野球のスイング動画を見たら大体はわかりますけど、プロに目の前で『ヘンなところに力が入っているよ』とか『持ち方はこうだよ』って言われたほうが上達のスピードは早いですよね。その感覚をぜひ実感してもらえたらうれしいです」

INFO
スクランブルズミュージックカレッジ
東京と福岡に拠点をもつ、松隈さん率いる音楽制作チーム、「スクランブルズ」運営の音楽スクール。現役プロ講師陣によるギター、ドラム、ボーカルレッスンをはじめ、実際にメジャー曲を数多く作る環境で学べるDTMコースも人気。TEL:03-6450-9988(代表)


Q練習のモチベーションを維持するには…?

答えてくれたのは…
楓 幸枝さん/ドラマー

バンド、Awesome City Clubでの活動を経て、現在はドラマー、作詞家、文筆業、「創造ストア MitsuHi」店主など活動の幅を広げている。ディスクユニオンHPにてレコードコラム「惑星円盤探査録」を連載中。

A練習を多くの人に見られることで、やる気も出ます!

 プロドラマーとして活動する傍ら、初心者に向けた個人ドラムレッスンを開いている楓幸枝さん。

「『ドラムに興味あるけど、何から始めればいいかわからない』『独学で始めてみたけど、やっぱりプロの人に矯正してもらいたい』といった初心者向けのレッスンとして、昨年から始めました。私自身もソロになり心機一転したので、新しいことを始める人の背中を押したいなと。男女比は半々ほどで、年齢層は小学生から50歳前後までとかなり幅広いです。初回のレッスンを始める前には、ドラムをたたきたいと思った動機や、好きなアーティストなどについてヒアリングをし、それをもとに今後の練習プランを組み立てていきます」

 楓さん自身、17歳のときにドラム教室に通い始め、バンドでメジャーデビューした後も、師と仰ぐドラマーに個人レッスンを受けていた。楓さんは、練習のモチベーションを維持するうえで、多くの人に見られることが大切だと話す。

「目標を目指すことはもちろんですが、私のレッスンでは、ある程度たたけるようになったら演奏中の動画を撮影して、本人の承諾を得てSNSにアップしています。多くの人に見られることで最初は恥ずかしいけど、もっと頑張ろう!という能動的な気持ちになる生徒さんが多いです。楽器は人前で披露することが面白さでもありますから、練習の段階から見られる意識を身につけておくのも上達の近道。年齢に関係なくいつでも始められますし、終わりもないから趣味としてはとてもいいと思います。特にドラムは音が大きく、運動量も多いのでストレス解消にオススメですよ」

楓さんのレッスンは都内のスタジオを借りて開かれる。ドラムセットは設置されているため、スティックのみ持参すればOK!

INFO
楓さんのドラムレッスンは不定期。毎月のスケジュールはnote(https://note.com/kaede_yuki)にて公開しているので、詳細はそちらで確認を!



Photos:Daiki Suzuki 
Text:Masayuki Sawada