ピアノはじめて3年

『ダンシング・クイーン』が弾きたくて…

 週刊誌や実話誌を中心にヤクザ関連の記事を寄稿し、『サカナとヤクザ』『ヤクザと原発』などの著書をもつライターの鈴木智彦さん。今から3年ほど前、校了明けに映画館で『マンマ・ミーア!』を観た鈴木さんは、劇中でアバの『ダンシング・クイーン』が流れた瞬間、ふいに涙があふれ止まらなくなった。そして「自分もピアノでこの曲を弾きたい」と思い立ち、52歳で教室に通い始めた。

「小学生の頃、学芸会でピアノが弾けるやつがすごく格好よく見えて、それ以来ピアノには憧れがあったんです。中学になって始めようとも考えましたが、『幼少期から習ってるやつとの差は埋まらないよな…』と思って諦めました。ただ50歳を越えてから老いを意識するようになり、もう時間がないと焦りも出てきて…やりたいことをやろうと思ったんです」

 個人レッスンは1回30分、月3回で月謝は6000円。ヤクザの抗争事件が勃発すると行けないこともあるが、先生に勧められた電子ピアノを購入し、予習復習を欠かさずに楽しく続けている。

「音符も読めないゼロからのスタートでしたが、先生のおかげで人前で弾けるレベルに。ただ、発表会では異常なまでに緊張してしまって…これまで散々ヤクザに脅しをかけられてきた自分がアガるわけないと思っていたんですが(笑)。ピアノはストレス発散にもオススメです。そりゃプロを目指すなら幼少期から猛特訓ですが(笑)、そうではない楽しみ方だってある。実際、大人になってからの学びは、今までの人生経験で学習のコツをつかんでいることもあっていろいろな気づきがあるんです。だから遅く始めたことに、なんの損もありません。そのことに気づけたのも大きいですね」


仕事で行き詰まると、リフレッシュのために電子ピアノを弾くことも。バッハの曲をきちんと弾けるようになるのが今の目標だという。


『ヤクザときどきピアノ』 CCCメディアハウス ¥1,650
50歳オーバーで、譜面も読めない。それでも、ABBAの「ダンシング・クイーン」をピアノで弾きたい! 52歳でピアノ教室に通い始めた鈴木さんが、発表会で「ダンシング・クイーン」を演奏するまでの1年と少しの挑戦の軌跡。


鈴木智彦さん(55歳/ライター)
1966年北海道生まれ。雑誌・広告カメラマンを経て、ヤクザ専門誌「実話時代」編集部に入る。「実話時代BULL」編集長を務めた後、フリーライターに。



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Photos:Daiki Suzuki 
Stylist:Naoki Sakuyama(Mr.Yashiki)
Text:Masayuki Sawada