ご回答いただいたのはこちらの3人

●福永涼子さん(FPオフィス「あしたば」所属)
●安藤宏和さん(FPオフィス「あしたば」所属)
●平原直樹さん(「ブロードマインド」所属)


Q1

資産運用に興味はあるが情報が多すぎて混乱します

「ネット記事、動画、書籍…つまみ食いでもいいのでひととおり見て全体像をつかみましょう。情報に触れることで質のよしあしも見えてきます。ただし、記事を一つ二つ読んでうのみにしたり一般化しないこと。幅広い人に向けて書かれた情報なので、自分に合うとは限りません。ファイナンシャルプランナーなどの専門家に意見を聞きながら、自分に合ったプランを一緒に考えてもらうことが大切です。最近は無料相談も増えていますが、特定の金融商品のみを取り扱っている場合は注意しましょう。相手も仕事ですから、商品を販売する流れにもっていきたい思惑があるはず」(安藤)


Q2

現在31歳。iDeCoとつみたてNISAしかしていませんが、40歳までに始めておくべき資産運用は?
iDeCo とつみたてNISAが投資初心者におすすめと聞いた。メリット・デメリットを知りたい

「長期戦で老後資金をつくるならiDeCo、数年後のライフイベントで使うかもしれないお金なら自由度の高いつみたてNISAと、目的に応じて使い分けましょう。iDeCoのメリットは強制力が非常に強いこと。60歳までは途中で引き出したり、解約できないので着実に老後資金をつくることができます。デメリットは、住宅ローン控除を受けている人は所得控除のメリットを生かせない場合があることや、死亡時に家族が運用を引き継げないこと。一方のつみたてNISAはいつでも引き出しや解約が可能で、自由度の高さがメリットといえます。デメリットは強制力が弱いために平均保有期間が2〜3年と短いこと。積立投資は長く続けるほど成果につながりますが、目先の評価や感情で決めてしまいがちなので、資産をつくるうえでは簡単にやめられない強制力が必要な場合もあります」(福永)

「『40歳までにiDeCoとつみたてNISAを始めましょう』と伝えることが多いわれわれからすると、すでに両方始めているなんて素晴らしい! どちらも結婚や子育て、マイホーム購入など未来のお金を育てる有効な手段です。もしキャリアプランの中で今後も安定収入が得られる人は、不動産投資も選択肢として考えられます。投資の知識を得たいなら、少額で仮想通貨などを経験してみるのも選択肢の一つです」(安藤)



出典:『一般論はもういいので、私の老後のお金「答え」をください!』(日経BP)


Q3

理想の貯蓄額っていったいどのくらい?
収入のうち、投資に回す割合はどの程度が適正?

理想=年収(額面)の10〜20%を貯蓄に回す!



「極端な話、収入の10~20%を貯蓄できていれば、残りは自由に使っても問題ありません。40歳の平均年収600万円で考えると、毎月20%(10万円)貯蓄できれば理想的ですが、最低でも10%(5万円)はためましょう。月末に残った生活費を貯蓄に回している人も多いですが、最初に貯蓄分を取り分けることが重要です。また、緊急資金として半年~1年分の生活費を確保できていれば、毎月の貯蓄額の5〜8割は投資に回しても支障ないと思います。子どもがいる場合は教育費のための貯蓄も忘れずに。超低金利の現代では預貯金だけでためるより積立投資に回すほうが着実にお金が増える可能性が高まります。緊急資金の備えがないのに投資するのは絶対にNG。積立投資はリスクが少なく堅実とはいえ、短期的なアップダウンはあるので一時的に減る可能性もあります」(福永)

「40歳は会社員としての折り返し地点。定年までに残された時間もそう長くはありません。貯蓄だけでは利息もつかず、必要資金が間に合わないことも考えられるので、緊急資金分が確保できていれば、積極的に投資に回しましょう。フリーランスならiDeCo、会社員なら企業型DC(確定拠出年金)などの非課税制度を活用するのもいいですね」(平原)


Q4

投資先選びのポイントが知りたいです

「年齢や家族構成、収入、貯蓄状況によって異なりますが、いちばん大事なのはアセットアロケーション(資産配分)だといわれます。資産配分とは、個別銘柄でなく、国内外の株式、債券、不動産など投資対象を分散させること。株式投資は、投資した企業が成長することで株式の価値も上がる成長資産。企業や国が運用する債券は、大きな成長は見込めませんが安定した資産です。ビギナーでも投資対象に株式を入れるのがおすすめ。プロである運用会社に任せる投資信託で全世界株型の商品を選べば、広く世界の株式を買うことができます。株式は短期的な変動幅が大きいのでリスクが高いと思われがちですが、長期的な成長が見込める投資なので最低でも10年以上のスパンで長く保有することが重要です。同様に、地域や商品、タイミングを分散させる『分散投資』についても理解しておきましょう」(安藤)


Q5

投資をしたいけどリスクが怖くて一歩踏み出せない
投資で失敗しないためには?

「投資にネガティブなイメージを抱く人は多いですが、漠然としたイメージを理由に実践しないのはもったいない! 興味があればプロに相談したり、セミナーに参加してみてください。毎月一定額でコツコツと口数を買って積みあげていくドルコスト平均法(積立投資)を説明すると、『イメージと違った』と精神的ハードルが下がる人も多いです。まずはつみたてNISAのような自由度の高い積立投資を実践してみて、どうしても合わなければストップできます。手軽なポイント投資でもイメージはつかめると思いますよ」(福永)

「投資で失敗する要因は、すぐにやめてしまうこと。人間は損失を嫌うので、値動きがあるとすぐに『利益を確定させたい』『これ以上損をしたくない』という心理が働きます。一喜一憂せず、寝かせるものだと言い聞かせましょう。10年以上寝かせれば、教育・老後資金としての活用が見込めます。また定年して退職金が入ってきたタイミングで、情報に踊らされて一括投資をした結果、痛い目を見る人も少なくありません。それまでの経験値があれば判断できることなので、経験値と免疫をつけておく意味でも実践は大切です」(安藤)



●ポイント投資…キャッシュレス決済やサービスの利用などで貯まったポイントを使って投資体験ができるサービス。投資信託などの値動きと連動してポイント数が変動する。現金ではないので、万が一損しても自己資産には影響がない。


Q6

55歳でセミリタイアしたい。どれくらい貯蓄があれば安心?

「リタイア時に○○円あれば安心!という世界はありません。物価が上がってお金の価値が下がるインフレリスク、年金水準低下のリスクなどもあります。資格を取得する、スキルを身につけるなど、リタイア後も裁量のもてる範囲で長く細く収入を得られる術をもつことが大切です。自分が長きにわたって働くことも重要ですが、眠っているお金にも投資・運用で働いてもらいましょう。世界各国の株式や債券に投資していれば、長期運用によって4〜5%のリターンも期待できます」(安藤)


Q7

自営業で固定収入やボーナスがない。ライフプランをどう立てたらいいかわからない

1 強制力のあるやり方で積み立てをする
2 投資・運用でお金に働いてもらう
3 就業不能状態など万一に備える

「自営業は定年がないので長く働けるメリットがある一方、退職金も厚生年金もないので自分で資産をつくらなければいけません。また、もし病気になっても傷病手当金は出ず、誰も守ってはくれません。収入のアップダウンはあっても、一定の積み立てと身を守る保障を自ら実践する意識をもつことが重要です。資産づくりは、iDeCoや小規模企業共済のような節税機能があって、すぐに引き出せないもので強制的にためましょう。引き出し時期に制限のないつみたてNISAも活用するといいですね。万一の備えとしては、生命保険や就業不能保険などでしっかりと対策を」(安藤)

【病気で就業不能時にもらえるお金(会社員の場合)】

出典:『大図解 届け出だけでもらえるお金』(プレジデント社)



Interview&Text:Miyuki Kokubu
Illustrations:Yutaka Nakane