2026.09.09
最終更新日:2026.09.09

【出口夏希×蒔田彩珠インタビュー】実写映画『ルックバック』「是枝監督はいつもそうなので」

藤本タツキによる青春マンガ「ルックバック」が、『万引き家族』『怪物』の是枝裕和監督によって実写映画化された。藤野役を演じた出口夏希と、京本役を演じた蒔田彩珠が語る、作品のこと、監督のこと、夢中になったこと。

出口夏希×蒔田彩珠

ちゃんと世界観に入り込めるかな

――出演が決まったとき、どんなことを思いましたか?

出口 是枝監督の作品に参加させていただくのは『舞妓さんちのまかないさん』以来4年ぶりだったので、またご一緒できるうれしさと、やっぱり不安がありました。


――不安というのは?

出口 原作がすごく人気で、その実写化だから、ちゃんと世界観に入り込めるかなって。

出口夏希
ベスト・シャツ・パンツ/すべてMSGM(アオイ)

蒔田 私も不安でしたね。お話をいただいたのが、劇場アニメ版の『ルックバック』が公開された直後だったというのもあって。

出口 本当に直後だよね。決まってからアニメ版を観に行ったんですけど、全然集中できませんでした(笑)。

蒔田 わかる(笑)。

出口 みんながすごいと言っているのは知っていたので、それを実感したかったんですけど、もう違うところに集中しちゃって。

蒔田 うん。違う目線で観ちゃうよね。でも、どういう感じで実写化されるのか想像できなかったけど、是枝監督だから大丈夫だろう、という安心感はあったかな。

ルックバック

――撮影が始まってからはどうでした?

蒔田 始まったらもう覚悟を決めます。藤野と京本の子供時代を演じる七瀬ふうりちゃんと岡田六花ちゃんの撮影は先に始まっていたので、ふたりの分の思いも背負って頑張らないとなって思ってやっていました。

蒔田彩珠
ブルゾン・ニット・パンツ/すべてKANAKO SAKAI (カナコサカイ)

――藤野と京本の子供時代を演じた七瀬ふうりさんと岡田六花さんのお芝居もとても素晴らしかったです。

出口 ほんとすごくよかったですよね。試写で観たとき、泣きそうになりました。

蒔田 ね。出てきただけで泣きそうになった。私たち、二人のオーディションに立ち会っているんですけど、そのときから明らかにすごく成長しているので、ほんとビックリしました。

出口 感動するよね。ふうりちゃんはこれが初めてのお芝居だと言っていたのに、堂々としていて。ふうりちゃんが雨の中を走るシーンはすごくよかった。

ルックバック 2

蒔田 ふうりちゃんと夏希は普段の感じもすごく似ているよね。

出口 何か姿勢というか、立ち方も似ているんだよね。是枝監督にも「出口さんとそっくりだよ」と言われた。でも六花ちゃんと彩珠もそっくりだよ。

蒔田 そっくりだよね。性格もたぶん私みたいになると思う(笑)。

出口 六花ちゃんの京本もすごくよかったよね。

蒔田 六花ちゃんが初めて登場するシーンがかわいすぎて。夏希と二人で試写を観て、出てきた瞬間に顔を見合わせたよね。あと、方言が上手。

出口 上手だったね!

蒔田 私が最初に是枝監督の作品に出演したのも六花ちゃんと同じくらいのときなんだけど、そのとき台本をもらってないんだよね。六花ちゃんは台本をもらったと言っていて、何か悔しかった(笑)。

ルックバック 3

もっと早く相談しに行けばよかった

――是枝監督とのやり取りで、特に印象に残っていることはありますか?

出口 現場に入る前に、不安過ぎて、監督に会いに行って、「どうしたらいいのかわからないんです」と相談に行きました。そうしたら監督が「僕は出口さんの藤野を撮りたいから、出口さんらしくやって大丈夫だよ」とおっしゃってくれて。そのひと言ですごく気持ちがラクになりました。もっと早く相談しに行けばよかった(笑)。

蒔田 監督とはあんまり役についてとかの話はしなかったですね。現場ではわりと任せていただけるので。

出口 本当に自由だったよね。何も言われないので最初は大丈夫なのかなぁ、って。

蒔田 ね。これでいいのかな… みたいな。ちょっと不安になるくらい演出がなかったです。でも、是枝監督はいつもそうなので。夏希ともすごくいい空気感が自然とできていたから、始まってしまえばあんまり悩むことはなかった気がします。

出口夏希×蒔田彩珠 2

――お二人が演じた藤野と京本は、それぞれどういうキャラクターだと捉えていました?

出口 藤野は負けず嫌いな性格で、それを隠して大人ぶっているところとか、すごくかわいいなと思います。

蒔田 京本は達観しているところがいいですよね。藤野ちゃんがこういう感じなら自分はこういよう、みたいな冷静さがすごく大人だなと感じました。自分にはできないと思います。


――共通点を感じるところはありました?

出口 私も素直に言えないところがあります。親しい人にかぎって言えないところは似ているかも。

蒔田 信頼している人に自分の身をすべて捧げてついていっちゃうのはすごく共感します。その人の言っていることがすべて正しいと思っちゃうタイプです、私も(笑)。

ルックバック 4

――撮影の日々を振り返って、今でも最も鮮烈に思い出される景色や出来事は何ですか?

出口 雪の中をコンビニまで歩いて行くシーンがとにかく大変でした。膝まで埋まるぐらいの深さで、全然歩けなくて。

蒔田 これ、クランクインの日なんだよね。

出口 そう。「初日から!」と思いました(笑)。

蒔田 コンビニまで遠くて、けっこう歩いたよね。

出口 二人で「きつい」「もうダメ」と言いながら歩いてて、けっこう歩いたので、音声も届いてないだろうと思ってたけど、「全部聞こえてたよ」と言われました(笑)。

ルックバック 5

蒔田 私は電車のシーンとかすごく好きですね。朝から夕方までずっと電車に乗って、楽しかった。あとは、やっぱり藤野の飛び蹴りのシーンですかね。

出口 あのシーン、実は大変だったんだ。

蒔田 本当にいい飛び蹴りでかっこよかった。

出口 ありがとう(笑)。

泥団子もかわいいよ

――お芝居の楽しさ、あるいは難しさってどういうときに感じますか?

蒔田 やっぱりすごく納得のいくお芝居ができたときは楽しいなと思うし、やってよかったと思いますけど、なかなかすべてのシーンがそうじゃないところが難しいところですね。

蒔田彩珠 2

――今回の『ルックバック』で、やってよかったと思えたシーンはどこでした?

蒔田 藤野と京本が別々の道に進んで行くことになるシーンは演じていてすごく充実していましたし、完成した映像を観てもすごくよかったですね。

出口 あのシーンは私も大好き。撮影中は楽しいだけではないけれど、出来上がったものを評価してもらったときはやっぱりうれしいです。そのうれしさがあるから続いているのかな。

出口夏希 2

――それこそ逃げ出したくなるようなときってあるんですか?

出口 ありますね。

蒔田 クランクインする前は毎回そんな感じです。

出口 インする前日は寝られないし。

蒔田 だよね。怖くて寝られない。

出口 彩珠もそうなんだ。

蒔田 そうだよ。セリフが飛んだらどうしようとか、NGを出したらどうしようとか考え出したら眠れなくなる。

出口 セリフを間違えると引きずってしまうよね。

蒔田 うん。3日は引きずる。

ルックバック 6

――では、最後の質問です。藤野と京本にとっての漫画みたいに、お二人が子供の頃に夢中になったものは何ですか?

出口 小学校のときはどれだけ泥団子をピカピカにするかに夢中でしたね。雨の日もやってました。

蒔田 わんぱくだね。

出口 滑り台の下でずっと泥団子を磨いて。汚れるから、家に帰ったらさーっとお風呂の中で洗って、お母さんに怒られないようにしてました。

蒔田 私はジブリが大好きで、金曜ロードショーで放送されたものを録画して、本当に毎日のように観てました。『耳をすませば』と『風の谷のナウシカ』と『天空の城ラピュタ』が特に好きでしたね。

出口 えー、ちょっと待って。私、泥団子やめようかな。差があり過ぎでしょ(笑)。

蒔田 ごめん(笑)。でも、泥団子もかわいいよ。

出口夏希×蒔田彩珠 3
俳優、モデル
出口夏希

2001年生まれ。『ミスセブンティーン2018』に選ばれ、現在は『non-no』専属モデル、俳優として雑誌、映画、CMと幅広く活動中。近年の出演作に、Netflixドラマ『舞妓さんちのまかないさん』(2023年)、映画『赤羽骨子のボディガード』(2024年)、映画『か「」く「」し「」ご「」と「』(2025年)、『万事快調<オール・グリーンズ>』(2026年)、ドラマでは『サバ缶、宇宙へ行く』(2026年)などがある。

俳優
蒔田彩珠

2002年生まれ。是枝裕和監督作品には、『ゴーイングマイホーム』(2012年)、『海よりもまだ深く』(2016年)、『三度目の殺人』(2017年)、『万引き家族』(2018年)、『舞妓さんちのまかないさん』(2023年)など数多く出演。近年の出演作に、映画『ハピネス』(2024年)、『消滅世界』(2025年)、『キングダム 魂の決戦』(2026年)など。公開待機作に『BYE BYE LOVE 探偵はBARにいる』(2026年12月25日公開予定)がある。

実写映画『ルックバック』
9月11日より全国公開

『ルックバック』

原作:藤本タツキ『ルックバック』(集英社ジャンプコミックス刊)
監督・脚本・編集:是枝裕和
配給:K2 Pictures

キャスト:出口夏希 蒔田彩珠 七瀬ふうり 岡田六花 野呂佳代 池田良 佐々木みゆ 山田真歩 宮藤官九郎 菅田将暉ほか

自信家な小学4年生の藤野は、学年新聞に4コママンガを掲載し、クラスメイトたちから絶賛されていた。しかし、ある日、隣に掲載された不登校の同級生・京本のマンガを目にし、その圧倒的な画力に打ちのめされる。それ以来、藤野は絵が上手くなりたい一心で描き続けるが、その差は埋まらず一度はマンガを諦めてしまう。ところが卒業式の日、京本の家へ卒業証書を届けに行った藤野は、京本が自分のマンガのファンだったことを知る。ひたむきな思いで結ばれた二人は、一緒にマンガを描き始める。かけがえのない時間を積み重ねていく藤野と京本。しかし、そんな二人の日々を大きく揺るがす出来事が起きる――。

©藤本タツキ/集英社 ©2026 K2Pictures・集英社

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