パルクールを通した
最先端の手描きアニメーション!

バブル

 歴史上、実写映画が先に誕生しているため、アニメの映像表現は実写の後を追いかけてきていました。しかし、押井守監督のアニメ映画『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊』が、『マトリックス』に明確に影響を与えているように、アニメが実写を追い越し、映像の新しい地平を切り開く瞬間が、ここ30年で数多く見られました。この作品は、その最先端です。



 本作の舞台となるのは、世界中に降り注いだ泡(バブル)によって、重力がなくなってしまった東京。ライフラインが断たれた街で家族を失った若者たちは、重力から解き放たれ、生活物資をかけてビルからビルへ飛び移るパルクールのチームバトル“バトルクール”に明け暮れています。主人公は、とあるバトルクールチームのエース・ヒビキ。そんなヒビキがある日、不思議な力をもつ少女・ウタと出会うことで物語は動きだし、大きな真実へとつながっていきます。



 ある意味シンプルなストーリーですが、この作品の眼目は、まだ人類が見たことがない映像表現にあります。『進撃の巨人』で立体機動装置を描き切った荒木哲郎監督が今回取り組んだのが、全編を彩るパルクール! YouTubeなどで一般的になったこの軽業が、彼の手によってまったく新しいアニメに仕上げられています!



 どんな小型で機動性があるカメラでも、宙を舞う山手線の中を自由に飛び回る人物の後を追いかけていくことはできませんが、アニメならロンダートの間をカメラが縫うように追いかけていくこともできます。さらにこれらがすべて手描き! 正確なぶん面白みに欠けがちなCGには出せない躍動感がアニメ制作会社「WIT STUDIO」のアニメーターによって加えられ、実写を凌駕する作品が誕生しています。



 荒木さんが公式サイトで「自分のお馴染みの皆さんと、一番得意なことを存分にやりました」とコメントしているように、キャラクターデザインも、音楽も、作品の躍動感をさらに加速させるファクターとして機能しています。アニメだけではなく、実写、特撮、CGを含めたすべての映像表現の最先端が、ここにあります。


『バブル』
監督/荒木哲郎
脚本/虚淵玄
キャラクターデザイン原案/小畑健
音楽/澤野弘之
企画/川村元気 

『バブル』は、5月13日(金)より全国劇場公開予定のアニメ映画。また劇場公開に先行して、Netflixにて4月28日(木)から全世界配信予定。監督は荒木哲郎、キャストは志尊淳、りりあ。、宮野真守、梶裕貴、広瀬アリスほか。


吉田尚記
ニッポン放送アナウンサー。アニメやマンガ、アイドルに造詣が深く、「マンガ大賞」の発起人でもある。VTuberとしての顔ももち、アナウンサーの枠を超えて活躍中。



Text:Yoshito Tanaka

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