木下古栗 (きのしたふるくり)

小説家。1981年生まれ。著書に『生成不純文学』『人間界の諸相』『サピエンス前戯 長編小説集』など多数。木下氏の短編「大量絶滅」が収録された『真藤順丈リクエスト! 絶滅のアンソロジー』が発売中。


まんべろ


 読者の皆さん、おはよんにちんわ~! 珍フルエンサーの栗美です。今月のテーマは…?

春は、まんべろ。
酔う酔う赤くなりゆく栗美、美酒を含みて、
小豆甘く煮たる餡の、饅頭ぱくつきたる。


 とゆーわけで令和の清少納言と化した私が向かったのは銀座のバー、ロックフィッシュ。店主の間口さんはお酒のプロっていうだけじゃなくて、つまみの本を何冊も出されてるほどの、酒と食の仲立ち人。そこで今回、まんべろ=饅頭をつまみに飲酒っていう企画を引っさげ、色々な饅頭に合うお酒のペアリングをお願いしたら、快諾してくださったの。かたじけなし~。


1六本木麻布青野総本舗のさくら満寿×XYZ。2たねやの花饅頭×ブランデーエッグノッグ。


01 まずはお花見代わりに、六本木麻布青野総本舗のさくら満寿をパクッ。満寿って表記がお洒落。

間口さん:しっとりとした質感と春らしさを感じる桜の香りには、ラムベースのカクテル「XYZ」を。オレンジリキュールの爽やかな香りと軽やかなビター感が桜の塩漬けの風味と良く合います。春の風を感じる組み合わせです。
栗美:満寿は皮がモチッとしてちょっとお団子みたい。餡もなめらかで溶けるよう。さらに桜の香りとカクテルの柑橘系の爽やかさ、塩漬け桜花の塩っ気とオレンジリキュールのビター感が見事に通じ合って、これはいと美味し~。



02 もお花見代わりに、たねやの花饅頭をパクッ。たねやは栗系の和菓子も有名で、私も秋になると時々、共食いしに買いに行くの。

間口さん:ホットケーキや蜂蜜のような甘い香りが漂う饅頭にブランデーベースのカクテル「ブランデーエッグノッグ」を。お好みで温かいミルクで割るのも良いです。
栗美:皮が乳菓生地、中も黄味餡なので、ミルク割り卵黄入りのカクテルがまさにぴったり。子供の頃のおやつみたいな美味しさ。ブランデーとラム酒によって後味が大人びるので、甘さが良い具合に中和されるのも、いい感じ~。


3たねやのよもぎ饅頭×ミントミルク割り。4五十鈴の神楽坂饅頭(小倉)×カシスリキュール(ルジュ)


03 お次のもたねやの、よもぎ饅頭をパクッ。

間口さん:お勧めは「ミントミルク割り」です。お酒はペパーミントリキュール「GET27」を。よもぎの香りとミントの爽やかさを柔らかめに合わせてみました。
栗美:たしかに饅頭のよもぎの風味と、カクテルのミントの青さが合う。饅頭にミルク割りのカクテルはあんパンと牛乳に似て、黄金の組み合わせかも。ミントの後味が甘さをリフレッシュして、もう一口パクッといきたくなる~。



04 続けては神楽坂の名店、五十鈴の神楽坂饅頭(小倉)をパクッ。皮がパイ生地、中の餡はレーズン入りで、ちょっと洋菓子風なの。

間口さん:風味の良く優しい味わいの粒あんに干しぶどうの風味が奥深くに潜む、シンプルに見えて実は複雑な調和をもつ饅頭です。なめらかな質感のカシスリキュールでより引き立ててみました。ストレートや水割りで香りや質感の同調を楽しめます。
栗美:いと上品な餡がまず美味し。その中にレーズンがじわりと存在感。カシスの果実味がレーズンとつながる一方、交互に口に含むことで、甘酸っぱさがアクセントにもなる~。


5五十鈴の小栗饅頭×カナディアンウイスキー。6にしき堂のもみじ饅頭と専用の紅甘萬。


05 は同じ五十鈴の、小栗饅頭。見た目がいとうつくし。共食いになっちゃうけど、パクッ。

間口さん:薄く香ばしい風味の皮に包まれた柔らかな味わいの饅頭には、ぜひカナディアンウイスキーのストレートを。個人的には「ゴールドタッセル」を推します。どちらもクラシカルな風味。侘び寂びを感じる組み合わせです。
栗美:栗の風味、質感を活かした餡がこれもいと美味し…。上品ながら甘みがしっかりしているので、ストレートのウイスキーは王道のお供。さらに皮の香ばしさの名残が、口の中でふくらむウイスキーの香りに加わる。これは正直、栗だから秋に向いてるかも。秋は栗饅頭。ウイスキーを合わせてもあはれなり。



06 そしてラストのは広島のにしき堂の、もみじ饅頭をパクッ。これだけは別途入手した、もみじ饅頭のための純米酒(!)、紅甘萬を合わせてまんべろ。間口さんにも感想を伺ってみた。

間口さん:もみじ饅頭の香りや味わいを活かす日本酒です。ふんわりとした質感、決して強すぎることのない味わいは、もみじ饅頭と溶け合って心地よい味わいを演出します。
栗美:もみじ饅頭は餡がしっとりしてて、皮がパサつかなくて美味し。こんな優しい味の日本酒は初めてだけど、たしかに皮のふんわり感とシームレスに飲める。つまみじゃなくて、もみじ饅頭があくまでメインになるお酒ね~。



 そんなこんなで饅頭をぱくつきながら、べろべろに酔いしれた結果、全裸で銀ぶらをして今、留置場にいるの…。飲み過ぎ、わろし…。
 せんべろも楽しいけど、まんべろも乙なので是非やってみてね。そして心の中でいいね&フォローよろしく。合言葉は#Oh珍々!


「ロックフィッシュ」
東京都中央区銀座7-3-13 7階
TEL:03-5537-6900
営業時間:15時~22時30分、土・日曜・祝日14時~18時

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