青春のやり直しの果てに
辿り着いたオードリーの父性

 テレビ東京の日曜深夜は、「坂道シリーズ」と呼ばれるアイドル番組がひしめき合っている。手がけるのは、「内村プロデュース」「『ぷっ』すま」「グータンヌーボ」「きらきらアフロ」など、時代を代表するバラエティ番組を数々作り上げてきたプロダクションのケイマックス。であるから、坂道シリーズの冠番組もまた、アイドル番組の皮をかぶった本格バラエティなのだ。その中でも最もディープな時間帯でお笑い色を放っているのがオードリー×日向坂46という布陣の「日向坂で会いましょう」である。



 大喜利・シチュエーションコント・身体を張ったハードなロケなど、果敢に“笑い”に挑戦するメンバーの魅力を堪能できるというのが大前提なのだが、リニューアル前の「ひらがな推し」から数えて4年目を迎えるこの番組は、オードリーという芸人の成長が刻まれたドキュメンタリーとしても楽しめる。かつてのオードリー若林と言えば「人見知り芸人」であり「女の子苦手芸人」、実は相方の春日もまた若林以上に人見知り。メンバーと目を合わせられない、カメラが回らないとしゃべらないなど、スタート当初には二人の人見知り性が大いに発揮されていた。「公式お兄ちゃん」というよりも、「緊張してうまくしゃべることができないクラスメイト」といった雰囲気。まるで“青春のやり直し”とでもいうようなフィーリングが番組に甘酸っぱいみずみずしさを与えていた。しかし、年月を重ねるごとに、オードリーとメンバー間に魂の結びつきのようなものが生まれ、その関係性は変化を遂げている。若林が他番組にて、こんな発言を残していた。



絶対無理じゃん
一回の放送で全員がシュートを打てるなんて
だから、ほんとに一人か二人だけど、諦めている人もいるよね
(中略)
それが紆余曲折するの
「あの子とあの子、諦めてるなあ」って思ってたら半年後くらいにガヤを頑張り始めたりするの
(それを見て)年とってるから泣きそうになるの
2022年3月9日放送「あちこちオードリー」より



 時の流れの中で、若林・春日はともに娘をもつパパとなった。遅れてきた青春時代に別れを告げた二人の“まなざし”には、大いなる父性が宿っている。そのことに胸が熱くなってしまうのだ。


「日向坂で会いましょう」
テレビ東京にて毎週日曜25時5分から放送中。
出演:オードリー(若林正恭、春日俊彰)、日向坂46

日向坂46の特性「ハッピーオーラ」を武器に見ている人たちを笑顔に変えるバラエティ番組。トップアイドルへと成長するため、さまざまなことに挑戦!
©️テレビ東京



ヒコ
人気ブログ「青春ゾンビ」で、ドラマ、映画、お笑いなどのポップカルチャーのレビューを執筆。「10代の頃の自分が読んでも嫌な気持ちにならない文章を書く」ことが信条。


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