ドイツが生んだエポックメイキングな小型車「フォルクスワーゲン ゴルフ」に、スポーツグレードの「GTI」が登場してから50年。愛知県にあるフォルクスワーゲン グループ ジャパンの豊橋本社では、6月13日に50周年を祝うオーナーズイベント「GTI FAN FEST 2026」が開催された。同時に、普段は見ることができない豊橋センター内部も一部公開。そんな記念すべき一日をリポートする。
応募数は2600台超え!
「GTI」とは「Grand Turismo Injection」の略。「I」は燃料噴射装置を意味するインジェクションであるとして、「GT」は正当な解釈で捉えれば「グランドツーリング≒大陸周遊旅行」となる。しかしいっぽうで、時代が生んだスポーティなニュアンスの「GT」というのもあって、かつてはその2文字を冠して、走ることが好きな若者たちの心を揺さぶる名車が多く存在した。実際にWRCなどのラリーやレースにおいても、小さな体躯と機動力をもって活躍したゴルフGTIの場合は、後者のイメージがしっくりくる。
しかし、その多くはクーペだった。今でこそ、小排気量で経済的なハッチバックをスポーティに仕立てることは一般的だが、1970年代当時に「ホットハッチ」と呼ばれる新しいジャンルの出現は、衝撃をもって迎えられたのだ。当初、ゴルフ1のGTIは5000台限定で計画されていたが、想像を超える反響を得たことで生産台数を増大。以降も定番となった。その後も「ポロ」や「ルポ」「up!」といったコンパクトハッチに「GTI」のグレードが加わることになる。
今回の「GTI FAN FEST 2026」には、一般公募によって230台のフォルクスワーゲン車が無料招待された。実際の応募は2600台を超えていたというから、この時点からフォルクスワーゲンファンの熱気と、オフィシャルイベントへの関心の高さがうかがえる。会場には歴代のゴルフGTIをはじめ、ゴルフ ヴァリアント(ステーションワゴン)、Tクロス、ID.バズ、歴代のビートルなど多種多様なモデルが集まり、オーナーたちは交流を深めた。
そしてゴルフ GTIといえば、日常の延長にある刺激的な走りが醍醐味。ということで、当日はレーシングドライバーによるトークセッションや、特設パイロンコースでの同乗スポーツ走行などのプログラムも用意された。歴代のモデルを眺め、最新モデルに乗り、GTIの血脈と運動性能を感じる一日を、参加者たちは大いに満喫した。
さらに、当日は50周年を記念した日本限定車もお披露目。随所にGTIのスポーティネスをあらわす赤のアクセントがちりばめられており、深みのあるブルーグリーンのボディカラーと相まって、清らかでたくましい存在感を放っていた。現時点ではパイロットモデルだというが、おおむねこの仕様で市販化されるという。公道で見られる日が楽しみだ。
フォルクスワーゲンのクルマは、かくして上陸する
では、こうしたフォルクスワーゲンのクルマたちは、どのようにしてユーザーの手元に届けられるのか。今回の開催地となった、愛知県のフォルクスワーゲン グループ ジャパン 豊橋本社についても触れておきたい。日本列島の中央に位置する物流の拠点、三河港にある同施設は、1992年の稼働開始以来、フォルクスワーゲンをはじめ、同グループのアウディ、ベントレー、ランボルギーニの陸揚げ、品質管理の拠点として機能し続けてきた。
イベント当日の朝、会場に続々と集まるフォルクスワーゲン車を横目に、我々はひと足先に陸揚げの専用ふ頭へと案内された。マイクロバスの車窓から見えてきた港には、真っ白なカバーを被った無数のクルマが間隔よくみっちりと並べられている。圧巻だ。
明海の専用埠頭には、ドイツなど海外の生産工場から運ばれてきたフォルクスワーゲン グループの車両が陸揚げされる。グループが擁する5ブランドの年間総受注数はおおよそ7万台。年間輸入数約38万台といわれる輸入車の2割弱が、ここ明海埠頭に到着する。
陸揚げされた車両は、隣接するテクニカルセンターへと運び込まれ、日本の法規に適合させる最終作業や、機能・走行試験、外観の検査などが細やかに行われる。
その後、我々はアフターパーツが管理されるパーツデポへと案内された。広大な倉庫内には、フォルクスワーゲン、アウディ、ベントレーの3ブランドの純正部品が常時数万点ストックされている。
輸入車とはいっても、こうした品質管理とアフターケアの徹底が国内でもしっかりと行われていることは、目のあたりにしないと実感がわかないことも多い。特に部品のストックが徹底されているからこそ、現行車は故障や事故で修理を要しても早く復帰することができる。今回はメディアのみならず、参加者にもこれらの施設・設備が公開されたため、オーナーやその家族は、ますます自身のフォルクスワーゲン車に愛着が湧いたに違いない。
イベントは終日晴天のもと、楽しい時間はあっという間にすぎ去り、涼しくなる夕刻に閉会となった。6月中旬の暑い一日だったが、参加者たちの大勢で何かを成し遂げたような一体感と、満ち足りた表情が印象的だった。
フォルクスワーゲンは、もっともピースフルで親しみを覚えやすい自動車ブランドのひとつ。ゆえに、ブランドを愛するオーナーが一体となる機会は大きな意味をもつ。車種ラインナップとパワートレインの拡充には引き続き期待が募るが、最終的にはエンドユーザーあってのクルマづくり。来年も、そしていつまでも、今日のようなオーナーたちの「買ってよかった」という顔を見続けたいと願う一日だった。
フォルクスワーゲン カスタマーセンター 0120-924-411