マツダの主力モデルである「MAZDA CX-5」の新型が、ついに国内販売を開始した。2012年に初代が登場して以来、北米をはじめ130カ国で累計500万台を売り上げてきた同社の稼ぎ頭は、UOMO世代のファミリー層にも広く愛用されている。
大型SUV並みの後席空間を330万円から
2代目のCX-5から実に9年ぶりとなるモデルチェンジにあたり、マツダは「デイリーコンフォート」を開発コンセプトのひとつに掲げ、日々の使い勝手を徹底的に見直した。特筆すべき点は、全長をほぼ変えることなくリアスペースとラゲッジスペースを拡張したこと。ホイールベースを115mm伸ばし、リアドアの開口部を後ろへ700mm広げることで(後席頭上のクリアランスも29mm拡張)、レッグスペースをはじめとする居住性の高さを、もうひとまわり大きいSUVと同レベルにまで引き上げたのだ。
「リアホイールハウスのアーチが手前に出ていると、狭い場所では乗降時に腰が引っかかる人もいますし、高齢の方はお尻から座られる場合もあるので乗り降りしづらい。そうした問題を、開口部の拡張でクリアしました」と、開発主査の山口浩一郎さんは話す。子供だけでなく、里帰り時に両親を乗せるなど、確かにさまざまな場面でメリットが多い。
そして、ラゲッジスペース容量の拡張にも成功している。これまではあと少しというところで横積みを余儀なくされていたベビーカーが、一般的なサイズのものであれば縦に収納できるようになった。これによって、ベビーカーが載ってもラゲッジの左右半分をフラットに使うことができる。
インテリアも全面リニューアル
そして、これだけ利便性が向上してもデザインを犠牲にしないところがマツダのプライド。事実、CX-5の購買動機調査の1~2位は「外装デザイン」「内装デザイン」が占めており、マツダが築き上げてきた「魂動デザイン」はユーザーからも高い関心がうかがえる。
エクステリアは先代の面影を残しつつも、造形美をブラッシュアップ。リアにかけてのルーフラインは先代のような流れる線にこそならなかったが、先述した頭上のクリアランス拡張との両立を図って、絶妙なバランスに落とし込んでいる。
そして今回、インテリアも大幅に刷新された。これまでマツダ独自のインフォテインメントシステムを支えてきたコマンダースイッチは廃止され、「L」グレードは15.6インチ、「S」「G」グレードは12.9インチのディスプレイを中央に設置。空調やマップ操作などもすべて集約した。長年、物理スイッチに慣れ親しんだユーザーは戸惑うかもしれないが、より世の中のトレンドに近づいたといえる。また、高レベルの音声認識や床下シースルーモニターなども加わった。
軽快さのなかにある一体感
現段階で、パワートレインは2.5ℓ直列4気筒のSKYACTIV-Gエンジンに、マイルドハイブリッドシステムと6速ATを組み合わせた一種類のみ。初代から続くトルキーで低燃費なディーゼルが消えたのは寂しいが、マイルドハイブリッドによる走り出しはきわめて軽快で、燃費も向上しているため期待を裏切らないはずだ。
そして先代と比べて大きく変わったのが、ハンドリングの軽快さ。主に女性の一部ユーザーから「ハンドルが重たく腕が疲れる」という声があったという。接地感は「人馬一体」の思想を掲げるマツダにとって譲れない領域でもあるが、多くの人に愛される実用的なSUVだからこそ、声に応えて変更に踏み切った。実際に乗り比べると、駐車場での徐行や高速道路のジャンクションでの切り込みなどで、各段に軽くなったことが感じられる。しかしおっかないほどの軽さではなく、絶妙な接地感にチューニングされていて好印象。それにともなって、足回りのセッティングもサスペンションを中心に、よりまろやかな方向へと改良がなされている。
今回のモデルチェンジでは、後席やラゲッジ空間の拡張にはじまり、操作系や乗り心地面でもコンフォートに振った改良が目立ったが、決して走りの楽しさも損なわれていない。いずれも「ひと中心」の設計思想に則った、マツダらしい進化を感じられた。
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