2026.10.10
最終更新日:2026.10.10

【大人の時計学】トゥールビヨンのすべてはブレゲから始まった【UOMO Watch Academy Vol.10】

複雑機構の一つとして有名なトゥールビヨンは、アブラアン–ルイ・ブレゲが1801年に特許を取得してから、今年で225周年を迎えた。今回は、ブレゲ ブティック銀座を訪問し、改めてこの機構のすごさに触れた。

トゥールビヨンのすべてはブレゲから始まった

教えてくれたのは…

ウォッチディレクター
篠田哲生さん

専門誌やWEBなど、40を超える媒体で時計企画を手がける識者。時計イベントの企画や登壇も行う。

今回受講したのは…

小松隼也さんプロフィール画像
弁護士
小松隼也さん

1986年生まれ。三村小松法律事務所代表。専門分野はアートとファッションで、人気ブランドのクライアントも多い。愛用時計はブレゲ クラシック。

クラシック トゥールビヨン エクストラプラット オートマティック 5367
自動巻き。Pt。ケース径41㎜。¥29,612,000/ブレゲ(ブレゲ ブティック銀座)

トゥールビヨン機構を薄型化。ムーブメントの厚みは3㎜で、ケース全体の厚さも7.5㎜しかない「クラシック トゥールビヨン エクストラプラット オートマティック 5367」。ダイヤルには伝統的なグラン・フー エナメルを使用するが、シリコン製のパーツを使って耐磁性を高めるなど、現代的に進化している。

今も昔も、トゥールビヨンはブレゲの独壇場なのだ

クラシック トゥールビヨン 3358 裏
「クラシック トゥールビヨン 3358」は、ムーブメント地板に美しい彫金加工を施している。

篠田 小松さんといえば、ブレゲ「クラシック」を愛用していますが、ブレゲに注目したきっかけって何ですか?

小松 僕の法律事務所は、特許に関する依頼が多いんです。時計界において“特許”といえばブレゲじゃないですか。それがこのブランドを選んだ大きな理由です。

篠田 ブレゲの創始者アブラアン―ルイ・ブレゲは、現在の時計機構の基礎となる多くの技術を開発した人物ですからね。そこで今回は、その中で最も有名なトゥールビヨン機構の世界を探求していきましょう。彼はこの機構の特許を、1801年に取得しました。

小松 有名ですけど、何がすごいんですか?

篠田 初代ブレゲの時代は懐中時計ですが、胸ポケットの中で直立した状態が続くと、重力が一方向にかかり続けることで誤差が生じます。これを解消するために、精度に関する脱進機というパーツを丸ごと回転させる機構が、トゥールビヨンです。ただ、コンピュータも工作機械もない時代に作ることは困難だったため、当時のブレゲの工房でも33年の間で40個ほどしか製作できなかったそうです。

ブレゲ ブティック銀座
興味津々な小松さん
ブレゲ ブティック銀座には、多くのトゥールビヨンモデルが展示されている。高精度追求モデルや永久カレンダーとの融合など、さまざまなスタイルで技術を進化させている。小松さんもハイエンドウォッチの世界に興味津々だ。

小松 特許を取得したからといって、その技術が広まるとは限らないんですよね。それに特許申請をする人って、これでひと儲けしようという人よりも、純粋に研究を楽しんでいる人が多いんです。しかもそういう人たちの研究や考え方ってすごく面白い。初代ブレゲも同じだったのかもしれませんね。

篠田 彼は「スースクリプション」という前金制の時計を開発して資金を調達し、時計機構の開発費に充てていたそうです。それくらい研究が好きだったんでしょうね。

小松 ビジネスセンスも優れていたんですね。それは特許界隈では珍しいかも。初代ブレゲが“天才”と呼ばれる理由がわかります。でもどうして現在は、こんなにもトゥールビヨンが盛り上がっているのですか?

篠田 トゥールビヨン機構が多く作られるようになったのは、1980年代以降。理由は特許権の存続期間が切れたから…というわけではなく、機構がくるくる回るという機械芸術としての個性が評価されたからなんです。この時代は日本製の高性能なクオーツウォッチの攻勢を受けて、スイス時計は冬の時代でした。そこで一発逆転をかけて注目したのが古の機構であったトゥールビヨンだった。時計に詳しくなくても、キラキラしていてカッコいいじゃないですか。そこが受けたんです。

小松 確かに、見入ってしまいますよね。

クラシック トゥールビヨン 3358
「クラシック トゥールビヨン 3358」。原点のモデル「Ref.3350」と同じく、ケースは小径。マザー オブ パール製のダイヤルも美しい。手巻き。18KWG×ダイヤモンド。ケース径35㎜。¥22,143,000/ブレゲ(ブレゲ ブティック銀座)

篠田 ブレゲは、1989年にブランドとして初となるトゥールビヨン搭載の腕時計を発表しました。この6時位置に機構が見えるというデザインコードは、特許ではありませんが現代のトゥールビヨンウォッチのお手本となっていますし、薄型や新素材などを使って、より現代的に進化させています。

小松 現在は多くの時計ブランドからトゥールビヨンモデルが発売されていますよね。でもブレゲは、元祖であるだけでなく、デザイン面や技術面で、今もトゥールビヨンの世界をリードしているんですね。

篠田 歴史だけでなく、現代の功績も含めても、やっぱりブレゲは別格なんです。

ブレゲ ブティック銀座

ブレゲ ブティック銀座

東京都中央区銀座7-9-18 ニコラス・G・ハイエックセンター3階
TEL:03-6254-7211
営業時間:11時〜20時 不定休

RECOMMENDED