時計好きなら、一度はその名を意識するであろう「コスモグラフ デイトナ」。ロレックスを代表するクロノグラフは、なぜこれほど特別な存在になったのか。その答えをモータースポーツとの関係から紐解くエキシビションが、2026年8月7日(金)、千葉県のTHE MAGARIGAWA CLUBで開催された。会場では歴代モデルの変遷や最新ムーブメント、現行モデルを通して、60年以上にわたるデイトナの進化が紹介された。
「デイトナ」という名前は、どこから来た?
コスモグラフ デイトナが誕生したのは1963年。その名のルーツは、アメリカ・フロリダ州のデイトナにある。20世紀初頭、硬く長い砂浜をもつデイトナビーチでは、自動車による世界最速記録への挑戦が盛んに行われていた。1904年から1935年までに14もの地上最速記録が樹立され、1933年には“キング・オブ・スピード”と呼ばれたサー・マルコム・キャンベルが、ロレックス オイスターを腕に愛車ブルーバードを駆り、時速272マイル(438km)を記録している。
1959年にはデイトナ・インターナショナル・スピードウェイが開業。そして1963年、レーシングドライバーのためのクロノグラフとしてコスモグラフ デイトナが誕生した。経過時間を計測する3つのカウンターに加え、ベゼルに刻まれた目盛りを使って平均速度を算出できるタキメーターも、レースをルーツにもつコスモグラフ デイトナならではのディテール。今ではおなじみの意匠にも、きちんと“レースのための時計”という理由がある。
そして、デイトナの物語を語るうえで欠かせないのがポール・ニューマンだ。俳優として世界的な名声を得る一方、レーシングドライバーとしても活躍し、1977年には52歳でデイトナのレースに出場した。彼が愛用していたのが、「Drive Carefully Me」と刻まれたコスモグラフ デイトナ。その存在もまた、この時計をモータースポーツの枠を超えたアイコンへと押し上げる一因となった。
見た目は変わっても、「コスモグラフ デイトナらしさ」は変わらない
今回のエキシビションで面白いのは、単に歴史を振り返るだけではなく、コスモグラフ デイトナがどのように進化してきたのかをディテールから追えること。
たとえば、ひと目でコスモグラフ デイトナとわかるタキメーターベゼル。かつては金属製だったが、現在ではハイテク セラミック製のモデルがラインナップする。ダイアルもまた、オリジナルの本質を守りながら、時代とともに色や素材の組み合わせを広げてきた。
中身も進化を続けている。現行モデルに搭載される自動巻クロノグラフムーブメント「キャリバー4131」は、ロレックスが完全自社開発・製造。クロナジー エスケープメントやパラフレックス ショック・アブソーバなどを採用し、約72時間のパワーリザーブを実現している。外見だけでなく、時計としての性能を着実にアップデートしてきたことも、コスモグラフ デイトナが長く支持される理由のひとつだ。
会場には、950プラチナ製ケースにアイスブルーダイアルを組み合わせた現行モデルも展示された。他のモデルはケースの中に収められているキャリバー4131を、トランスパレントケースバック越しに眺められる特別な一本だ。
勝者だけが手にできる「コスモグラフ デイトナ」がある
ロレックスとモータースポーツの関係は半世紀以上にわたり、2026年にはFIA世界耐久選手権(WEC)とのパートナーシップが10周年、ル・マン24時間レースとのパートナーシップも25周年を迎えた。現在もWECやIMSAをはじめ、世界を代表する耐久レースを幅広くサポートしている。
なかでも象徴的なのが、1992年からタイトルスポンサーを務める「ロレックス デイトナ 24時間レース」だ。昼夜を通して24時間走り続ける過酷な耐久レース。その総合優勝者には、特別な刻印が施されたコスモグラフ デイトナが贈られる。
5度の総合優勝を誇るレーシングドライバーでロレックス テスティモニーのスコット・プルエットによれば、ドライバーたちはこのレースで勝利し、裏蓋に「WINNER」と刻まれたコスモグラフ デイトナを手にすることを夢見ているという。記事冒頭で紹介した一本は、まさにその勝者に贈られる特別なコスモグラフ デイトナだ。走り抜き、勝った者だけが手にできるコスモグラフ デイトナが存在するのだ。
今回、メディア参加者にはコスモグラフ デイトナを腕に着けてTHE MAGARIGAWA CLUBのドライビングコースを走る機会も用意された。実際にサーキットという場所に身を置いてみると、タキメーターベゼルや3つのカウンターも、単なる“スポーティなデザイン”とは違って見えてくる。
誕生から60年以上を経ても、コスモグラフ デイトナはレースという原点から離れることなく進化を続けている。その背景を知れば、世界中の時計好きがこの一本に惹かれ続ける理由も、少しわかる気がする。