
シルバーカラーにはタフな印象があるが、実はドレスにもよくハマる。くすみ輝く姿に魅せられた、二人の話からはじめよう。
50を越えてシルバーカラー熱が再燃

複数のブランドのディレクションを手がけ、来春にはバッグブランド、NEWBOOKが始動する。青山で自身の店「BOUTIQUE」も営む。
シルバーの控えめな輝きが
今の気分にもしっくり合う
国内外を飛び回るファッションディレクターの金子さんは、昨年の9月、ロンドンのテーラーリングショップ「スペチアーレ」でシルバーの魅力に目覚めた。
「若い世代のテーラーが立ち上げた店で、テーラーリングだけでなく、スタイルを完成させるためのアイテムも揃えているんです。そこで出会ったシルバーのキーチェーンは、スーツにも、シャツにデニムのようなカジュアルにも合いました。それまでゴールドのジュエリーを好んでいましたが、50歳を過ぎた頃から少しだけ派手に感じるようになっていて。シルバーの控えめな輝きが、今の自分にしっくりきた。これをきっかけに、眠っていたシルバージュエリーを引っ張り出してきてつけ始め、時計もロレックスのステンレススチールに替えました。新たに買い足しているジュエリーは華奢でドレッシーな装いにも合わせやすいものを選んでいます。シルバー925には使い込むほどに陰影が深まる経年変化の美しさがありますが、理想を言えば、すべてホワイトゴールドで揃えたい。控えめでありながら上品な光沢を纏っていて、ゴールドならではの重みも魅力的に感じます」
01:NICENESS|NEVILLE Silver Horse Hook

シルバー925のSラインのフック。「ベルトループにひっかけてアクセサリーとして使っています」。
02:Chrome Hearts|Paper Chain Bracelet

今年4月にロンドンで入手。「同じブレスレットのゴールドを持っていましたが、シルバーの気分になったので新調」。
03:Sara Finchley|Silver Misanga

受注会で人気を博す注目のブランド。「シルバーのミサンガを初めて見て感動。ドレスシャツにも合います」。
04:Rolex|Air-King(1959)

長年愛用したカルティエのタンクを手放してロレックスに。「道具としての時計に惹かれ、SSのブレスを探していたとき完璧なコンディションのエアキングに出会いました」。
05:HERMÈS|Glove Holder “Filou”

26歳のときにパリで購入。「クリップ部分に手袋を挟む仕様ですが、パンツのアクセサリーにしています」。
小物まで統一したくなる銀色の引力

大手セレクトショップを経て、2017年に「レクトゥール」を立ち上げる。広尾と神戸にサロンを構え、海外でのオーダー会も行う。
気にせず使いこめて
エイジングまで楽しめる
時計やジュエリーに限らず、仕事道具にも一家言をもつ人は多い。東京と神戸で紳士服のオーダーサロン「レクトゥール」を主宰する五十嵐さんの仕事場を見ていると、時を重ねたシルバーカラーの魅力が見えてくる。
「ジュエリーはドレスアップに欠かせないですが、お守りのような要素もあると思っていて、身につけるとめったに外すことはありません。なので、選ぶ際には究極にシンプルで、洋服を邪魔しないデザインというのが私の基準になっています。ゴールドも持っていますが、シルバーはダークスーツや黒い革靴にも品よく合いますし、ゴールドと違って気にせず使えてエイジングを楽しめるのがいいです。実際に顧客様方からもシルバージュエリーの要望が多く、左手首につけているブレスレットは、われわれで作ったオリジナルです。仕事場にある道具類も、アンティークのシルバーで揃えています。それぞれ別のタイミングで買ったもので、ヤード・オ・レッドのペンをはじめ、ティファニーのメタルメジャーはオーダーの採寸用に、小さな箱はスペアピン入れとして活躍しています」

英国のヤード・オ・レッドのシルバーペンで、オリジナルウェアの構想スケッチを描く五十嵐さん。その上にあるシルバーのラペルピンは、アジアの友人からプレゼントされたハンドクラフトのもの。左腕のチェーンブレスレットの隣で存在感を放つ時計も、特別な一本。「マリネッラ ナポリが創業110周年を祝ってチューダーに別注した限定品を、縁あって購入しました。ナポリを象徴するブルーダイヤルと5連のSSブレスレットがエレガントです」。デスク上には、変色が味わい深いアンティークのシルバートレーに、同じくシルバーのメジャーやアトマイザーなどを並べている。