あなたが落としたのは、金の斧ですか? それとも銀の斧ですか?
誰もが一度は耳にしたことのある、童話「金の斧、銀の斧」の一節。もし、斧ではなく腕時計を選べるとしたら、あなたはどちらに手を伸ばすだろうか。
そんな想像をかき立てる新作が、スイスの高級時計ブランド、ウブロから登場した。10月15日にイタリア・ミラノで発表された「クラシック・フュージョン トリビュート」だ。
用意されたのは、イエローゴールドとホワイトゴールドの2モデル。どちらも税込423万5000円。見た目の好みだけで決めるには、少々贅沢すぎる選択だ。
46年前のデザインが、いま新鮮に映る理由
今回の新作を語るうえで欠かせないのが、ウブロの創業者カルロ・クロッコの存在だ。
1980年、クロッコは高級時計の世界に、それまでの常識を覆す一本を送り出した。ゴールド製のケースに組み合わせたのは、なんとラバーストラップ。当時のラグジュアリーウォッチとしては異例の組み合わせだった。
船の舷窓を思わせるベゼルには12本のビスを配し、文字盤はインデックスさえ省いたシンプルなデザイン。華美な装飾に頼らず、素材のコントラストと独創的なフォルムで存在感を生み出した。
異なる素材やアイデアを融合させる、ウブロの「アート・オブ・フュージョン」。その原点となった時計を、46年の時を経て現代に蘇らせたのが今回のトリビュートモデルというわけだ。
ケース径はオリジナルの36㎜から38㎜へとわずかに拡大。それでも全体のプロポーションは忠実に受け継がれ、12本のベゼルビスや3時位置の日付表示、ブラックラバーストラップといった象徴的なディテールも健在だ。
一方、中身は大きく進化している。初代モデルがクォーツ式だったのに対し、新作には自社製の自動巻きムーブメント「HUB1711」を搭載。約50時間のパワーリザーブと100m防水を備え、裏蓋のサファイアクリスタル越しには、ブランドの「H」をかたどったローターを眺めることもできる。
イエローゴールドの華やかさか、ホワイトゴールドの渋さか
さて、肝心の二択に話を戻そう。
イエローゴールドモデルは、1980年のオリジナルに最も近い一本。18Kイエローゴールドのケースに、マットブラックの文字盤とラバーストラップを組み合わせた、ウブロの原点を色濃く感じさせるデザインだ。
6時位置には、創業当時の名残である「MDM」のロゴを配置。ムーブメントには18Kイエローゴールド製のローターを採用するなど、見えない部分にもこだわりが光る。
対するホワイトゴールドモデルは、よりシックで都会的な印象。18Kホワイトゴールドのケースに、艶やかなブラックオニキスの文字盤を組み合わせ、ベゼルのビスもブラックで統一している。
こちらはイタリアンテーラリングのエレガンスを意識したデザイン。端正なジャケットスタイルに合わせるなら、こんな一本が気分かもしれない。
どちらもケース径38㎜、厚さ9.5㎜という共通のサイズながら、ゴールドの色と文字盤の仕上げによって、ここまで印象が変わるのが面白い。
イエローか、ホワイトか。昔話なら正直に答えるのが正解だけれど、この二択に限っては、どちらも欲しいと答えてしまいそうだ。
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