東京スニーカー氏こと、エディターの小澤匡行さんが、この秋の着こなしに似合う黒スニーカーをピックアップ。厳選されたこの5型なら、周りと差がつくスニーカースタイルを実現できること間違いなしだ。
01:The Row | Clement Sneakers
ファッションの文脈を反映したモダンな新作
「サイトやお店で見ていると、ザ・ロウはミニマルな洋服に合わせやすい靴をつくっている気がします。その中でも革靴やサンダルに比べて、スニーカーはデッキシューズ風やスリッポンなど、よりベーシックな発想のモデルが中心という印象でした。しかしながら今シーズン登場したこの『クレメント スニーカー(Clement Sneakers)』は、ファッションの文脈がかなり強い一足だなと、見た瞬間に惹かれました。
一枚仕立てのアンコン仕様で、バレエシューズのようなムードがあります。このソフトで細身のフォルムが今っぽくはありますが、僕が注目したのはトゥボックスのバランス。7ホールのアイレット部分に対して、トゥ部分が長いんです。それがただレトロなわけではなく、とても独特なデザインになっています。
ともするとクラシックすぎてしまうバランスや、バレエコア由来のレディースライクな仕様を、しっかりモダンなメンズスニーカーとして再構築していて、大人の男性が履きやすい一足に。
こういう風に仕上げるのは意外と難しく、ザ・ロウらしさを感じました。実はこのモデルにはブラウンもあり、そちらは10月にデリバリー予定だそうです。僕的にはブラウンのほうがおすすめです」(小澤)
02:adidas Originals for UNITED ARROWS & SONS|BW ARMY DECON
デコンでジャーマントレーナーをモダナイズ
「ユナイテッドアローズの展示会でこのオールブラックの『BWアーミー デコン』を見たとき、珍しいなと思いました。アッパーはブラックでガムソールというパターンはよく見ますが、オールブラックのジャーマントレーナーはあまり見かけません。しかもデコンなので、『BWアーミー』のきれいめな雰囲気は残しつつ、スポーツ色を抑えたいというときにちょうどいい“ファッションシューズ”になっています。
デコン=デコンストラクテッド(deconstructed)は脱構築という意味の通り、芯材を使わず素材を薄くするなど、引き算の発想でつくっていく手法。薄くて細身の削ぎ落とされたシューズがトレンドということもあり、ラグジュアリーブランドを筆頭にデコンモデルが増えていて、今のファッションとの親和性を高めています。だからジャーマントレーナーという定番もデコン仕様であれば、今また履きたくなる人も多いのではないでしょうか。
ユナイテッドアローズ&サンズの別注は、オールブラックだと表革を選びそうなところを、スエードで仕上げているところも、このスタイルと相性がいい。ここまでやわらかなスエードシューズは僕の記憶ではあまりありません。もちろんオールブラックだから合わせやすく、デコン仕様で履きやすい。いろいろな意味で引き算の発想が活きています」(小澤)
03:SKINNERS®|Easygoer
足をやさしく包む注目のゼロドロップシューズ
「とあるブランド目当てに輸入販売会社であるストライドへリサーチに行ったとき、このスキナーズを紹介されました。聞けば2014年に始動したチェコ発の比較的新しいブランドで、ベアフット理論をベースに日常に溶け込むシューズをつくっているそうです。いくつかモデルがありましたが、オブリークトゥのレトロなルックスがどこか懐かしい『イージーゴアー』に惹かれました。
履いてみると締め付けがなく、本来の足の感覚が呼び起こされるような印象を受けました。心地よさというよりも、ナチュラルな履き心地を志向しています。だからこそ足指が本来の自然な形で広がるワイドトゥボックスで、いかにもベアフットシューズらしいフォルムになっている。個人的にはこのボテッとしたアッパーと薄底のプロファイルがアンバランスで、かわいいなと思いました。
アッパーには最高級のスエードを使用し、天然ラバーを用いた4.5mmのアウトソールは傾斜のないゼロドロップ構造になっています。価格は3万円台と決して安くはありませんが、健康的な姿勢に導いてくれるシューズと考えればリーズナブルですよね。姿勢を整えたい人が日常的に履く一足としておすすめですし、ファッションとしての可能性も感じました」(小澤)
04:CONVERSE|ONE STAR LOAFER
待望の黒×黒がコンバース アディクトからが登場
「ここ2年くらいローファースニーカーがトレンドになっていますが、ワンスター ローファーはそれとは別の存在です。“ローファースニーカーだから”というよりもこの靴が好きで狙い撃ちしている人が多いモデル。ただ、今の流行とリンクしていることもあって、さらに人気が出そうな予感がしています。今回コンバース アディクトから発売されるワンスター ローファーは、“オリジナルになかった黒アッパー×黒ソール”が注目のポイントです。
僕はネイビーアッパー×白ソールは持っていて、今もときどき履いています。それで感じたのは、昔は“スニーカーっぽいローファースニーカー”が欲しかったけれど、今はよりローファーに見えるスニーカーが欲しいということ。アッパーはネイビーでも白ソールだと、どうしても足元が軽く見えてしまうので、いっそ自分でソールを黒に塗ろうかと考えていたほどです。だから黒×黒が出るのは本当にうれしくて、これは絶対履いてみたい。
しかも今回は上質なイタリアンスエードを採用しています。これがスムースレザーだと革靴感が強くなりすぎて、かえって魅力が薄れてしまうので、ちょうどいいバランスです。そしてここまで黒でまとめると、サドルのスターも黒にしがちですが、あえてここだけ白にしている。コンバースは自分たちの魅力をしっかり理解しているのだなと思います」(小澤)
05:FOOT INDUSTRY for BEAUTY&YOUTH|SOFT GAT SHOES
ファッション系薄底シューズのエントリーモデル
「アスレッチックシューズとは別の文脈で薄底を楽しみたい人に、ちょうどいい一足を見つけました。国内でフットウェア製品の製造・研究・開発を行うフットインダストリーに、ビューティー&ユースが別注した『バレエトレーニングシューズ』です。このブランドは2014年にスタートしていて、ファッション視点をうまく捉えたスニーカーを多く手がけています。
『ソフト ガット シューズ』は薄底のレトロランニングシューズをベースに、バレエシューズのディテールをミックスしたモデル。ビューティー&ユースの別注ではアッパーの素材を光沢のあるナイロンとやや毛足の長いスエードを切り替え、履き口にギャザーを入れることでモダンなルックスと快適な履き心地を両立させています。アッパーをブラックのワントーンにして、よりミニマルに見せているのもビューティー&ユースらしいです。
この別注シューズにはトレンドのキーワードがいくつもバランスよくミックスされています。モード感のある薄底ファッションシューズを気軽に楽しみたいと思っている人にとって、とてもいいエントリーモデルになるのではないでしょうか」(小澤)
「足元ばかり見ていては欲しい靴は見えてこない」が信条。近著に『1995年のエア マックス』(中央公論新書)。スニーカーサイズは28.5㎝。
ザ・ロウ・ジャパン TEL:03-4400-2656
ユナイテッドアローズ&サンズ 渋谷 TEL:050-8894-7043
スキナーズ
コンバースインフォメーションセンター TEL:0120-819-217
ビューティー&ユース 丸の内店 TEL:03-6212-1500














