2023.06.08

三澤亮介(現代アーティスト)「今の時代にあるべき世界観を凝縮したような絵を描きたい」

三澤さんは、過去の絵画データをモチーフに、現代の視点と手法でまったく新しい世界を生む。海外でも評価は高く、このほど英国の画廊とも契約し、世界各国での個展を控える。彼の作品に込められたメッセージとは。

三澤亮介(現代アーティスト)「今の時代にの画像_1

三澤亮介さん/現代アーティスト

 2年前のデビューから瞬く間に注目を集めた現代アーティストの三澤亮介さん。彼が掲げるのは「概念のアップデート」だ。代表作のポートレートシリーズの一作品を前に語る。


「数百万点とあるパブリックドメインの絵画データの中からモチーフを選び、ピクセルまで解体してから再構築し、さらに絵の具で加筆するのが僕のスタイル。昔の絵画は、題材や画材に時代性や国柄が反映されていて面白い。例えばベースとなる貴族の肖像画のネクタイが身分を表しているとすれば、形を変え、性別・国籍・人種がわからない存在として描く。今の時代にあるべきフラットな価値観で新しいポートレートを作りたいんです。ちなみに膨大なアーカイブスの中で目にとまった作品の画家を調べると、やはり後世に名を残した人が多い。どこか逸脱していたり卓越したセンスがなければ時を超えて生き残れないのだな、と思いながら…これは自分にも返ってくる言葉ですよね」


 三澤さんは描きたいものがどうひらめくのか。


「モチーフを見るとバンジージャンプのように別のイメージに飛ぶんです。強い絵を見ると一目で描きたいものが浮かび、あとはそれを形にする作業。ただし今のアウトプットにたどり着くまでに長年の試行錯誤があり、初めて作品を世に出すときはすごく怖かった。信じ続けてきたものが世の中に認められなかったら自分という存在が終わりそうな気がして。評価と戦わずに生きていくほうが幸せかもしれないですし…。まあやってみるかと最初にインスタグラムに投稿したときがいちばん緊張しました。今っぽいですよね」


三澤亮介さん
1992年福井県生まれ。コンセプトに「概念のアップデート」を掲げ、2020年に現代アーティストとしての活動を本格化。’23年4月、英国のHOFAギャラリーと契約を締結し、7月にギリシャで個展を開催予定。英国やNYをはじめとした世界各国での個展やアートフェアへの参加も控えている。Instagram(@ryosuke_misawa_53)で最新情報を発信中。



Photo:Yusuke Shimahara[UM]
Hair:SHOTARO[SENSE OF HUMOUR]
Interview&Text:Takako Nagai

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