スタイリストの池田尚輝がセレクトした、それぞれによさがあり二者択一では決めきることができない珠玉の日用品。甲乙つけがたい魅力を語り、逡巡する。
第六回|香木ホルダー&お香立て
香木やお香を楽しむための道具は、意外とさまざまな選択肢がある。機能とデザインを両立したプロダクトとしての完成度を判断基準にしながら、ベストなアイテムを検討してみる。
(右)everyone「マルチユースクリップ」/(左)NAGAE+「poly incense holder」
過剰な装飾がなく、シンプルに
香りを楽しめる道具が欲しい。
デジタルが進歩しても、香りはその場でしかとらえられない曖昧なもの。例えば、蒸し暑さで身体が疲れてくると、お香や香木に頼りたくなります。理屈で説明できずとも、肌感覚に訴えてくる神秘性こそ香りのよさですよね。
その匂いを純粋に楽しみたいので、焚くための道具に過剰な装飾は求めません。そこで、エブリワンのマルチユースクリップ。最初は「洗濯バサミじゃダメ?」と思ったほどシンプル。ただし実物はずっしりと重く、ホールド力があります。これまで置き方の正解がわからなかったパロサントを立てられ、気楽かつ気がきいている。一方、お香立てならナガエプリュスのものが便利。正二十面体という幾何学的なデザインがそのまま機能になっています。置く面によって角度を変えられ、お香の長さや受け皿などを使い手に任せてくれる設計もいい。どちらもインテリア然としない、プロダクトとしての潔さに惹かれていますし、どんな気分のときにも自然と手を伸ばせる。香木で手軽に気分を変えるか、お香でゆっくり寛ぐか。今日はどちらでリフレッシュするのか、気分次第ですね。(談)
池田尚輝
雑誌からブランドルックまで幅広く活躍。ヤエカのセレクト部門「リンドリー」の監修にも携わる。