2023.05.22

転職に起業、地方移住… 40代の「キャリアの処方箋」

約20年後にはいま働く会社で定年を迎える人も多いであろう40代。そして自分が本当にやりたいこととは? について自問自答する人も多いであろう20代。そんな大人たちに向けて「これからどうする、俺!?」のヒントになるお話。

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40代をどう生きるか?

UOMO世代のキャリアの処方箋

40代をどう生きるか?  UOMO世代のキャリアの処方箋 イラスト

常見陽平

 楽しくいきましょう。それでいいではないですか。生き方、働き方の多様性を楽しみつくしましょう。40代を迎える皆さんにそう語りかけたいです。100年に1度の変化が毎年起こる時代です。選択肢も増えています。いかに楽しく波乗りをするか。いかに希望を見つけ出すか、つくるか。ここが問われます。

「40代の“若い社員”がほしい」。一瞬、首を傾げてしまう人もいることでしょう。40代って若いのか、と。でも、最近の人事担当者の中にはこう言う人もいます。

 私が協力したリージョンズ株式会社の『北海道UIターン白書2022』によると、2012年から2022年にかけて同社を通じたUIターン転職決定者の平均年齢は32.3歳から39.5歳へと上がっています。2022年においては35歳以上の比率が約7割となっており、「35歳転職限界説」は過去のものとなっています。


移住への関心の高まりが過去最高に

 国をあげて「人生100年時代」が叫ばれ、60歳未満は「定年退職」にはできず、希望する人は必ず65歳まで、場合によっては70歳まで働くことができる社会になっています。ただ、40代は今までよりも転職しやすくなっている一方で、会社ではお荷物扱いされることもあるのです。40代は早期退職制度や、リストラの対象となり得ます。アラフィフの銀行員の友人からは「もうすぐ黄昏研修だ」という話を聞きました。正確には「キャリア研修」なのですが、希望に満ち溢れたものではなく、今後、給与がどのように下がるか、企業側で用意するセカンドキャリアプログラムの紹介などが中心です。

 このように、年齢と働き方の問題は二重、三重にこじれています。そうであるがゆえに、自分がどうありたいかを考えることは大切です。

 さて、「君たちはどう生きるか」を考えてみましょう。新卒の学生のように、自己分析をしてみることをおすすめします。何を大切にして生きてきたのか、何ができるのか、何を期待されているのか、何をやりたいのかを考えてみましょう。そのためにも、「エア転職」をおすすめします。履歴書、職務経歴書を書いてみて、いくつかの転職サイト、人材紹介会社に登録してみましょう。実際に転職をしなくても、自分の棚卸しと、人事視点での自分の強みなどに気づくことができます。

 自己分析だけでなく、「周りの人分析」もやってみましょう。家族や友人、恋人の年齢に5歳、10歳、年齢を足してみると現実を知ることができます。育児や介護にどれだけの時間やお金がかかるのか。いつまで今のようなライフスタイルを続けるのか。ヒントになります。

 選択肢は実に多様です。転職、起業もそうですが、副業・兼業、移住などの選択肢もあります。ただ、真面目に働いている人ほど、周りの選択肢に気づかないのですよね。


テレワーカーの割合は全国で上昇

 私自身、「40代は大学教員をしながら、評論活動をしよう」と考え、38歳で会社員をやめ、大学院に入りなおし、運もあり、思い描いたような40代をおくることができました。幸せのためには、健康でなくてはならないと考え、肉体改造をしましたし、酒もやめました。5年にわたる妊活の末、43歳で娘を授かり、それ以降は以前ほど忙しく働かず、育児中心の「兼業主夫」生活をおくっています。正直、生涯で最も稼いでいたのは40代前半でした。たまに冷静に自分のポジションや年収を考えると焦ることがないわけではないですが、それでも、楽しい40代だったなと思います。

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 人生は意図と適応です。自分で起こした変化も、巻き込まれることも含めて、楽しむことをサボらないこと。40代を息抜きしながら生き抜きましょう。

PROFILE
1974年生まれ、北海道札幌市出身の労働社会学者。リクルート、バンダイ、ベンチャー企業、フリーランス活動を経て千葉商科大学国際教養学部准教授に。労働問題、キャリア論、労使問題、若者論などを中心に執筆・講演など幅広く活動中。



Illustration:Rie Kuriyama 
Text:Masayuki Sawada

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