2022.09.10

【大人の正しい買い物術-⑥】時計、家具、オーディオ…手に入れるまでの「長期戦も楽しむ」

けっして派手でもわかりやすくもない。なのに持っているものをことごとく「欲しい」と思わせるその人=エディター小澤匡行さん。いったい何が違うのか? センス? 経験? そこには単なるベーシック志向とは一線を画す、買い物への緻密な複眼的視点があった。

手に入れるまでの「長期戦」を楽しむ余裕が欲しい

欲しいものを最短距離で手に入れるのがいいとは限らない。日頃から深掘りしたり、アンテナを張ったり、道中のストーリーを楽しみたい。僕の好きなHIPHOPとの付き合い方や、書き仕事とも通じるかもしれません。

EKCO  Bluetoothにカスタムしたラジオ

EKCO|Bluetoothにカスタムしたラジオ


Marcel Breuer  アイソコン ロングチェア

Marcel Breuer|アイソコン ロングチェア


旧西ドイツのヴィンテージの陶器

旧西ドイツのヴィンテージの陶器


ROLEX  1969年製「サブマリーナー」

ROLEX|1969年製「サブマリーナー」


Andre Cazenave  ロックランプ

Andre Cazenave|ロックランプ


「Sampling-Love」  ほぼ日手帳  「オリジナル」

「Sampling-Love」ほぼ日手帳|「オリジナル」


ワンクリックで何でも買え、一部のスニーカーのようにリセールまでのサイクルが短い「商品」であふれる現代だからこそ、真空管ラジオやサブマリーナーのように本当に欲しいと思える稀少な年代物と巡り合えるまでのストーリーやフェーズを楽しみたいと思うように。予備知識なくネット検索して一発で買えるものって満足度の瞬間風速値は高くても持続しません。
 僕のカルチャーの軸であるHIPHOPは、好きなアーティストの楽曲のネタ元を掘るのが醍醐味ですが、買い物も同じです。マーク・ニューソンのような職人的プロダクトデザイナーは、掘ると「あのメーカーの○○もそうなんだ」って発見がある。マルセル・ブロイヤーもトーネット社のチェスカチェアが有名ですが、掘るうちにこのアイソコンプラス社のチェアを知りました。旧西ドイツの陶器を収集し始めたのは5、6年前。きっかけは意外にもドイツのアイウェアブランドのカザール。デザイナーがバウハウスの薫陶を受け、実は家具や陶器を手がけていたって話から辿りついたのですが戦後の日本の陶器も影響を受けていたりと背景が面白く、手頃な値段で買いやすい。
 アンドレ・カズナヴのロックランプなど、国内外のオークションサイトで出品されたら即通知されるようアラート設定しているものも。長期戦覚悟で気長に待つのも楽しいもの。僕は普段から心に留まったフレーズをほぼ日手帳に書き留めるよう習慣化していますが、買い物でも「持続力」は大事です。


Masayuki Ozawa 
エディター。「MANUSKRIPT」代表。執筆業ほかウェブサイト等のブランディングなど幅広く手がける。ファッションのみならずプロダクトにも精通。



Photos:Yoshio Kato

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