散歩に「期待」は禁物。
胸を借りるつもりで未知の街へ。
…真鶴は「持って」いました。

JR真鶴駅 → 真鶴港 →
真鶴半島散策 → 真鶴岬 →
JR真鶴駅
TOTAL 3時間30分 13000歩


『全っっっっっ然知らない街を歩いてみたものの』(大洋図書)より ©清野とおる/大洋図書

『全っっっっっ然知らない街を歩いてみたものの』(大洋図書)より ©清野とおる/大洋図書

 まだ見ぬ街への好奇心に突き動かされるまま散歩する。その作品にもあるとおり、己の嗅覚と住民への聞き込みで歩き続ける原始的スタイルで奇想天外な街の素顔を暴き出す。


4:00 PM JR真鶴駅出発。無心で半島を
目指して粛々と歩く

 その男、清野とおるは前日に真鶴入りし、集合時間の16時、改札に到着したわれわれをじっとうかがうように待ち構えていた。「…道路標識の“岩”、気になりませんか? 地名? 巨大な岩があるとか? うーん…今日は正統に真鶴半島を目指しましょう」。10分ほどで「小学校下」のバス停へ。脇に人一人通れるほどの小さな階段を発見。歩みが止まる。「磁場を感じます。思わず『期待』しそうになりますが散歩で色気を出すのは禁物。無心で歩いたほうが『出会える』んです」。

JR真鶴駅出発。無心で半島を目指して粛々と歩く 清野とおる 人けのない街に 突如主張強めの色!

4:40 PM 真鶴港はツッコまれ待ちの
スポットだらけでした

 住宅地を抜け、琴ヶ浜沿いを進む。「登ってくれよと言わんばかりの岸壁。この貼り紙“登るなキケン”かと思ったら“テント禁止”とのこと、心置きなく登ってきます」。降りてくるなり、清野さんが走り寄ったのは…流木? 「これヘビみたいに見えませんか?…えっ、ウソでしょ。頭部にマジックペンで『ヘビ』って書いてあるんですが。…真鶴市民の手のひらの上で踊らされましたってことか。悔しい」。「見てください。今度は…唐突に石。何の説明もなしに『撮影可』って…ここは素直に踊らされておくか」とパシャパシャ。どちらも散歩後の「要答え合わせ」リスト入り決定。

真鶴港はツッコまれ待ちのスポットだらけでした

5:30 PM 真鶴半島をひたすら歩き続ける…

「そろそろ半島の先端でしょうか。ちょっとグーグルマップのぞきましょう、ちょっとだけ。あれ、まだ半分も来てませんね。半、半島でしたわ…」。落胆を隠さず歩みを再開、曲がりくねった山道を進む。「そういえば曲がりくねった道の先に〜♪…って曲ありましたよね? 誰の曲でしたっけ。おっと、祠ですよ。『ごあいさつ』しましょう。散歩というより登山になってきましたね。ほら見たこともない白い虫がいます。新種に違いない」。どれだけ視野が広いのか? うごめく白い「点」すら見逃さず、マナヅルユキムシと命名(が、帰り道ではその成虫と思しき蛾の死骸を発見。新種にあらず…)。

真鶴遊歩道

「不穏なトロッコがあるんですが…のぞいてみてください。この急勾配あり得ます? どこへ連れ去られるんですかね?」

真鶴遊歩道 トロッコ

6:00 PM 終焉の地・真鶴岬で待っていたのは

 上りあり下りありの苦難の散歩の末、念願の岬先端に到着。「あれが名勝『三ッ石』…岩、二つしかないですね。フナムシだらけですね」。乾いた達成感を胸に早々と退却。むしろ清野さんの胸を射止めたのは「この石像、どう見てもアレですよね? 『おっぱい』ですよね? あっ、あの雲を見てください。半島の先端から『発射』してますよ! 写真撮りましょう」。

真鶴岬 三ツ石 真鶴岬

終始「憑かれた」かのようなハイテンションのまま、普段口にしないカルピスソーダで祝杯。帰途、ツバメに襲われるハプニングに見舞われるもPM7時15分に無事帰還。「僕らのほうが真鶴に試されていたのかもしれませんね」。

真鶴 UFO
清野とおる

清野とおるさん/漫画家
「第二の(東京都北区)赤羽」を求め最近は熱海に入り浸り。散歩中の視野の広さは異常。



Text:Takako Nagai