2021.09.13

南貴之と宇佐見透が「石拾い」に夢中な理由

インテリアとして石を飾る人が増えている。当然、宝石のような価値もなければ、神秘的なパワーもない、ごく普通の石…。それでも眺め、触れると愛おしい。そんな石に魅せられた2人の男、クリエイティブディレクターの南貴之さんとインテリアショップオーナーの宇佐見透さんに、石について語ってもらった。

南貴之と宇佐見透が「石拾い」に夢中な理由の画像_1

Takayuki Minami

「Graphpaper」「FreshService」「ヒビヤ セントラル マーケット」など、多くのブランドやショップを手がけるクリエイティブディレクター。「alpha.co.ltd」代表。


Toru Usami

石川県金沢市にあるインテリアショップ「Cazahana」のオーナー。雑貨や家具、ヴィンテージアイテムの販売をはじめ、住宅や店舗の内装も手がけている。


クリエイティブディレクターの南貴之さんと、金沢市でインテリアショップ「Cazahana」を営む宇佐見透さんは、ともに石拾いが趣味。仲間を集めて「Pick up Stones Club」を立ち上げるなど、各地で石拾いに興じ、集めた石を自宅に飾って楽しんでいる。

 ベン(宇佐見さんの愛称)と二人でヨーロッパに一緒に買い付けに行ったことがあって、そのときに「石っていいよね」みたいな話で盛り上がったのが石を拾うようになった始まりかな。

宇佐見 ドイツのライン川で一緒に石を拾いましたよね。

 ベンもそうだけど、なぜ石に興味をもったのかというと、もともと建築とかアートが好きで、昔の建築家や芸術家って、意外と石を拾っている人が多いんだよね。

宇佐見 有名なのは画家のジョージア・オキーフとかね。

 そう。「おっ、この人も石拾ってたんだ」みたいなところから興味をもつようになって。いちばん衝撃を受けたのは、彫刻家だったJ・B・ブランクのアトリエに連れていってもらったとき。海で拾った石が積んであって、それがめちゃくちゃ格好よかった。

宇佐見 僕は、今だとプロダクトデザイナーのマイケル・アナスタシアデスが気になりますね。彼の作品集みたいな本があって、それを見るとすごくいい石を拾ってる。石の魅力ってやっぱり自然の造形の美しさだと思います。本当にいろいろな形があって、個人的には「なんでここに線が入っているんだろう」とか「いったい何年かけてこんな形になったんだろう」というものが好きですね。とにかく、見ているだけで飽きない。

 飽きないよね。俺は気に入った石をこのジョージ・ピーターソンのボウルに入れて飾っているんだけど(右ページの写真)、たまに入れ替えたりすると、それだけで印象が全然変わる。

宇佐見 僕も玄関に石を置いているんですけど、並べ替えるだけでも全然雰囲気が変わりますよね。

 石ってどこにでもあって、それこそ川とか海に行けば死ぬほどある。その中から「これだ!」というのを見つけるわけだけど、それって自分の仕事と通じる部分があると思っていて。だから、石拾いは楽しい趣味なんだけど、実はものを見る目を鍛えるトレーニングにもなってる。

宇佐見 わかります。最近は海外まで買い付けに行けないから、なおさら石拾いに熱が入りますよね(笑)。


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石拾い中の南さん。「石拾いってけっこう疲れるんですよ。だから、後半はパンダみたいになって拾ってます(笑)」。
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南さんの寝室にある、石だけを飾った棚。ここに並ぶのは「2~3軍の石」だとか。
宇佐見さんが金沢で拾った石。右はハートの形状が、左は山脈のように見える模様がお気に入り。
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南さん宅のベランダに面した棚には高橋漠のカラフルなガラス作品やstudio noteの流木のオブジェなどと一緒に石が飾られている。 二人が拾った石は、Instagramにて公開中。


Photos:Satoshi Nagare
Text:Masayuki Sawada
Illustration:Yu Masuko

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