2023.08.14

上野毛・鴻龍の梅チャーハンと焼き餃子。【「あの人」の定番メシを訪ねる。行きつけで、いつもの。|第20回 】

写真家・平野太呂が、今気になる人の行きつけへ。決まって頼むというメニューを頼み、本音をつづる連載。今月は本誌でも人気の小澤さんが教えてくれた名店へ。

上野毛・鴻龍の梅チャーハンと焼き餃子。【の画像_1

今月のあの人

高級中華と町中華の交ざり具合がいい!
油がとにかく上品で胃に残らない。

小澤匡行さん/編集者
「東京スニーカー氏」連載でもお馴染みの小澤さん。「家族ぐるみでお世話になっています。餃子は僕にとって日本一。でも何を頼んでもおいしい」と推してくれたお店。


撮影・文・食/平野太呂

第20回上野毛 梅チャーハンと焼き餃子。

上野毛 鴻龍 梅チャーハンと焼き餃子

父の味

 かつて暴れ川だった多摩川が台地を削り、国分寺崖線という崖が東京の西に横たわっているのをご存じだろうか。今でも緑が多いこのエリアに、灰色の都会を逃れて居を移す政治家や財界人も多いという。そんな人たちに愛されてきたのが「鴻龍」である。そう書くとさぞ高級中華料理店だと思われるかもしれないが、そうではない。上野毛の小さな商店街が途切れるあたりに慎ましく佇む街の中華屋である。


 店に入るとネイビーのポロシャツを着たおかみさんが出迎えてくれる。編集者の小澤くんのおすすめは「梅チャーハン」と「焼き餃子」だ。とにかくお米がパラパラとしていて、要所要所での梅の食感が楽しい。細切りにした大葉をたっぷりとのせた、私史上最高の爽やかチャーハンであった。これは何度でも食べたくなる味だ。キッチンから出てきたシェフに親近感を覚えると、僕と同い年だった。先代のお父様から引き継いだ二代目。話をすると、これまでのお客さんも、新しいお客さんも満足させたいという気持ち、そして父の味を引き継ぎたいという強い思いを感じる。迷ったときは父が作った料理を口の中で思い出すという。小さい頃食べた父の料理の記憶と新しい試み。これが今の「鴻龍」を支えている。


鴻龍
重さやしつこさはゼロなのに、満足感は抜群な、極上の町中華。小澤さんのおすすめメニュー「梅チャーハン」¥1,650、「焼き餃子」¥550。
インスタグラムは@kouryu_official

東京都世田谷区上野毛1-28-15
TEL:03-3703-2397 
営業時間:11時30分~14時30分、17時~21時30分
定休日:月曜


Taro Hirano
カルチャー誌やファッション誌などで活躍。主な著書に『POOL』(リトルモア)、『ボクと先輩』(晶文社)など。



Title Design:Yu Miyama

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