木下古栗 (きのしたふるくり)

小説家。下ネタを多用しながら、小説の可能性を追究する異色の作風がカルト的な人気を集めている。著書に『グローバライズ』『生成不純文学』『人間界の諸相』『サピエンス前戯 長編小説集』など多数。


ホッとかき氷


 読者の皆さん、おはよんにちんわ〜! 栗美と申します。このたび、ウオモ公認の珍フルエンサーに就任することになりました。コンセプトとしては、SNS発のインフルエンサーも陳腐化してきた昨今、それとは違う珍な影響力を雑誌から発信してイキたいって感じ。珍って変わってるとか貴重とか、並外れてるとか、そんな意味よね。それが目指す方向。最終的にはアナ・珍ター(ウィンターのもじり)って呼ばれるくらいの影響力を獲得して、プロフ画像で私が着てるアイコニックなイガグリアウターを商品化するのが夢。

 そーゆーわけでブイブイやっていくわよ〜!って思ったんだけど、今年の夏もアツすぎて、もはや夏バテ気味…。マスク着の時間も長いから、顔がサウナ状態…。そうなると外から帰宅した時、夏らしくキーンとかき氷なんかを食べたくなるんだけど、室内は冷房を効かせるから、食べてるうちに今度は体が冷えちゃうのよね。とそこで、私は思いついたの。かき氷の状態で何口か食べて、その冷たさに涼んだ後、それをチンして温かい汁物として飲めば、冷房の中、いい具合にホッとして体を冷やさないんじゃ? 

 とゆーわけで、名付けてホッとかき氷を作ってみることに。まずは無難そうな宇治金時1に挑戦。抹茶を凍らせて削ったかき氷に、あんこと白玉をオン。さらに追い抹茶を粉末でパラッ。ポイントは普通の宇治金時とは違って、シロップじゃなくて、かき氷本体が抹茶というところ。これが思いのほかGOOD。シロップなしだから甘さ控えめ、追い抹茶もあって氷はうっすらした苦味でさっぱり、それがあんこと白玉の甘みを引き立てる大人の味(コメダ珈琲の小倉あんを使ったんだけど、これが美味しかった)。削った氷もマスカット色で綺麗。何口か食べて涼んだあと、耐熱容器に移してレンチン。すると抹茶入りおしるこ2に。これも抹茶の苦味が甘さを抑えて、上品な風味に。


1抹茶氷の宇治金時。レンチンすると2抹茶入りおしるこに。


 続けて少し冒険して味噌汁かき氷3に挑戦。だし汁のかき氷に、炙った油揚げと少量の味噌汁で煮た大根、そして適量の味噌をトッピング。見た目がちょっとアレなので警戒したんだけど、口に入れたら何たるマリアージュ! だし汁かき氷が舌の上ではかなく溶けながら少量の味噌と渾然一体、一瞬にして冷製味噌汁に。油揚げと大根の具を嚙むことで、その汁を味わう時間ができて、食感もよし(大根をかために茹でたのが大正解)。凍らせると溶けた時、やや水っぽく薄味になるので、だし汁は濃いめ推奨。実際、レンチンすると普通にイケる味噌汁だったけど若干、味が薄くぼやける気がした。

 お次はさらに冒険して蛤の潮汁かき氷4。潮汁のかき氷に、具の蛤を貝殻ごとオン。木の芽添え。この見た目がオイスターバーの氷に盛られた牡蠣みたいで珍スタ映えする。貝に氷をのせて食べてみると、危惧してた生臭さもなく、美味しいことは美味しい。でもかき氷が溶けたあと、残った蛤だけをもぐもぐもぐもぐ嚙むことに。つまり一体感がイマイチ。レンチン後はこれもやっぱり若干、水っぽく薄味に。むしろかき氷の状態の方が美味しいかも。


3味噌汁かき氷。だし汁氷は削ると透明に。4潮汁かき氷。


 ここで一転、洋風に挑戦。オニオングラタンスープかき氷5。コンソメのかき氷に、飴色に炒めた玉ねぎ、バゲットのチーズトーストをのせて、乾燥パセリをパラリ。でもこれはむしろ、チーズトーストに玉ねぎとかき氷、パセリをトッピングしてカナッペにして食べた方がいいかもと思って、そうしてみたら、ビックリするくらいUMAッ! 氷とトーストのザクッていう食感が響き合う中、冷と温が出会う。しかもトーストに吸い取られる口の中の水分をコンソメ氷がジューシーに補完。考えてみればコンソメって冷製のジュレにしたりもするし、まさにフレンチのオードブルって感じ。

 そしてラストはコーンポタージュかき氷6。粒なしのコンポタのかき氷に、具はスイートコーンと乾燥パセリ。これは糖度と粘度が高いせいか、削った時点で他とは違う。ちょっとアイスクリームっぽいの。で、食べてみると本当にアイスクリームっぽくて、これも驚きのUMAッ! 甘み強めの冷たくても飲める紙パックのコンポタを使ったんだけど、それが良かったのかも。スイートコーンの粒々も、チョコチップアイスみたいな感じで絶妙。ちなみにオニグラもコンポタもチンすると、やっぱり少し水っぽい気が。


5オニグラかき氷。マジUMA。6コンポタかき氷。鰹節みたいに削れる。


 意外にも汁物系はかき氷の方が美味だったので、是非やってみてね。そして心の中でいいね&フォローよろしく。合言葉は#Oh珍々!