ルビーレッドの魚雷に物欲が射貫かれそう。


パリ最古のクチュールメゾンである「LANVIN(ランバン)」が、世界的人気モデルのベラ・ハディッド(Bella Hadid)とフランス人ラッパーのラヴ・レスヴァル(Luv Resval)を起用した2021年秋冬キャンペーンヴィジュアルとショートムービーを公開。


クリエイティブ・ディレクターを務めるブルーノ・シアレッリ(Bruno Sialelli)のヴィジョンが示された本キャンペーンでは、ファッション界きってのアートパートナーであるマート・アラス&マーカス・ピゴット(Mert Alas & Marcus Piggott)のタッグが撮影を手掛けた。



Yellow Applause, 1966



このキャンペーンヴィジュアルには着想源がある。


それは、米国ポップアート界の一角を担うジェームズ・ローゼンクイスト(James Rosenquist)の代表作である『Yellow Applause』(1966)、『Ultra Tech』(1981)、『Morning Sun』(1963)、『Through a Glass Ceiling』(2004)ら4点のポスタープリントだ。


ウォーホルやリキテンスタインなどとともに、高次元と低次元の文化的マッシュアップを企てた旗手が放つ特大のコラージュ作品が、発表から数十年の時を経て魅惑のサンプリングとして機能した。



Ultra Tech, 1981



伏線は、先の3月にオンライン発表された2021年秋冬パリコレクション。エネルギッシュに躍動する「ランバン」は、キャンペーンの視覚的解釈を取り入れつつ、メゾンのエレガンスをオートクチュールとポップカルチャーの示唆に富むイメージに変換していた。


それに付随する本キャンペーンでは、ローゼンクイスト作品のポスターを背景に据え、カラーパレットを揃える直接的なアプローチを試み、フラッシュバックとともに今秋冬の世界観と共振させている。



Morning Sun, 1963



公式ステイトメントが定義するこのキャンペーンヴィジュアルの趣旨は、ポップなるものが孕む逃避とファンタジーとの対峙、荒廃しながらも変化と進化をし続けているファッションシーンの現在形であるという。


ポップアートの大家に胸を借り、メゾンのミューズであるベラ・ハディッドとラヴ・レスヴァルを媒介にした渾身のヴィジュアルは、ブルーノ・シアレッリから現代ポップカルチャーへの挑戦であり、賞賛なのだ。



ちなみに、今もなお多くの批評家を魅了してやまないジェームズ・ローゼンクイストの作品に共通するメッセージは、“カラフルで官能的な地球の豊かさと、地球の破壊に関する対照的なアイデア”など。


ときに大量生産・大量消費社会への冷笑的アプローチに接近し、“誘惑と危機感、消費主義への暗示”などとも評された。その背景から、ファッションとのシンパシーも1960年代当時から非常に強い。



Ultra Tech, 1981



そして、ブルーノ・シアレッリが手掛ける新生「ランバン」も5シーズン目に突入。シアレッリは2019年1月からメンズとウィメンズのクリエイティブ・ディレクターを務めている。キラめくショートムービーとともに、“文化系男子”は記憶のノートに記しておこう。



Through a Glass Ceiling, 2004



コマーシャルで通俗的なポピュリズムの象徴が、2021年秋冬、モードの聖地でファッションの剛力に転換。モードなキャンペーンヴィジュアルは奥深いのだ。


まさに、「ランバン」を買いたくなる。




Lanvin 2021 Fall/Winter Ad Campaign
Photography: Mert and Marcus / Creative Direction: Bruno Sialelli, LANVIN / Image Direction: Ezra Petronio / Stylist: Carlos Nazario / Hair: Jawara / Makeup: Cécile Paravina / Talents: Bella Hadid & Luv Resval

©2021 James Rosenquist Foundation and James Rosenquist, Inc. / Licensed by Artestar, NY. Used by permission.All rights reserved.

<問い合わせ> コロネット TEL:03-5216-6518

Text: Takafumi Hojoh