2021.05.09

大人が今学ぶべき、アルマーニとエルメスのエレガンスとは?

何の思考もなしに自動的に手に取るような無難な夏の定番品はもういらない。毎日袖を通す当たり前の服こそ、長考したうえで愛用したいと思う。「最新」ではなく「細新」なベーシックを選ぶ理由。

大人が今学ぶべき、アルマーニとエルメスのの画像_1

かく学ぶスタイルの温故知

EMPORIO ARMANI

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「エンポリオ アルマーニ マガジン」を知っているか? ジョルジオ・アルマーニ氏が1981年に「エンポリオ アルマーニ」をローンチした際、若者ともっとコミュニケーションを図りたいとの思いから、’88年から’97年まで刊行された伝説的フリーファッションマガジンだ。2017年に一度復刊されたが、現在では古本市場で高値で取引されている。ここに載っているのはタイトなトップスにワイドパンツという、いわゆるザ・アルマーニスタイル。着こなし全体がゆるくなりがちな今、見返してみると、その緩急をつけたスタイルがとてつもなくかっこよく見えた。と同時に、ずっと変わらないスタイルを貫くアルマーニ氏の着こなしを真似したい衝動にかられる。ネイビー×黒に白スニーカー。資料から学び感動した、流れるように洗練された普遍的なスタイルを、最新コレクションで作る。衝動買いとは異なる長考買いならではの醍醐味だ。なにはともあれ復刊希望! スタンドカラーのシャツ地と柔らかいカットソー地で切り替えられたタイトフィットのトップスに対し、強撚糸を使用した波状の凹凸があるクレープ素材のパンツはゆらゆらドレープが生まれ美しい。 カットソー¥51,700・パンツ¥94,600・スニーカー¥33,000/エンポリオ アルマーニ(ジョルジオ アルマーニ ジャパン) その他/私物

かく学ぶブランドの温故知

HERMÈS

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本当に好きなブランドの品物はとってつけた知識ではなく、発売に至る経緯まで細かく吸収してから買いたい。エルメスの歴史を描き1997年に出版された漫画『エルメスの道』に、その後のストーリーとして63ページを加え、24年ぶりに新版が刊行された。再びペンを執ったのは漫画家・竹宮惠子氏。いまや代名詞となったレザーバッグやスカーフ「カレ」などの名作にまつわる誕生秘話のほか、メゾンが前進するための苦労や成功エピソードを無理なく楽しく学ぶことができる。考えてみたらアイテム一点一点に物語のあるブランドはなかなかない。偉大なブランドの壮大な歴史を知ったうえで、そこには描かれていない現在進行形のデニムキャップやポケットTシャツ、ネオンカラーブレスレットなど若々しいアイテムを身につける高揚感は格別だ。自宅で十分に名作に思いを馳せたら、2月にオープンしたエルメス表参道店へ歴史の続きを見に行こう。そして長考するのだ。 キャップ「マイルス」は浅めのかぶり心地でメガネと相性抜群。ブレスレットはコード部分が編み込みレザーの「ジャンボH」をポリエステルコードにアップデート。 新版『エルメスの道』(竹宮惠子著、中央公論新社刊)¥1,760・Tシャツ¥45,100・デニムキャップ¥60,500・ブレスレット¥36,300/エルメス(エルメスジャポン) メガネ/私物



Photos:Mitsuo Okamoto
Hair:HORI[bNm]
Stylist:Junichi Nishimata
Model:Seima Matsuzaka

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