2023.12.17

『ゴクシンカ』でわかる、成し遂げるために大切なたった一つのこと【来世で使いたいマンガ名言|劇画狼】

マンガの中には心揺さぶられる名言がたくさんある。そんな名言の数々を、現在連載中の作品から劇画狼がピックアップ! 来世で使いたいと思ってしまう名セリフを紹介します。今回はピエール手塚先生による極道異能アクション『ゴクシンカ』より。

『ゴクシンカ』でわかる、成し遂げるためにの画像_1

 突きつけられる無理難題、課される厳しいノルマ。われわれ社会人を毎日苦しめる「こんなのどう考えても正攻法で切り抜けられるわけがない」という日常。もがきながら生きる現代人の仕事に当たり前に求められるものでありつつ、それを成せる者と成せない者がいる。その違いは何なのか…?の答えが描いてありました! 『ゴクシンカ』第10話に!

ゴクシンカ_ピエール手塚_KADOKAWA_第10話_01
 ひょんな事情で転生もせずに現代社会でヤクザになってしまった主人公・手塚冷士は、入院した若頭の代行として、旧態依然として収益の上がらない組織を立て直すために「世の中はたくさんの歯車が嚙み合って動いているものだから、それを無視して自分の都合だけを考えていてはいずれ先細る」と真っ当な改革案を組員に提案するが、まったく話が嚙み合わないどころか、「なぜ悪いことをして稼ぐことがダメなんだ。お前は悪いことをするのにブレーキがかかってしまう選択肢の狭い人間ってことだ」と反論される。なるほど、善悪を無視することで広がる発想の柔軟性。そういうのはあるな!
ゴクシンカ_ピエール手塚_KADOKAWA_第10話_02
 確かに悪いことをするブレーキを壊して考えれば、商品を反対車線からも見えやすくするために街路樹を除草剤で全枯らしできるし、牛肉100%と表示したひき肉に豚肉や鶏肉、パンの切れ端を混入させて水増しを図ることもできる。「仕事を通して社会に貢献したい」とか「スキルアップしたい」とか「周りを笑顔にしたい」とか、そういうものはすべてノイズだ。どんなことをしても勝てばいい。車屋も、肉屋も、そしてヤクザも。…というのは一度は使ってみたい手法ではあるものの、逮捕されても失うものがない人だけが使っていいという前提があるので、ここまで私が延々と書き散らした屁理屈はすべて忘れてください。どうしても使いたい場合は来世でぜひ!


 ということで、それはそれとして、『ゴクシンカ』は「自分とはまったく違う理で生きている人とも関わりをもって生きていかなければならない」ということを理解して、ただ単純に持論を押しつけて敵を論破してスッキリ!ではなく、縁を切れば解決する人間関係に必死で折り合いをつけて「それでも一緒にやっていこう」という気持ちが伝わるかっこいい作品。大人として何よりも大切な「どうでもいいことを考え続ける」ことを後押ししてくれる最高の逸品です。


ゴクシンカ_ピエール手塚_KADOKAWA_表紙

『ゴクシンカ』
ピエール手塚 全2巻/KADOKAWA

顔が怖いという理由だけでヤクザの若頭代行となった手塚はトラウマを具現化する能力を駆使してシノギの合法化を進めるが、「ゴクシンカ計画」の全貌がついに明かされる…!



劇画狼
特殊出版レーベル・おおかみ書房代表。プロの漫画家が商業誌に掲載したが単行本化されなかった未収録作品の書籍化や書評、大阪の画廊モモモグラでの原画展企画、イベント司会など。



Ⓒピエール手塚/KADOKAWA

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