生放送中のテレビ番組で突如として人間が膨張し爆死するという怪事件から始まるNetflixシリーズ『ガス人間』。各所で話題の本作で共演する小栗旬さんとUTAさんに、作品のことやお互いのことを聞いた。
第一印象はお互い「デカいな」
――おふたりが出演する『ガス人間』は、1960年に公開された東宝の特撮映画『ガス人間第一号』を原作に、完全なオリジナルストーリーとして再構成したリブート作品です。小栗さんは連続殺人犯であるガス人間を追う刑事、UTAさんは本作が演技初挑戦ながら物語のキーマンともいえるガス人間を演じています。オファーを受けて、まずは何を思いましたか?
小栗 お話をいただいたのが約4年前で、脚本とエグゼクティブプロデューサーを務めるヨン・サンホさんが来日された際に、一緒に食事に行かせていただきました。そのときにものすごく楽しそうに『ガス人間』の話をされていて、それを聞いてすごく心をつかまれ、何らかの形で関わりたいなと思いました。ただ、自分が演じた岡本賢治という役はオリジナルキャラクターなので、自分で何かをアプローチしていくというよりは、現場にインしてから監督の片山慎三さんと一緒に手探りで人物像をつくり上げていく感じでしたね。
UTA 僕自身、ここ数年、海外作品を含めて、いろいろなオーディションを受けながら本当に自分に合ったものをずっと探していました。お話をいただいたときはとてもうれしかった半面、率直に「こんな豪華なキャストの中に自分がいていいのか」と思いました。自分の中でも大きなチャレンジでしたし、周りの人たちにどう追いついていくかとか、最初はいろいろなことを考えました。でも、逆にそういうプレッシャーもいい意味で受け止めて撮影に挑んでいけるなと思ったのと、何よりスタッフさんたちの熱量がものすごく高くて、間違いなく面白い作品になるという気持ちを本当に強く示されていたので、それに懸けてみたいじゃないですけど、自分の人生の新たな第2章という意味でもチャレンジしてみようと思いました。
――お互い初めて会ったときのことは覚えていますか?
UTA 東宝で会いましたね。
小栗 リスペクトトレーニングのときだよね。リスペクトトレーニングというのは、現場ではこういうことに気をつけましょうとか、ハラスメント的なことをみんなで確認し合う場で、そのときが最初だった気がします。第一印象は「デカいな」ですね(笑)。
UTA 僕も「デカいな」と思いましたよ(笑)。小栗さんはすごく落ち着いていて、オーラをすごく感じましたけど、最初から気さくに話しかけてくださって、とても心地よい空気をつくってくださいました。
――小栗さんからUTAさんに何かアドバイスをしたりとかはあったんですか?
小栗 そういうのはしてないですね。ガス人間は無機質な状態で僕らの前にいるという場面が多くて、そこで何かやり取りするということもなかったので。ときどき現場で顔合わせたりするときに、「どう? 慣れてきた?」みたいな話はしたと思います。
UTA 気にかけてくださっているのはわかりましたし、本当にありがたかったです。小栗さんはとにかく座長感がすごくて。ケータリングだったり、差し入れだったり、サービスのレベルがもう違い過ぎて、本当に仲間思いだなというのはすごく感じました。みんなが小栗さんを頼りにしていましたね。
今この瞬間のUTAという人じゃないと出せないものが映っていた
――UTAさんは初めてのお芝居ということもあって、悩んだりすることもあったと思います。そういうときはどのように対処していったんですか?
UTA 何もかもすべてが初めてのことだったので、常に不安と緊張はありました。ただ、プロフェッショナルな方たちというのは、変な緊張感とかプレッシャーを与えないようなお芝居だったり、こちらに自然とお芝居をさせてくれる力を持っていると思うんです。そういう空気をずっと感じられるような現場だったので、自分がオフの時間もできるだけ現場に行っていました。毎日何かを学ぶことができて、とてもいい経験をさせてもらいました。
小栗 途中で過去パートを撮影した映像を見せてもらったのですが、そこには今この瞬間のUTAという人じゃないと出せないものが映っていましたね。初めての体験をしている瞬間って人生の中で1回しかないので、その新鮮さとか美しさみたいなものがありました。僕も含めて、いろいろなもの溜まっていってしまっている人間には出せないものだから、眩しく見えましたね。すごく溌剌として、本当に素晴らしかったです。
――撮影中の出来事で特に印象に残っていることは何ですか?
小栗 いろいろあるんですけど、僕はサランラップを顔に巻かれるシーンが印象に残っていますね。「小栗さん、きつかったら言ってください」と言われても、ぎちぎちにラップを巻かれているし、手も足も縛られているので、「本当に息が出来なくなったらどうしたらいいんだろう」って思いながら演じていました(笑)。
UTA あの場面はすごかったです。見ていましたけど、本当に容赦なく顔に巻いてましたよね。
小栗 アクション部のスタッフさんがすごく優しい方なので、ちょっと緩めに巻こうとしてくれたりするんですけど、そうすると監督の撮りたい画にはならないから、「ガツンといってください。優しさがあるとたぶんオーケー出ないから」と言ってやってもらいました。
――1回でオーケーは出たんですか?
小栗 いや、数回やっています。あれは怖かったですね(笑)。
UTA 怖いでいうと、僕はビルの上から飛び降りるシーンがあるんですけど、あれはスタント無しで自分でやったんですよ。ワイヤーをつけてビルの4階から飛び降りました。ビルの4階ってけっこう高いんですよね。
小栗 いちばん恐怖を感じるぐらいの高さだよね。俺もね、5~6階から実際に飛んだことがある。
UTA そうなんですよ。もちろんアクション部のスタッフさんがちゃんとサポートしてくださっていますし、信用をしているんですけど、飛び降りる最初の一歩というのがやっぱり怖くて。
小栗 自分で踏み出すあの一歩ね。
UTA そうです。いまだに忘れられないです、あの感覚は。下でも一連のシーンを撮っていて、それを待ってから飛び降りるんですけど、ひとりで待っている間の緊張感と恐怖心はすごかったです。めちゃくちゃいい経験になりました。
敵同士でごりっごりのアクションをやりたい
――この先の未来について具体的なイメージはあったりするのですか?
小栗 うーん。僕は、今現在はまだあんまりないかもしれないです。続けていったらどういうところにたどり着くんだろうというのを楽しみにしているという感じですかね。あとは、今回の『ガス人間』の脚本のヨン・サンホさんもそうですが、もっとグローバルにいろいろな国の人たちと交われる環境に身を置く時間をつくれたらいいなと思っています
――UTAさんはどうですか? 俳優業を本格的にスタートさせるんですよね?
UTA そうですね。初めてこの世界に入ってきたとはいえ、年齢的にも遅いほうですし、素晴らしい俳優さんがたくさんいらっしゃる中でどれだけやっていけるのか、自分にいいプレッシャーを与えながらお芝居を学んでいきたいなと思っています。そして、いつかは海外の作品に出てみたいですね。今回の『ガス人間』もそうだったように、出会いを大事にして、小栗さんと同じくどういうところにたどり着くのか楽しみに進んでいきたいです。
――もしまた小栗さんと共演するとしたら今度はどんな役がいいですか?
UTA ごりっごりのアクションとかやりたいです。戦いたいです。
小栗 敵同士ということ?
UTA 仲間でもいいですけど、やっぱり対戦したほうが面白いかなって。アクションがやりたいです。
小栗 ビルから飛び降りるのはナシね(笑)。
1982年生まれ、東京都出身。「花より男子」(2005年)や『クローズZERO』シリーズ(07年・09年)の大ヒットなどで人気を不動のものとし、その後もアート系作品から超大作までバラエティに富んだ作品に出演。近年の主な出演作は、NHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』(22年)、『豊臣兄弟!』(26年)、映画『キングダム 大将軍の帰還』(24年)、『フロントライン』(25年)。公開待機作に『バッド・ルーテナント:トウキョウ』(26年公開予定)がある。
1997年生まれ、東京都出身。幼少からインターナショナルスクールで学び、中学時代はスイスへ留学。高校からは米国に渡り、大学時代はバスケットチームに所属。18年、フランスのモデルエージェンシーと契約し、パリコレデビューを果たす。現在は東京を中心に、ミラノ、ロンドン、ニューヨークでも活動中。
Netflixシリーズ『ガス人間』
Netflixにて独占配信中
原作: 『ガス人間第一号』(監督:本多猪四郎/脚本:木村武)
監督: 片山慎三
脚本: ヨン・サンホ、リュ・ヨンジェ
企画・製作:東宝
キャスト: 小栗旬、蒼井優、広瀬すず、林遣都、UTA、竹野内豊
謹慎中だった刑事・岡本賢治(小栗旬)は、前代未聞の殺人事件の捜査に駆り出される。生放送番組に出演中の大学教授の身体が突如として膨張し、爆死したというのだ。現場に向かった賢治は、かつて愛した女性で事件を目撃した報道記者・甲野京子(蒼井優)と再会。驚く暇もなく、《ガス人間》を名乗る男(UTA)が連続殺人を予告し、世間は大パニックに陥る。犯人逮捕と真相究明に乗り出す賢治と京子だったが、2人をあざ笑うように次々と消されていくターゲットたち。果たしてガス人間とは何者なのか? なぜ特異な能力を手にしたのか? その真の目的とは一体?