2022.09.27

小説家・木下古栗がUOMOで連載! 【珍フルエンサー栗美】第11回 夏の白くまたち♡

インフルエンサーならぬ珍フルエンサーの「栗美」が、珠玉の“珍”トピックを「Chinstagram」にアップする連載。今回は、大好物の「白くま」で夏バテをぶっ飛ばす!?

小説家・木下古栗がUOMOで連載! 【珍の画像_1
木下古栗 (きのしたふるくり)プロフィール画像
木下古栗 (きのしたふるくり)
小説家。1981年生まれ。著書に『生成不純文学』『人間界の諸相』『サピエンス前戯 長編小説集』など多数。木下氏の短編「大量絶滅」が収録された『真藤順丈リクエスト! 絶滅のアンソロジー』が発売中。

夏の白くまたち


 読者の皆さん、おはよんにちんわ~。珍フルエンサーの栗美です。今年の夏も何だかんだ言って暑くて、私なんか古代ローマの奴隷みたいな格好で過ごしがちだったけど、野郎どもは相変わらず、気合い入れてお洒落を楽しんでるかしら? 私の場合、蒸し暑すぎて年々、夏に服を着るのが無理に感じられてきて、かといって外でフルヌードをお披露目してもそれはそれで、貴様らは美ボディを拝めて嬉しくても、私の方は日焼けの問題とかも出てくるじゃない? 着たら暑いし脱いでも焼かれるっていう、ジレンマの季節、それが夏。



 でもそんな蒸し風呂と日サロが合体したかのような季節でも、というかだからこそ、涼を取るっていう楽しみがあるわよね。私の場合、それはカフェや喫茶店に入って、アイス盛り盛りのパフェやサンデー、ソフトクリーム、かき氷なんかの冷たい甘味を食べること。特に夏の風物詩と言えばかき氷だけど、その中でもオススメなのが鹿児島発祥の「白くま」。かき氷に加糖練乳とかミルクシロップをかけて、その上に小豆やフルーツを盛り付けたもので、今やコンビニでもお馴染みよね。それが近年はインスタ映えとかの影響もあってか、見た目をまさに白熊の顔の形に作ってるお店もあるの。これが可愛すぎて、まさに食べるテディベア!



 そこで今回、過ぎゆく夏の思い出を振り返りつつ、可愛い白くまたちを貴様らに紹介しようと思うでござる(忍者)。晩夏のうちに急いで駆け込むか、来夏にでも食べに行ってみてね~。


あんみつ抹茶処 雷門まとい 東京都台東区浅草1の3の3 2階 TEL:03(3841)7508 営業時間:12時30分~18時、土・日曜・祝日〜19時 水曜休み 茶寮 煉 千葉県市川市八幡2の5の6 1階  TEL:047(335)1110 営業時間:11時~19時 345 SANDECO COFFEE 数学カフェ 鹿児島県鹿児島市名山町4の1 2階  TEL:099(213)9533 営業時間:9時~17時 PÂTISSERIE YANAGIMURA 武岡本店 鹿児島県鹿児島市武岡1の19の3  TEL:099(283)0382 営業時間:10時~19時


 まず都内で言えば、浅草の老舗「雷門まとい」の「しろくま」は定番。こちらはおそらく、プレーンなかき氷をまず作って、その上からミルクシロップをかけてる。だから表面の氷がちょっと溶けて、水遊びから上がってまだ毛が濡れてるみたいな、そんな質感の白くま。お目々はレーズン、鼻は糖衣グミ、そしてアンズの耳とぎゅうひのほっぺたが非常にカラフルでチャーミング。スプーンで頭頂からガシガシ掘っていくと、中には脳みそとかはなくて無味なんだけど、ミルクとカラメルの追いシロップ付きだから、甘党も納得。せっかく可愛いのに、ほんの数口でもう形が崩れちゃうっていう儚さが、甘さも相まって背徳感をそそるのよね。それはまるで、あの熱帯夜の一夜の過ちのよう…。



 次にちょっと都内から出る場合、本八幡の「茶寮 煉」は今、大人気のお店。こちらの「しろくま氷」はおそらく、乳白色の練乳氷を削っているので、出来立てはフサフサした毛を思わせる質感。より縫いぐるみっぽいというか。そして顔が見上げてくる角度だから、つぶらな小豆の瞳と見つめ合う格好になって、本当に食べづらいほど可愛いの。鼻はクコの実、耳は白玉、アイス部分は日によって色が違うらしく、この時は黒蜜味だったと思う。フルーツも襟と蝶ネクタイみたいでこれまたキャワイイ。顔型に成形された白くまは大抵、鼻口まわりがアイスクリームだから、かき氷と両方食べられてお得なんだけど、ここの場合、器の底の方に粒あんと寒天が隠されていて、あんみつまで兼ねてるという嬉しい驚き! それはまるで、ちょっと涼むために入ったパチンコ屋で、束の間のスロットを楽しんだら、大当たりが出てしまったあの真夏日の一石三鳥のよう…。



 そして白くまの発祥地、鹿児島に行く機会があれば是非訪れたいのが「数学カフェ」。このお店は通年で白くまを提供してて、贅沢なフルーツ風呂に浸かった「しろくまの湯」や小ぶりの「ちびくま」、さらに「くまラテ」など、かき氷以外の白熊メニューもあり、どれも可愛すぎて悶絶。のフルーツまみれの白くまの姿はまるで、外に出たくないあまり、冷房の効いた部屋で一人ファッションショーをするうちに、裸体にありったけのジュエリーを身につけていたあの猛暑日の私の狂気の沙汰のよう…。



 最後にお取り寄せの逸品として「パティスリーヤナギムラ」の「フローズンしろくま」もオススメ。かき氷じゃなくてアイス系なんだけど、顔部分は繊細なシャリシャリ感が上品、カップに収まった部分はミルク風味が濃厚で、みかん、ぶどう、チェリーなんかのフルーツがたっぷり。甘味のくせにちょっと塩顔の、この白くまは「ブランちゃん」っていう名前なんだけど、真っ赤なお鼻が上向いてるのが特徴。それはまるで、連日の蒸し暑さに耐えきれず、とうとうノーブラで外出するようになった今年の夏の私の、ツンとした透け乳首のよう…。



 そんな夏だったけど貴様らも是非、可愛い白くまを味わってみてね。そして心の中でいいね&フォローよろしく。合言葉は#Oh珍々!


RECOMMENDED