「顔のキレイな男が気色悪い旋律の音楽をやっている」ものだけを聴いてこれまで生きてきました! 故にブサイクがやってる表現の一切に興味を示しませんし、ブスはお台場に巨大な穴掘ってそこに各自入ってじっとしといて欲しいと思っているんですが、なんでそんな偏り過ぎな嗜好になったかと言いますと、すべてYBO2(イボイボ、またはワイビーオーツーと読む)の北村昌士先生のせいなのです!

【掟ポルシェの尊すぎ!! 推し活メモリーズ #11】最高に耽美で、最高に気色悪い=北村昌士。これ最高の賛辞です!

 北村昌士は1977年にユーロプログレからニューウェイヴ、ノイズインダストリアルまで世界中の偏った音楽だけを取り扱う雑誌『Fool’s Mate』を立ち上げた伝説の雑誌編集長。フランス現代思想用語を駆使して奇っ怪な音楽を魅惑的に言語変換していく独自の筆致は、一般的に愛されにくいとされるノイズや不協和音&変拍子がふんだんに盛り込まれた凶悪な感触の音楽ほど聴く価値があるものだと思わせるに十分。そして北村昌士先生の魅力をより一層ブーストさせているのは、BLマンガを先取りしたかの如きメチャメチャ整った顔立ち&病的な細さを誇る体型という、病んだ少女たちの心を100パー射抜くルックスの病みカッコ良さ。ロック評論家というよりロックスターの方が天職と言えるあやしい佇まいは、もう夢野久作の小説から飛び出してきたかのよう。北村先生の御影が載ったフールズメイトを切り抜いてクリア下敷きの中に挟んで入れるという、「音楽誌編集長のルックスファン」なる気持ちの悪い少年少女までも生み出したとか(そうだよ俺だよ悪いかよ)。


掟ポルシェ_フールズメイト_北村昌士

こちらが高校時代の俺が下敷きに入れていた北村昌士先生御影(彩色by俺)。学校の勉強が全然出来なかったのは、一切の家庭学習を放棄して家でこういうのばかり作っていたからどぅえっす! んんん~~~、実にトランス!

YBO2_北村昌士_ドグラマグラ

YBO2の1stEP「ドグラマグラ」。奇書でおなじみの夢野久作同名小説に負けず劣らずスカラカチャカポコでドガーンバギーングワッシャーンな奇・多め曲でございまドグラマグラァ~ッ!!!


 そして1984年、偏狭音楽を語る側だった北村昌士がついに自身のバンドを立ち上げて最狂の偏狭音楽を創出することになります。それがYBO2です! キング・クリムゾンをパンクにしてディス・ヒートをぶっかけてケロイドノイズまみれにした上に、キュアーのロバート・スミスみたいなヘロヘロ声が乗っかるという、北村昌士の趣味全部入り。キング・クリムゾン評論の第一人者でもある北村自身がモロにクリムゾンな手癖全開の巻き上げベースを弾きながらロバヲが如くヘロッと歌い、思いつくフレーズが全部変拍子でエイトビートを叩くと緊張するという変拍子ドラマー吉田達也がゲートかけ過ぎてほぼ金属音ドラムを手数多く叩きまくり、狂った尺八みたいな洪水フィードバックノイズギターを搔き毟るNULLの溶解サウンドが渾然一体となり、爆発的なまでに人の心を不安にさせる超絶怪旋律を耳から血が出るVOLでぶっ潰れプレイ。そんなもん俺が好きにならないわけないでしょ!? リリースも当然メジャーレコード会社は無理、北村先生自らが創設したトランスレコードから。にもかかわらず、1stアルバム『ALIENATION』は1万枚のセールスを記録(俺調べ)! 一般に知られるレベルではないにせよ、この難解な音楽が当時何故これだけ売れたかといえば、自らのバンドの音楽を魅力的に言語化する力を北村昌士の筆力が持ち、そして告知メディアとしての紙媒体を自ら持っていたことで大々的に宣伝することが出来たからなのだが、病的にして流麗なグッドルッキン美男がやることにより、難解なメロディの気持ち悪い音楽を理解するための障壁をあっさり取り除いてしまったことも大きいと思う。


掟ポルシェ_北村昌士_写真

北村昌士先生と一緒に撮ってもらった唯一の写真。場所は昔の高円寺20000Vの上にあった回転寿司屋の前。NAPALM DEATHのキャップにWHITE ZOMBIEのTシャツというバンT一張羅で顔を強張らせ大緊張。色褪せない高品質100年プリントで焼いている辺りにトランスガイズとしての気概を感じる。


 YBO2の他にも、トランスレコードには明らかに顔で選んだと思われるあやしくキレイな顔立ちの男がフロントマンのバンドだらけで、V系の元祖と言われることもしばしば。どのバンドも気持ちの悪い音階の音楽揃いで、結果そんなのばかり聴いていた俺のようなトランスギャルならぬ「トランスおじさん」を大量生み出すことになるのです。キモくて複雑なの大スッキ!


Profile
1968年北海道留萌市生まれ。ニュー・ウェイヴ・バンド「ロマンポルシェ。」のボーカル、楽器、および説教担当。荻窪のラーメン屋「ひつじそば 人と羊」をこよなく愛する。



Text:Okite Porsche
Photos:Kanta Matsubayashi
Title Design:ZUMA

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