2022.09.03

【真田広之、アーロン・テイラー=ジョンソンへインタビュー】 映画『ブレット・トレイン』、キャラクターの魅力とは?

日本の架空の列車を舞台にしたアクション映画『ブレット・トレイン』。主要キャストの真田広之、アーロン・テイラー=ジョンソン、監督のデヴィッド・リーチに話を聞いた。

【真田広之、アーロン・テイラー=ジョンソの画像_1

2022年9月1日(木)に公開されたばかりの劇場最新作『ブレット・トレイン』。累計300万部を超える伊坂幸太郎屈指の人気作<殺し屋シリーズ>の2作目『マリアビートル』(角川文庫刊)を原作としている。

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舞台は東京から京都までの列車内--。 主人公の世界一不運な殺し屋レディバグは、東京発の超高速列車でブリーフケースを盗み、次の駅で降りるというミッションを請け負った。簡単な仕事のはずが、次から次へと乗ってくる身に覚えのない殺し屋たちに命を狙われ、降りたくても降りられない。最悪な状況の中、列車はレディバグと殺し屋たち、10人を乗せたまま終点の京都に向かうのだが…実は乗り合わせたはずの10人は偶然ではなく、仕組まれた罠だった。
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主人公のレディバグを演じるのはブラッド・ピット。彼に襲いかかる殺し屋たちにアーロン・テイラー=ジョンソン、ジョーイ・キング、ブライアン・タイリー・ヘンリー、アンドリュー・小路、真田広之など、個性あふれる役者が揃う。
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主演のブラッド・ピット含む主要キャストが来日

今作の最大の魅力は、なんと言っても豪華俳優陣が演じるキャラクターにある。衣装からして、とにかく濃い。そこで、監督のデヴィッド・リーチ、剣の達人エルダー役の真田広之、殺し屋タンジェリン役のアーロン・テイラー=ジョンソンに各キャラクターの役作り方法とその魅力を聞いた。

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「原作とはアレンジが違っていて、オリジナルの復讐劇が加わっています。アクションとコメディと人間ドラマ(家族の話)が深く関わっているので、そこを大事にやっていこうと思いました。監督の指導のもと、本能に従って演じたという感じですね」

真田が演じるエルダーは、何者かに子どもを傷つけられ復讐に駆られる息子キムラ(アンドリュー・小路)の父親。一見慎ましく寡黙な男でありながら断固として家族を守るという多層的なキャラクターだ。

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「日本の原作からインターナショナルなキャストが集まりました。そこで唯一日本人として残ったパーツを任されたので、日本語にしても動きにしても、日本人らしく見えるところは妙にウエスタナイズ(西洋化)されないようにしっかりと。それでいて国際的なキャストの中でも浮かないようにバランスを取るのが一番のテーマでした」 また、衣装に関しても日本人ということを意識したようだ。 「和洋折衷でやりたいという監督からの意向があり、衣装合わせで意見をいろいろ交わしながら、ジャケットを日本の羽織風に作ってみたり。そういったコラボレーションも行われてとても楽しいセッションでしたね」
ブレット・トレイン 映画 アーロン・テイラー=ジョンソン
一方、アーロンが演じるのはタンジェリンという愛称の男。サヴィル・ロウのスーツを着た殺し屋で、髪を後ろに流し、派手なゴールドのアクセサリーで決めている。 「僕の演じるタンジェリンはかなり派手に自己アピールする男なので、もちろんスリーピーススーツは着ているんですけど、スタイリッシュなだけではなくちょっと成金的な感じ。『お金は持っているけど、使い方はよくわかっていないよね』みたいな衣装です。映画が進むに連れてタンジェリンはどんどんやられていきますが、シャツがめちゃくちゃになったりタトゥーもあらわになって、そこから彼の半生が垣間見える展開になる。やっぱりキャラクターを語る衣装や小道具は欠かせないので、それを使って役の中に入り込んでいきました」
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アーロンは役と自分自身との切り替えもやはり衣装だと語る。 「撮影が終わったら、衣装を脱ぎ捨てて、演じる時と切り替えていました。まぁ、脱ぎ捨てなきゃ奥さんが家に入れてくれないんですけど(笑)」
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撮る側のデヴィッドもまた、キャラクター造形のメイクと衣装は重要な部分だと考えている。 「作品を観た時に現実逃避できるような、映画と共に自分の願望が叶うクレイジーな旅をしてもらえるような作品にしたかった。衣装とメイクに関しては素晴らしい役者陣とコラボレーションしながら、ちょっと誇張した感じに作りました。それは列車のセットなどの世界観と同じ。楽しいんだけど、ちょっとポップなところもあって。衣装は観ていてアイコニックなものになっていればいいと思っています。コスプレしていただけたら嬉しいですね」
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努力や事前準備をしてこそ掴み取れるのが幸運というもの

ブラッド・ピット演じる主人公の名、“レディバグ”とは“てんとう虫”の意。運の悪い殺し屋に対して幸運を運ぶ「てんとう虫」と名付ける、皮肉めいたコードネームだ。レディバグにちなみ「自分は幸運と思うか?」の質問を投げた。答えは三人ともYES。

ここにいるという時点で運が良いと語るのは真田だ。「エルダーで言うと運命というものをすごく感じるので。どの作品がなくてもこの場にいなかったし、どの人との出会いがなくてもこの場にはいられなかった、全ての人との出会いに感謝したいし、出会えてきたということは本当に運が良いのだと思います」

アーロンは「すごく運が良いと思っています。まずはこの役を勝ち取れたことが幸運ですね。あれこれ失敗したり、幸運でないことも起きたりはしますが、あくせくしながらも結果オーライ的なことになってるんだろうな、と。失敗を重ねてこその学びの成長ですよね」。 続けて「ずっと行きたいと思っていた日本にも来ることができたので、それも幸運ですね」と初来日に対する喜びも明かした。

デヴィッドは幸運は自分で掴むものだと言う。

「僕はすごく運が良かったとは思うけど、同時に25年間を映画業界で、映画というもの、ストーリーというものを理解しようとスタントマンからはじめて頑張ってきました。自分のところに巡ってくるかもしれないチャンスのために準備をしていたら、ある日その機会がやってきたわけです。しっかりやってきたからこそ、自分の運が具現化したのだと思っています」

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幸運な男たちが楽しみながら生み出した『ブレット・トレイン』。ここで描かれる日本は、決してリアルなものとして意図されていない。画面いっぱいに広がる日本でいて日本ではない幻想的空間と、こんな列車があったらと感じる作り込みは一見の価値あり。ぜひ、劇場でご覧あれ!

『ブレット・トレイン』 (原題: BULLET TRAIN)
原作:伊坂幸太郎「マリアビートル」(角川文庫刊)
監督:デヴィッド・リーチ
脚本:ザック・オルケウィッツ
音楽:ドミニク・ルイス
撮影監督:ジョナサン・セラ
製作:ケリー・マコーミック/デヴィッド・リーチ/アントワーン・フークワ
エグゼクティヴ・プロデューサー:ブレント・オコナー/三枝亮介/寺田悠馬/カット・サミック
出演:ブラッド・ピット、ジョーイ・キング、アーロン・テイラー=ジョンソン、ブライアン・タイリー・ヘンリー、アンドリュー・小路、真田広之、マイケル・シャノン、バッド・バニー(ベニート・A・マルティネス・オカシオ)、サンドラ・ブロック

『ブレット・トレイン』公式HP



Photos:Satoru Tada
Stylist:Norihito Katsumi(Koa Hole inc.)
Hair&Make-up:Yoshihiko Takamura(SOLO.FULLAHEAD.INC)

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