ヒーロー継承の「序章」を描く
アクション満載のMCUドラマ

ホークアイことクリント・バートンと言えば、マーベル・シネマティック・ユニバース(以下MCU)の『アベンジャーズ』シリーズで、ジェレミー・レナーが演じてきた弓の達人だ。ほかのヒーローと比べ、ホークアイは怪力や飛行といった超人的な特殊能力をもたず、己の技能のみを頼りに戦う普通の人間。その地味さゆえか、これまで単独で主役を務める映画作品はなかったが、ついにドラマシリーズで主人公として登場。MCU内の時系列は『〜エンドゲーム』のその後。なので『アベンジャーズ』最終2作と、できれば映画『ブラック・ウィドウ』は観たうえでの鑑賞をおすすめしたい。

さて、今回の舞台はクリスマス直前のNY。家族とともに休暇を楽しんでいたクリントは、自身の過去がかかわる事件に巻き込まれていく。今作のもう一人の主人公となるのが、子ども時代にホークアイの戦いを目撃したことから彼に憧れを抱く若き女性ケイトだ(演じるのは、配信ドラマ「ディキンスン〜若き女性詩人の憂鬱〜」でも高い演技力を見せるヘイリー・スタインフェルド!)。弓や格闘の才能にあふれるが、肝心なところでミスる不完全さが魅力のケイト。騒動の中で出会うクリントと彼女の関係は父親と娘にも見えるし、師匠と弟子のようでもある。最初は迷惑がっていたクリントが次第にケイトに心を開いていく過程をはじめ、二人の風変わりなバディぶりこそ、今作の面白さの核と言っていい。

英雄の代償を正面から描いた「ファルコン&ウィンター・ソルジャー」や、超トリッキーな作劇で驚かせてくれた「ワンダヴィジョン」などほかのMCUドラマと比べると、コミカルでオーソドックスなタッチの今作は常に野心的なMCU作品として物足りないと感じるファンもいるようだ。だが、筆者は今作をケイトが「ホークアイ」の称号を継承するための序章の物語、いわば「ヒーロー未満」の主人公を描いた特別な作品ととらえた。あくまで個人的事情から戦いに身を投じたケイトがいかにして英雄となるのか? 中盤で登場した「あの人物」との関係も含め、物語の行方から目が離せない!


「ホークアイ」
監督/リス・トーマス、バート&バーティ 出演/ジェレミー・レナー、ヘイリー・スタインフェルド、ヴェラ・ファミーガ

弓の名手ホークアイと彼に憧れるケイトの活躍を描くアクションドラマ。ケイト役には『トゥルー・グリット』『バンブルビー』の新鋭女優ヘイリー・スタインフェルド。Disney +「ホークアイ」全6話配信中。
© 2022 Marvel



宇都宮秀幸
編集者・ライター。ネット配信作品のレビューサイト「ShortCuts」などで海外ドラマの紹介記事を執筆中。TBSラジオ「アフター6 ジャンクション」出演。


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