木下古栗 (きのしたふるくり)

小説家。1981年生まれ。著書に『生成不純文学』『人間界の諸相』『サピエンス前戯 長編小説集』など多数。木下氏の短編「大量絶滅」が収録された『真藤順丈リクエスト! 絶滅のアンソロジー』が発売中。


アップサイクル by 栗美


  読者の皆さん、おはよんにちんわ~! 珍フルエンサーの栗美です。突然だけど今回は当初、以前から温めてた企画をやろうと思ってたの。画家や美大生の人にこっちで用意した服を着てもらって、絵を描く中で自然と絵の具に汚れたその服を「格好よくない?」って、作品と一緒に紹介するっていうもの。最近、またペンキ加工やペイント加工の服が流行ってるみたいだし、それをひと味違ったやり方で作ってみようっていうわけ。でね、担当編集の西チンにコラボ相手を探してもらってたんだけど、残念ながら、誰一人として見つからなかったの…。私も頑張ってるんだけど全然フォロワーが増えないから、きっと知名度も魅力もなさすぎるのよね…。
 でもそれなら、自分でペイントしてみればいいんじゃ? とゆーのも近頃、アップサイクルっていうのが話題。廃棄品や不要品、お蔵入りの品なんかに新たな価値を付加する、創造的再利用のこと。それで先日、冬服を取り出しつつクローゼットを整理したら、着てない服を何着か発掘。これって再創造にぴったりじゃない? とゆーわけで、レッツ・アップサイクル!

 さっそくアトリエを借りて、助手役の西チンと一緒にペイント加工の準備。使うのはターナーの「布えのぐ」。それとジェッソっていう白色の、絵画の下塗り剤も用意。アクリル樹脂に炭酸カルシウムが入ったもので、乾くと一見、ペンキっぽい感じになるそう。百均で買ったパレットに色々な絵の具を出して、混ぜて色味を調節したり、ちょい加水したり1。それを絵筆にたっぷりとつけて、まずは精神統一…。
 そして西チンが持参してくれた、撮影で使ったらしい某定番スニーカーにスプラッシュペイント! 色んな絵の具をつけては、手首のスナップを利かせて、絵筆を空中で鋭く振り下ろす。ボディが黒なので鮮やかに映えて、まさに色彩の小宇宙が出現2。筆先がじかに当たっちゃったりもしたけど、その分、巷で売ってるペイント加工のスニーカーよりも、手作業の粗い跡がリアルに。これは意外とイケるかも。


珍フルエンサーの「栗美」 アップサイクル 1 珍フルエンサーの「栗美」 アップサイクル 2

1汚さないように新聞紙とゴミ袋を敷いて作業。使い捨て手袋も装着。2ローテクスニーカーは初ペイントにオススメ。


 お次は試作用に新品で買ってみた、某ヘビーウェイトTシャツ。せっかくなので付いたままの値札を首元から垂らして、裏を両面テープで固定。さらに特徴的なサイズシールも貼ったままのその上から、ダークな赤、青、緑を刷毛で塗りつける。おまけに絵筆でスプラッシュも追加。乾かしてから値札とシールを取ると、このように3。どうかしら? 拡大すると4みたいな感じなんだけど、かなり格好よくない?


珍フルエンサーの「栗美」 アップサイクル 3 珍フルエンサーの「栗美」 アップサイクル 4

3がさっとしたヘビーウェイトTにペイントがよく合う。4白抜きがクール。


お次の5は昔、イギリス土産で貰ったTシャツ。元は「Today is the Tomorrow」ってプリントされてたんだけど、その一部を黒い絵の具を混ぜたジェッソで塗り隠して「T is the T」に変更。パンクっぽくてクールな仕上がり。でもジェッソって乾くとカピカピになって、ちょっと着るのはキツいかも。これは鑑賞用かしら。
 そのまた次の6はかなり昔、買ったけど数回しか着なかったカバーオールっぽい短丈のコート。リネンコットンで涼しげな風合いの水色が素晴らしいんだけど、自分にはちょっと爽やかすぎたの(実物は写真よりも綺麗な水色)。でも、これにもオレンジ、黒に近い青、鮮血のような赤でスプラッシュペイント! すると良い具合にハードになって、芸術的な作業着って感じに。ちなみにスプラッシュのコツは多分、思いきりよく絵筆を振るというのと、回数的には、やりすぎずに七、八分目で止めておくこと。


珍フルエンサーの「栗美」 アップサイクル 5 珍フルエンサーの「栗美」 アップサイクル 6

5薄手のTシャツなので、ジェッソ部分は染み込んでカピカピ。6背面も同様に飛び散らせた。


  お次の7はここ数年、はいてなかった軍パン。よく見てほしいんだけど、これはほんのちょっとだけ飛び散らしてる。今回、色んな既製品のスプラッシュ加工をググって参考にしたんだけど、パンツはこれくらい微量の加工の方がいいと思うの。大量に飛び散らすと平置きではアートっぽくても、着画だとトゥーマッチなのよね。  最後の8はイタリア製の白いワイドパンツ。白パンって気恥ずかしくて、買ったけど未着用。ジェッソに黒い絵の具を混ぜるとシルバーっぽくなることに気づいて、それを刷毛で大胆に塗布してみたら、その賭けが成功。厚手の生地なので、これは塗料に負けずに実用に耐えそう。


珍フルエンサーの「栗美」 アップサイクル 7 珍フルエンサーの「栗美」 アップサイクル 8

7絵筆を洗わずに何色も飛び散らせると、色が混ざる部分が出来てお洒落。8ジェッソ大量使用は洗濯の際、手洗い必須かも。


 作業が終わると、下に敷いたゴミ袋9や絵筆を拭いたティッシュ10もアーティスティック!  


珍フルエンサーの「栗美」 アップサイクル 9 珍フルエンサーの「栗美」 アップサイクル 10

9ジャクソン・ポロックのアトリエの床みたいになったゴミ袋。10ものすごくカラフルな射精感。


意外と初心者でもかなり上手くいったので、是非やってみてね。そして心の中でいいね&フォローよろしく。合言葉は#Oh珍々!