岸辺露伴が違う
世界線にいるとしたら…。

黄金の精神を持つ人間が
一人しかいないとしたら。

――今度の「岸辺露伴は動かない」で放送されるエピソードは、第4話が「ザ・ラン」、第5話が「背中の正面」、第6話が「六壁坂」となっています。「背中の正面」のみ『ジョジョの奇妙な冒険』本編(Part4 ダイヤモンドは砕けない)からのエピソードとなっていますが、このラインナップに決まったとき、どう思いましたか?

高橋 5話がどのように4話、6話のブリッジになるのかとは思いました。ただ、演出の渡辺一貴さんと脚本の小林靖子さんをはじめとした、『ジョジョ』シリーズの世界が大好きな方々が熟考して、さまざまな過程を経て作られている脚本です。大前提として、何の不安もありませんでした。一貴さんとは、「『岸辺露伴は動かない』の舞台である杜王町の世界線には、”黄金の精神”の持ち主がひとりしかいないと仮定すると…」と現場で雑談したことがあります。康一くんがいない世界であり、クソったれ仗助も、アホの億泰も、プッツン由花子もいない世界。つまり「第4部の杜王町とは違う世界線にいる岸辺露伴だとしたら…」と考えたりもしていたわけです。となると、もしかしたら泉京香(露伴の担当編集者)が黄金の精神を持つ人になり得るのかもしれないし、あるいは志士十五(露伴と同じ出版社で連載を抱える漫画家。第2話に登場)が、「くしゃがら」後そうなり得るのかもしれない。そう考えると、このドラマでは「スタンド」という言葉を使わずに、「ギフト」という言葉に変更していることが腑に落ちてきます。

――なるほど。違う世界線にいる岸辺露伴ですか。

高橋 幸い原作者である荒木飛呂彦さんが、“一巡後の世界”(編集部注:『ジョジョの奇妙な冒険 Part6ストーンオーシャン』)という概念を作ってくださっていたので、とてもスムーズにその可能性を露伴に載せることができました。ただ、個人的には「起こるべくして起こること」は、どの世界線でも絶対的なものであると思っています。このドラマでは、杉本鈴美(『ジョジョの奇妙な冒険 Part4 ダイヤモンドは砕けない』に登場)にあたる人物が仮にいなかったとしても、これから先のエピソードが描かれるなら、露伴自身の過去や血脈、運命に向き合う物語が立ち上がってくるはずです。どの世界線においても、運命として避けて通れない事柄は、露伴が乗り越えなければならないこととして現れます。ドラマを観てくださる方には「なら、このエピソードは運命の役割として、露伴が持つ“黄金の精神”の何を補強するものになるのか」と感じてもらえれば、原作のファンの方ならずともおもしろく観ていただけるのかもしれません。


意図してチンチロリンを想起させる
動きを入れ込んでいます。

――そういったパラレルワールドというか、マルチバース的な考え方は最初からあったんですか?

高橋 はい。露伴が27歳という設定に対して僕は40過ぎです。年齢と経験は必ずしも比例しませんが、今回の『岸辺露伴は動かない』の世界に、僕の肉体を持つ岸辺露伴をどう立たせるかと考えたとき、一巡した、あるいは別の世界線と捉えることで、自分自身に説得力を持たせることができるかもしれないとは、第1話の冒頭のシーンを読んだときから考えの中にありました。細かいことですが、仗助にあたる人物とこの世界線の露伴はチンチロリンをやったのかもしれないし、火事で家が半焼したのかもしれない。あるいはこの先のエピソードでイカサマにまつわる何かが起きるのかもしれない。そういう可能性を観る方に委ねつつ、“無意識にせよ因縁めいたものをサイコロに感じている露伴”として動きに取り入れています(編集部注:2021年放送のドラマ「岸辺露伴は動かない」第3話「D.N.A」)。

――そうだったんですね。

高橋 もしかしたら違うエピソードとして出てくるかもしれないという可能性を僕なりに示唆したかったこともあります。昨年放送された第1話から、そう考えていました。演出家と俳優の関係性にあっては演出とお芝居で会話ができるので、一貴さんと“一巡後の世界”の概念を直接話したのは事前の打ち合わせではなく撮影の合間の雑談でした。一貴さんも近しいことは考えられていたみたいで、その部分の共通認識を持てたことによって、さらに世界が強固になったのは確かです。

――昨年末の時点では、単純にシリーズ化として続編を期待していましたけど、一生さん自身も当初から先を見越して、いろいろなことを考えていたんですね。

高橋 今後展開するならば、の願望を持つことは、今までのどの作品においてもそうでありたいと思ってきましたし、そうあってきました。今回のドラマにおいては、「シャーロック」のようにシリーズ化して続いていくなら単純に幸福だなと思っていました。ありがたいことに反響が大きかったということもあり早い段階から続編の話をいただいていましたが、実を言うとそれより前から続編の話は出ていたんです。撮影中からチーム内には手応えなのか、不思議と続編を感じている方が多かった。そこに反響があったということを経て、続編決定のお話をいただきました。同じ役を年跨ぎで演じ続けることができるのは、なかなか経験できることではありませんし、それが岸辺露伴という人間だったこと、また岸辺露伴から離れないでいられたことは素晴らしい体験でした。スタッフの方々も、前作とほぼ変わらず皆さん参加してくださってその皆さんが僕演じる露伴を生かし続けてくれていた。露伴としての生活に戻る基盤を用意してくれていたので、それを含めて幸福な時間だったなと。

12月18日(土)公開のインタビュー 後編へ続く 
To be continued…

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ISSEY TAKAHASHI
1980年東京都生まれ。ドラマ、映画、舞台などで幅広く活躍。近年の出演作は、ドラマ「天国と地獄~サイコな2 人~」、映画『ロマンスドール』『スパイの妻』など。2022年1 月10日よりスタートするドラマ「恋せぬふたり」(NHK総合)、2022年春放送予定の「雪国 -SNOW COUNTRY-」(BSプレミアム・BS4K)に主演する。


ドラマ紹介

ドラマ「岸辺露伴は動かない」

2021年12月27日(月)〜29日(水)
NHK総合 22時より3夜連続放送!
(BS4Kでは30日(木)
19時から4~6話を一挙放送)


2020年末に第1話から第3話が放送され、原作ファンだけでなく、ドラマファンからも高い評価を集めた実写ドラマ「岸辺露伴は動かない」。あれから1年、ファンの熱い期待に応えて新作エピソード(第4話~第6話)が放送される。今度の岸辺露伴は、はたしてどんな奇妙な出来事に遭遇するのか――。

【キャスト】
岸辺露伴:高橋一生
泉京香:飯豊まりえ
(第4話ゲスト)笠松将
(第5話ゲスト)市川猿之助
(第6話ゲスト)内田理央

【スタッフ】
原作:荒木飛呂彦「岸辺露伴は動かない」(第4話、第6話)、「ジョジョの奇妙な冒険」(第5話)
脚本:小林靖子
音楽:菊地成孔/新音楽制作工房
人物デザイン監修:柘植伊佐夫
演出:渡辺一貴
制作:NHKエンタープライズ
制作・著作:NHK、ピクス

エピソード

第4話 「ザ・ラン」

12月27日(月)総合 22時~22時49分
露伴は会員制のスポーツジムで駆け出しのモデル、橋本陽馬(笠松将)と出会う。無気力で掴みどころのない陽馬だったが、やがてランニングにのめり込むようになり、走りに対する執着は次第に常軌を逸していく。ある日、久しぶりに露伴の前に姿を見せた陽馬は見違えるほど自信に満ちあふれていた。そして陽馬は、露伴にランニングマシーンを使った「ある勝負」を提案する…。

ISSEY’s Comment

「とにかく走ります。共演の笠松将さんがとても体力もあって、体も相当鍛えている方なので、お芝居として説得力がありましたし、やり甲斐がありました。「岸辺露伴は動かない」というタイトルに反してとてもアクティブに動きまくるので、そこは見ていただけたらなと思います」。

第5話 「背中の正面」

12月28日(火)総合 22時~22時49分
露伴の家にリゾート開発を請け負う会社の営業部に勤める男、乙雅三(市川猿之助)が訪ねてきた。家の中に招き入れると、男は背中を壁につけたまま這いずるようにして入ってくる。靴を脱ぐときも、椅子に座るときも、紅茶を飲むときも、愛想笑いは返しても、男は決して露伴に背中を見せようとしない。その奇妙な行動に猛烈に好奇心をかきたてられた露伴は策を弄して無理やり男の背中を見てしまう…。

ISSEY’s Comment

「とにかく猿之助さんがとても面白く、とても怖いです。猿之助さんと対峙していくお芝居は非常に演劇的で、いい意味で緊張した状態で演じていたので、その切迫感や、その状況の中で反対に露伴が生き生きしていくところが見どころです」。

第6話 「六壁坂」

12月29日(水)総合 22時~22時49分
露伴は妖怪伝説を取材するためだけの理由で「六壁坂村」の山林を買い、破産してしまう。「財産よりもネタが大事」な露伴は妖怪伝説の謎を追って担当編集の泉京香(飯豊まりえ)と村を訪れるが、手掛かりは見つからない。そんなとき露伴の前に現れたのは、村一番の名家の跡取り娘、大郷楠宝子(内田理央)だった。楠宝子の記憶をヘブンズ・ドアーで読んだ露伴は、楠宝子と六壁坂にまつわる驚がくの真実を知ることになる…。

ISSEY’s Comment

「内田理央さんが演じられている大郷楠宝子という女性が、今までの4話、5話を総括するようなキャラクターになっていて、非常に人間的な怖さに迫ってくるところが見どころです」。

©︎ LUCKY LAND COMMUNICATIONS/集英社 C NHK・PICS.



プラダ クライアントサービス TEL 0120-45-1913

Interview & Text:Masayuki Sawada
Photos:Teppei Hoshida
Hair & Make-up: Mai Tanaka(MARVEE)
Stylist:Takanori Akiyama