ファッション誌や広告など、多方面で活躍するフォトグラファーの竹中祥平さんと、愛車の「トヨタ ランドクルーザー70 ZX」(2001年型)。


納車まで1年半かかった、憧れのランクル70

竹中祥平さんが2001年型「トヨタ ランドクルーザー70 ZX」を手に入れたのは2019年。ランクル70はもともと中古車の流通台数が少ない上に、昨今の旧車人気で相場も高騰。それだけに「これは!」という1台を探すのはかなり苦労した。

「同じランクルでも初代プラドなら比較的探しやすかったのですが、僕はこの年代のランクルが積む1HZというエンジンに憧れがありました。4200ccのディーゼルでターボはないけれど、とにかくタフ。独特な音も好きなんです」

ただ、1HZを積むランクルは排ガス規制に引っかかるので、都内で乗るにはNOx・PM適合対策を行う必要がある。これにはかなりのコストと時間がかかるが、憧れのクルマを手に入れるため対策を施してでも手に入れることを決断。

また、竹中さんはランクルに乗るなら絶対に白と決めていた。しかし程度が良くて色も自分好みの中古車は見つからない。そこでグリーンの70をオールペンすることに。最終的にクルマを探し始めてから納車まで1年半ほどかかったという。


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(1枚目から右へ)
・竹中さんが乗る2001年型ランクル70はフロントがリーディングアーム+コイルスプリングになった後期型。リアはリーフスプリング(板バネ)になる。
・もともとのグリルはシルバーだったが、エンブレムを含めてマットブラックに塗装。バンパーも純正だとかなり大型だが、街乗りの利便性を考慮して小ぶりなものに交換している。
・現代のSUVに比べると絶対的なパワーはないが、低回転でのトルクがとても気持ちいい1HZエンジン。バッテリーは前期型だと24Vになるが、後期型は12Vに。
・空力を気にせず切り立たせたAピラーが無骨な印象を際立たせている。ウェザーストリップなどの消耗部品はまだ探すのに苦労しないという。
・マットブラックのドアミラーとホワイトボディのコントラストが際立つ。「ボディはもともと緑色でした。塗装状態が良かったのでオールペンしたいと言ったらお店に訝しがられました(笑)」
・ホイールはランクルオーナーから人気の高い「ブラッドレーV」を装着。カラーはモールなどの塗装に合わせてマットブラックに。
・このエンブレムはランクル50につけられていたもの。九州にあるショップで眠っていたものを見つけ、磨いてもらって取り付けた。
・バックドアは観音開きになっている。背面タイヤはアシスタントから重いという声を聞いて外した。「本当はついているデザインが好きなのですが(笑)」


古い国産車に興味を持った理由

このランクル70は、竹中さんにとって2台目の愛車になる。最初のクルマはフォトグラファーとして独立した時に手に入れた1995年型「トヨタ マークIIバン」。かなり気に入っていたので手放すつもりはなかったという。

ところがボディ下回りの腐食が進み、後輪の車軸が破損してしまった。パーツがなかなか見つからない。そこで思い切って憧れのランクル70を探すことにした。

もともと竹中さんが古い国産車を気になり始めたのは、子供の頃だった。

「父親は最新のドイツ車が好きで、メルセデス・ベンツやBMW、ポルシェなどを乗り継いでいました。僕も子供の頃からクルマが好きでしたが、父が乗るクルマにはあまり興味が持てず、ちょっと古いクルマに目が行くようになったんです」


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(1枚目から右へ)
・エクステリア同様、直線的で機能的なデザインのインテリア。ZXにはサンルーフが装備されている。
・購入時の走行距離は約20万km。そこから2万kmほど走ったが、インテリアのヤレ感はかなり少ない。リアシートは左右分割で倒せるようにプラドのものを移植した。
・ダッシュボードは紫外線の影響でパーツが割れてしまうことがある。北海道のショップがオリジナルで製作しているシートを敷いているのはその対策のため。
・ステアリングはナルディのウッド&ポリッシュスポークに交換。無骨なインパネの中でウッドが華やかな雰囲気を演出してくれている。
・視認性に優れるシンプルなメーター。タコメーターは前期型よりも大型化された。ディーゼルなのでレブリミットは4500回転になる。
・最初はMTにしようと考えたが、家族が運転する機会もあるためATを選んだ。「MTはトルクがありすぎて1速2速が扱いづらいと聞きます。結果的に良かったと思います」
・四駆で走る際はH4ボタンを押し、トランスファーレバーで4WDにモードを切り替える。この道具感が古いパートタイム4WD車の魅力だ。
・ロングボディのランクル70は、リアシートを倒さなくてもラゲッジが広い。撮影で使う大きな機材や趣味の釣り道具が積む時に困ったことはない。


クルマも家族の一員。一緒にたくさんの思い出をつくりたい。

前期型より良くなったとはいえ、後輪がリーフスプリングになるランクル70の乗り心地はお世辞にもいいとは言えない。

「これに乗って1年経った時に子供が生まれました。病院に迎えに行って妻と子供を乗せて帰る時は『まだ首が座ってない子をこんなに揺れるクルマに乗せて大丈夫かな』と不安になりました(笑)。今ではどれだけぐずっていてもクルマが走り出すとすぐ寝ちゃいます」

排ガス対策やオールペンなど、購入時にはそれなりにお金がかかった。でも竹中さんはこのクルマに少しずつ手を加えながら一生乗り続けるつもりでいる。それを考えたら最初の支出は安いもの。

「まだ子供は小さいですが、これからクルマも家族の一員として思い出をたくさんつくっていけたらと思っています」

構造がシンプルでタフなランクル70だ。走行20万kmはまだ序の口。お子さんの成長の傍らに長くい続けることができるはずだ。



竹中祥平/フォトグラファー
1987年生まれ。10BANスタジオを経て横浪修氏に師事。2015年に独立した後は、雑誌や広告などの撮影と並行して自らの作品制作も積極的に行っている。これまでに第73回広告電通賞 プリント広告 金賞や、朝日広告賞 準教育・公共部門賞などを受賞。また、2018年10月には写真集「たまねぎは涙をながさず切れるのだ。」を出版。


Photos:Teppei Hoshida
Text:Mitsuru Takahashi(bridgeman)