時計を愛する大人たちが集い、学び、語り合う連載。今回はメゾンのギャラリーを訪れ、特別な時間を体験した。
ヴァシュロン・コンスタンタンでラグジュアリーの真髄に触れる
アートを愛するビジネスマン。時計はアクセサリー感覚で楽しむ派だが、もっと知識を深めたいと本連載に参加。
高級時計の世界は奥が深い。その中でも、雲上の存在とされるのが「スイス三大時計ブランド」だ。では、その何がすごいのか? もちろん製造する時計のレベルが高いのは当然だが、それ以外にも理由がありそうだ。そこで今回は、時計とアートを愛する受講生の大國耕嗣さんと「ヴァシュロン・コンスタンタン ギャラリー 1755 表参道」を訪れた。
商業施設の3階に設けられたエントランスをくぐると光にあふれる空間が広がっているが、まず大國さんは展示されるアートに注目。イタリアの巨匠、アレッサンドロ・メンディーニの作品が3つ展示される光景を見て、驚きを隠せない様子だ。
ギャラリーの奥にあるソファスペースに通されると、さっそくドリンクのメニューが。シャンパンやオリジナルカクテル、スイスで焙煎されたコーヒーなどが用意される。ノンアルコールのモクテルでひと息ついた大國さんは、スタッフの案内で奥のギャラリースペースへ。現在は創業270周年を記念し、過去の傑作たちが展示されている。その圧倒的で革新的な時計の数々を目にして、ヴァシュロン・コンスタンタンのすごさに圧倒される大國さんだが、あることに気がつく。
「ここでは時計を販売しないのですか?」
このスペースは、あくまでもプライベートギャラリー。時計の販売が目的ではなく、上顧客の誕生日パーティやフラワーアーティストを招いたワークショップなど、ブランドとユーザーが交流を深めるための場所なのだ。
ヴァシュロン・コンスタンタンは、銀座の晴海通り沿いに本店ブティックを構えている。しかし一等地であるがゆえに来客も多く、店内はいつもにぎやかなため、270年間一度も途切れることなく時計製造を探求してきたメゾンの歴史や、素晴らしい技術をじっくり味わうことは難しい。だからこそ、ブランドの理解を深め、ブランドの魅力を伝える場として「ヴァシュロン・コンスタンタン ギャラリー 1755 表参道」があるのだ。
「空間、場所、そしてホスピタリティ。何から何まで、想像以上です。しかも時計を購入しなければいけないという圧もなく、変な緊張感もないですよね(笑)」と大國さん。しかし要望があれば、時計の販売も行われる。今回は大國さんがアートコレクターということで、今年発表した「メティエ・ダール -12星座へ想いを馳せて- 射手座」を特別に用意してくれた。これは文字どおりアートピースのような時計であり、通常のブティックに並ぶことはほとんどない。まさにVIPのための時計であるが、そういった逸品に出会う場としてもこのギャラリーが使用される。
ギヨシェという伝統的な工芸技法とジェムセッティングを駆使して、壮大な宇宙の物語をダイヤルに描き出す「メティエ・ダール -12星座へ想いを馳せて-」。占星術に用いられる12星座をモチーフとした12種の展開で、こちらは射手座モデル。ベゼルやラグには、バゲットカットを施したサファイアをセッティングし、6時位置にはマルタ十字のキャリッジがくるくると回転するトゥールビヨンを搭載。すべてが最高峰の技術だ。
「アートギャラリーに近いですね。どういう作品を持っているか、どういう作家が好きかといったコミュニケーションの中で、自分に合った作品を紹介してくれる。そういった経験は贅沢ですし、ずっと記憶に残ります」
ラグジュアリーとは何か? それは人と人とのつながりに行きつく。ヴァシュロン・コンスタンタンは、素晴らしい時計を通して、文化や哲学を後世へと伝えることを大切にしている。「ヴァシュロン・コンスタンタン ギャラリー 1755 表参道」は、その価値を共有する人のための贅沢な場所なのだ。
ヴァシュロン・コンスタンタン ギャラリー 1755 表参道
東京都渋谷区神宮前5-17-25 3階
TEL:03-6699-1755
営業時間:11時30分〜19時30分 無休
※完全予約制