1970年代を代表する時計デザイナー、ジェラルド・ジェンタ。その傑作のひとつに数えられるIWC「インヂュニア SL」が、2026年で誕生50周年を迎えた。これを記念して登場したのが、「インヂュニア・オートマティック 40 “50th Anniversary”」と「インヂュニア・オートマティック 35 “50th Anniversary”」。ともに世界限定1150本という特別なモデルだ。
50年前のデザインが、いま見ても新しい
1976年に発表された「インヂュニア SL」(Ref.1832)は、ケースとブレスレットが一体となったラグジュアリー・スポーツウォッチ。5つのネジで固定されたベゼルなど、ひと目でそれとわかる造形は、2023年に復活した現行インヂュニアにも受け継がれている。
ジェンタにとって時計は、単なる工業製品ではなかったようだ。妻のエヴリンと娘のアレクシアによれば、本人は自らを時計デザイナーというより、時計製造を表現手段とするアーティストと捉えていたという。「インヂュニア SL」も、ケースからブレスレット、クラスプまでが途切れずつながる、ひとつの彫刻作品として構想されていた。
今回のアニバーサリーモデルで面白いのは、そんなオリジナルの造形をそのまま復刻するのではなく、1970年代に存在したバリエーションから文字盤を拾い上げたこと。現行インヂュニアといえばグリッドパターンの文字盤がおなじみだが、新作はサテン仕上げを施したシルバーメッキ文字盤を採用。ロジウムメッキの針とメタルのアワーマーカーを組み合わせ、シルバーを基調とした端正な表情に仕上げている。さらに「Ingenieur」の下に通常配される稲妻マークの下に「50」を配している。よく見ればアニバーサリーとわかる、控えめな演出も大人好みだ。
選べる40㎜と35㎜。違いはサイズだけじゃない
ラインナップは40㎜と35㎜の2サイズ。ケースと一体型ブレスレットはいずれもステンレススティール製で、サテンとポリッシュを巧みに使い分けることで、ジェンタらしい彫刻的なフォルムを際立たせた。40㎜ではブレスレットをサテン仕上げとする一方、35㎜では中央リンクにポリッシュ仕上げを施しており、サイズだけでなく見え方にも違いをつけている。
ジェンタのデザインが生まれてから半世紀。過去の名作を懐かしむだけではなく、その美学をいまのサイズ感や仕上げ、機構へと落とし込んだ今回の2本。シルバーでまとめた静かな佇まいも相まって、普段の装いにさらりと取り入れたくなる「インヂュニア」だ。
IWC シャフハウゼン
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