ドレスウォッチと聞いて、どんな一本を思い浮かべるだろう。端正な文字盤に革ベルト、それをスーツの袖口に収める——。もちろんそんな王道のスタイルも格好いいけれど、普段の装いを考えると、もう少し自由であっていい。パルミジャーニ・フルリエの新作「トリック プティ・セコンド プラチナ/モーニングブルー」は、そんな気分にフィットする一本だ。
「トリック」は、1996年のブランド創業時に発表されたコレクション。創業者ミシェル・パルミジャーニのビジョンを初めて余すところなく表現した時計として誕生した。今回の新作は約30年前のモデルをそのまま再現するのではなく、「トリック」らしい意匠を受け継ぎながら、現代のドレスウォッチへと再構築されている。
朝の空を映した「モーニングブルー」
まず目を奪われるのが、「モーニングブルー」と名付けられた文字盤だ。深い夜の青でも、昼間の澄んだ青でもない。朝の空が光を受け始める瞬間をイメージした色で、18Kホワイトゴールドの文字盤に施されている。
その表情をつくり出しているのが、「グレイン仕上げ」と呼ばれる技法。17世紀にまでさかのぼる伝統的な手法で、酒石酸や海塩、銀粉などを用い、すべて手作業で仕上げられる。均一に光を反射するのではなく、細かな質感によって光を柔らかく拡散するため、見る角度や時間によってブルーの印象も変化する。
文字盤はわずかにドーム状を描き、細身のアルファ針とアプライドインデックス、6時位置のスモールセコンドを配置。Pt950プラチナ製のケースは直径40.6㎜、厚さ8.8㎜で、ローレット加工を施したベゼルが端正な佇まいにさりげないアクセントを添える。
そして、モーニングブルーに合わせたのはアコヤグレーのヌバックアリゲーターストラップ。ブルーとグレーの柔らかな組み合わせによって、プラチナのドレスウォッチがぐっと軽やかな表情を見せる。ニットの袖口からさりげなく覗かせる、そんな着け方もよく似合いそうだ。
裏返してわかる、もうひとつの美しさ
文字盤側のすっきりとした佇まいに対して、時計を裏返すと印象は一変する。搭載するのは、18Kローズゴールドを用いた手巻きムーブメント「PF780」。2つのブリッジとツインバレルが特徴的な構成で、約60時間のパワーリザーブを備える。
ローズゴールドのブリッジを飾るのは「コート・ド・フルリエ」。伝統的なカム式ギヨシェ機を使って施される装飾で、スティール製ブリッジの面取りも手作業で仕上げられている。端正な文字盤とは対照的に、ケースバックからはムーブメントの造形と装飾を存分に眺められる。そんな表と裏のギャップも、この時計を面白くしている。
ストラップにも、細やかな仕事が行き届いている。製作には約20もの工程と2日間を要し、6層からなるパーツを一つひとつ成形して組み立てる。ピンバックルを採用した理由のひとつも、ケースバックから眺められるムーブメントを金属板で遮らないためだという。
モーニングブルーの文字盤に、アコヤグレーのストラップ。朝の空を思わせるその色は、見る時間や角度によって、少しずつ印象を変えていく。毎朝時計を腕に着ける、その何気ない時間まで少し楽しみになりそうだ。
パルミジャーニ・フルリエ・ジャパン
TEL:03-5413-5745