2020.11.18

デザインがいい!バリアフリーな腕時計はこうありたい

「SEIKO(セイコー)」が視覚障害者に向けた「音声デジタルウォッチ」を新たに発表した。2020年度グッドデザイン賞を受賞した本作からは、セイコーのものづくりに対する矜持が伝わってくる。

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1939年からバリアフリーな時計を手掛けるセイコー

国産時計メーカーの雄であるセイコーが、長らく視覚障害者向けの時計を作り続けてきたことをご存知だろうか? その歴史は古く、1939年に負傷した軍人将校のために触れることで時間を確認できる提時計タイプの触読時計を開発したことに始まる。その後、1966年には初の腕時計タイプの触読時計を開発し、1979年には世界初のクオーツ式腕時計タイプ゚の触読時計を発売。1998年には、ボタンを押すと音声で時刻を知らせてくれる音声デジタルウォッチを初めて世に送り出す。

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セイコーが1933年に開発した提時計タイプの触読時計

このように腕時計を通して視覚障害者に寄り添ってきたセイコーが、今年、11年ぶりに機能とデザインを刷新した音声デジタルウォッチを発売した。年齢や能力に関係なく幅広い人々のニーズを反映し、製品やサービスを考案していくデザイン手法であるインクルーシブデザインの考え方に基づいて開発されており、視覚障害者の利便性をさらに高めるものとなっている。

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音声デジタルウォッチ 12月11日(金)発売 価格:¥17,800

視覚障害者のニーズを反映したバリアフリーなデザイン

視覚障害者団体にヒアリングを行い、ニーズを反映させた機能とデザインからは、セイコーのものづくりの真髄が伝わってくる。「ブラインドマラソンやウォーキング等のスポーツを楽しむ方が多い」というヒアリング内容を受けて、腕なじみのいいシリコンバンドを採用したモデルをラインナップに追加。シリコンバンドの内側と剣先をスリット形状にすることで運動中のバンドのズレを防ぐ工夫がなされている。



また、「おしゃれで使いやすい時計をつけたい」というリクエストに応えて、モダンでシンプルな円錐形のケースを採用。4時位置に溝を設けて音声を流すスピークボタンを判別しやすくし、それ以外のボタンにはガードを設けて誤作動を防止するなど、細かな配慮がなされている。



こうした取り組みが評価され、本モデルは2020年度グッドデザイン賞を受賞した。その練り上げられたデザインをつぶさに見れば、普段使っているセイコーの時計に込められたものづくりの哲学をより深く理解できることだろう。



セイコーウオッチ(株)お客様相談室
TEL:0120-061-012
※価格は全て税別です

Text:TetsuTakasuka

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