表革を求めて知ったスエードのよさ
古い映画を観ると、黒い表革のグローブをする男に妙に憧れる。ピッタリとはめたときの、手の甲の骨や、指の関節が突っ張って浮き出るあのストイックさが美しい。峰不二子がレザーのバイクスーツを着ている色っぽさとは違うようにも思うが、ちょっとアブナイ感じといえば似ている気もする。
防寒性は特に求めない、とにかく薄手の黒い表革のレザーグローブを探して、メローラにたどり着いた。骨董通りのイタリア洋品店「コンドッティ」の品ぞろえは素晴らしいが、あいにく黒のマイサイズは欠品。次に考えていたバーガンディレッドもなかった。
ここで再び考えてしまったのが、服との相性。スーツやトレンチコートに表革の黒いグローブは否応なしに合う(古い映画の世界なら、探偵か刑事か殺し屋か…)が、普段のカジュアルな格好にはいささか浮くことは否めない。ということで、まずはチャコールグレーにも見えるブラックスエードを買って帰ることにした。防寒性も高く、これはこれで重宝している。やはり、ピタッとした黒い表革のグローブはコスプレなのか。いや、コートが着られる季節の前にはゲットしたい。
編集
西坂和浩
クルマと時計担当。幼少期からのクルマ好きで、大学時代は自動車部に所属。ウェブでは「文化系ネオクラシック車と30人の男たち」も手掛けた。愛車はアルファロメオの「ジュリア」。クルマはイタリア車好き、ワードローブはカジュアルなフレンチスタイルが好み。猫舌のため一年中、アイスコーヒー派。
Movie&Photos:Mitsuo Kijima
Stylist:RUI
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Editor Shibutsu