パリ左岸の色調は日本由来?
近年、ヴィンテージウェアの市場で高い人気を誇るアルニス。よく「右岸のエルメス、左岸のアルニス」と称されるが、アルニスは古式ゆかしい社交界の貴族趣味を感じさせるメゾンで、顧客にはアーティストや文化人が多く、言ってしまえばかなり癖が強い。残念なことにブランドは消滅してしまったが、今となってはその個性際立つデザインや色味、クオリティの高さが、多くの服好きから評価されているのだと思う。
アイコニックなモデルは、ル・コルビュジエが愛用したとされる「フォレスティエール」。最近こぞってリバイバルされている形だが、着こなすのはとても難しい。「森の番人」とういう名を考えればワークっぽくも着られるが、品質のよさとアルニスの気高さを知ると、どこか気が引けてしまう。しかし、その難しい服に挑戦したくなる自分もいて…。
というわけで、手に入れたのはフォレスティエールではなくこちらのジレ。フォレスティエールの中に着るものであるため、同じボタンとロゴマークの入った裏地がつく。さらに後ろの尾錠の部分までウールで覆われていて…。小さな世界にディテールと細かい仕事がギュッと凝縮された逸品に感動を覚えた。コスプレのようには着たくないが、決して「カジュアルのハズシ」ではなく、ふさわしい場所に着て行けたら、と楽しみにしている。
余談だが、こうしたアルニスの独特な色合わせは、三代目当主であったジャンさんの奥様が日本人だった影響が強いと言われている。これぞパリのエスプリ、と思っていた人は肩透かしを食らうが、こうした逸話がついてまわるのもアルニスの面白いところだと思う。
クルマと時計担当。幼少期からのクルマ好きで、大学時代は自動車部に所属。ウェブでは「文化系ネオクラシック車と30人の男たち」も手掛けた。愛車はアルファロメオの「ジュリア」。クルマはイタリア車好き、ワードローブはカジュアルなフレンチスタイルが好み。猫舌のため一年中、アイスコーヒー派。
Movie&Photos:Mitsuo Kijima
Stylist:RUI