俺たち、なぜあの頃のスニーカーに魅せられる!?

今、時代はまさに復刻モデル期を迎えている!?

――まずお伺いしたいのですが、皆さんは今のスニーカーブームをどう見ていますか?

新井 スニーカーブームというよりも周年モデル、限定モデルなどのマーケットがすごいことになっていますよね。いわゆるプレミアスニーカーもすごく高値で取引されていますからね。

小澤 「ストックエックス」(リセールプラットフォーム)を見ても、スニーカーの高騰が目立ちます。

新井 トレンド的には今クラシックがきていて、往年のモデルにもあらためて脚光が当たっている。

小島 そこに加えて、いわゆる周年モデルが毎週のようにリリースされて…もう僕らでも追いつけないくらいになっていますよね。

新井 本当に。僕なんか限定モデルのリリースが重なりすぎて、1週間に14足くらいスニーカーを買ってしまったこともありますよ。

松川 それはすごい…。立場的に買わなくちゃいけないとかじゃなく、欲しくて買っているんですか?

新井 もちろん。

小澤 ’90年代の第一次スニーカーブームに青春期を過ごしたわれわれ世代が、それぞれ今の立場で、もちろん消費者としても、あらためてそこに目を向けているというのもその動向を支えている要因の一つかもしれませんよね。

上田 僕なんかは完全に “あの頃、手に入れられなかったアレを取り戻す”がテーマ。今日も懐かし話になると思って、あの時代の雑誌から飛び出してきたみたいな格好をしてきました(笑)。

松川 プロケッズのロイヤルにデニムのセットアップ、グッドイナフの帽子。めちゃくちゃ世代です!

上田 スニーカー単体じゃなく、当時のカルチャーをそのまま実践しちゃうのが基本。今ようやく青春を楽しんでいます。


あの頃のスニーカーはとにかく個性が際立っていた!

上田 例えばプーマの日本製「ビースト」とか。めちゃくちゃ格好いいんですが、商標の関係でもうビーストの名前を使えないみたいで…。復刻できないと思うと余計に欲しさが増してしまう。

PUMA THE BEAST LOW WHITE TAKUMI

2002年に一度復刻されたもの。どうにかしてまた新品を手に入れたい!


小島 あの頃のスニーカーって個性が際立っているものが多かったんですよね。今はいろんな都合や事情があって、そういうデザインが少なくなってきている。それも今、復刻スニーカーに注目が集まる理由かもしれません。

新井 僕は学生の頃、結構本気でテニスをしていたので、ルーツはテニスシューズ。アンドレ・アガシ、ジム・クーリエ、ピート・サンプラス。彼らのシグネチャーモデルはあらためて格好いいなって思いますね。

NIKE TENNIS SHOES

復刻と思い出は蜜月。テニスシューズは常に復刻を希望しています。


松川 スタンスミスもそうですけど、テニスシューズってファッション的に合わせやすいのも魅力ですよね。

新井 そうなんです。意外と取り入れやすいんですよ。個人的にはまたこういうのを履きたい気分です。


小澤 思い出とファッションがリンクするっていう意味では、僕はエルメスのターボかな。当時、一世を風靡しましたから、僕ら世代でこの復刻を願う人は多いんじゃないでしょうか。

HERMÈS TURBO

プロダクトとして完成度の高いものは、いつ見ても新鮮ですよね。


新井 これを履いてれば間違いないっていう風潮は当時のビームスにもありました。懐かしい。スムースレザーかスエードか、みんな悩んでいました。

小澤 そう。僕は本当はブラウンスエードが欲しかったんだけど、全然買えなくて。短パンにターボってオシャレだったなー。多分これがあったから、その後のシルヴァノマッツァ(スクエアトウのシューズで一世を風靡したイタリアのシューズブランド)トレンドがあったんじゃないかな。

松川 いずれにしても’90〜2000年頃にリリースされたスニーカーって、今も影響力をもったものが本当に多いですね

小島 ’80年代〜’90年代のスニーカーは、今なお続く系譜のオリジナルであるものが多い。その魅力が再認識されているのかもしれないですね


上田歩武さん グッドウォーキン

スニーカーのことだけでなくそれにまつわるカルチャーにも造詣が深い、芸人きってのスニーカーフリーク。

小島奉文さん atmos ディレクター

世界中のスニーカーフリークから絶大な信頼を得るカリスマ。スニーカートレンドの鍵を握るキーマン。

小澤匡行さん エディター

『東京スニーカー史』著者。プロダクト&ファッション、双方の目線で深く現代のスニーカー事情を分析する。

新井伸吾さん ビームス バイヤー

ビームスTのショップマネージャーを経て、2017年に現職に就任。スニーカー保有数は1000足を超える。

松川 総さん スタイリスト

ヴィンテージショップの店長を務めた経験をもつスタイリスト。ファッション目線の独自の審美眼が魅力。



Photos:Kanta Matsubayashi
Illustration:Mizumaru Kawahara 
Composition&Text:Jun Namekata[The VOICE]