2026.07.02
最終更新日:2026.07.02

【ナイキ×フラグメントデザイン】2026年のスニーカー観の象徴は?|教えて! 東京スニーカー氏

ナイキ×フラグメントデザイン

藤原ヒロシ氏ならではのミニマルスタイルを表現。まるで液体のように滑らかな足の運びを追求したことで名づけられたリキッド マックスは、球が連なるような個性的なユニットが特徴で、従来のエア マックスよりも軽量で柔らか。動物の皮膚のようにテクスチャード加工された薄型メッシュのアッパーがフィットを高めてくれる。/私物

2026年のスニーカー観の象徴は?

歴史や文化などを熟考しつつ、最後はスタイリングとの相性でスニーカーを選ぶことにこだわっている僕ですが、それでもファッションと関係なく買ってしまうのがNIKEのエア マックスです。1987年から続くこのシリーズは、毎年新作を発表することでその歴史、NIKEという文化を耕してきました。それを車やiPhoneのような進化形態にたとえる人もいますが、僕にはまるで別物です。初めて欲しいと思ったのは1994年のエア マックス。初めて手に入れたのは1995年のエア マックス。初めて公式に原稿を書いたのは2003年のエア マックス。それぞれが異質なランニングシューズでしたが、ソールのエア ユニットをいかに大きくするかという命題に応えるように進化し続けていたので、僕も見た目云々よりシリーズの物語性に興味をもっていました。「新しいエア マックス観」の体験に価値を感じていたともいえます。

「月に行くため」くらいの強い使命感を掲げていたエア マックスですが、2010年頃から純粋なランニングではなく、ライフスタイル領域の新作として発表されるようになりました。エアの進化はおおむねゴールを遂げ、その先は快適性をイノベーションの全面に出し続けています。用途の中心は街履きであり、ランニングの機能で選ぶより、世界観と設計思想で選ぶシューズになったといえます。

今年の新しいエア リキッド マックスは宙に浮いているような履き心地をイメージさせるシューズ。そのコンセプトはマキシマリズムの極致といえる2022年のエア マックス スコーピオンの形状に着想を得ています。僕も4年前のSNKRSのLIVEに出演したとき、このシューズのビジュアルへの強い違和感について話した記憶がありますが、リキッド マックスも攻めた雰囲気を意図的につくり出しているように思います。必要な部分だけにクッションを配置する新しいユニット構造や、空洞をあえて見せる設計、カエル由来の有機的なテクスチャーなど、デザインの衝撃を意識しながら、快適であることを両立させた。これが「2026年のエア マックス観」でしょう。

デビューとほぼ同時に発売されたFRAGMENT DESIGNとのコラボレーションは、リキッド マックスの斬新なキャラクター性を打ち消すようなブラックアウト。いい意味で履き心地をファーストインプレッションにできるし、藤原ヒロシさんらしさも伝わりやすい。UOMO世代のスニーカー好き、ファッション好きに理想的なエア マックスだと思いました。ちなみにスポーツウェア領域に舵を切ってからのエア マックスは、毎年ブラックがラインナップされています。買い逃した人も、似たような黒がインラインで発売されるかもしれないので、動向を追ってみる価値はありそうです。年一で新作が出るということは、買える期間が短いことの裏返し。「2026年のエア マックス」も来年には見かけない稀少種になるかもしれませんね。

小澤匡行プロフィール画像
小澤匡行

「足元ばかり見ていては欲しい靴は見えてこない」が信条。近著に『1995年のエア マックス』(中央公論新書)。スニーカーサイズは28.5㎝。

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