2025年5月に連載「大人がこのスニーカーを買う理由」で紹介した新作を、アクセス数が多かった順にあらためてご紹介。大人が「本当に欲しい」スニーカーがわかる!
BEST5:SAS|MISSION 1 STABILITY
デイリーに履きたいアメリカ軍のトレーナー
「ミスタークリーンのクリ(栗原道彦)さんが、デッドストックや中古の米軍トレーニングシューズをたくさん買い付けたというのでお店で見せてもらい、マイサイズがあったので一足購入しました。アメリカ軍用に開発されたもので、これはSAS(サンアントニオシューメーカーズ)製。パタゴニア マーズやアークテリクス リーフなどもそうですが、スニーカーに限らずミリタリー用につくられたものにはどこかロマンがあって、UOMO読者にも好きな人が多いだろうと思い今回紹介します。
軍用トレーナーとしてはニューバランスの950が有名ですが、だいたいオールブラックでつくられています。このSASのシューズはミッション 1 スタビリティというモデル。2010年代からアメリカ軍に納入されているそうです。日本では無名のSASは、アメリカではMade in USAのシューズメーカーとしてコンフォートシューズに定評があるらしく、モノとしてもしっかりしています。
メッシュアッパーにサロモン風のTPU補強があしらわれ、厚めのソールはヴィブラム製で軽量です。軍モノってしっかり予算をかけて開発しているから、きちんとつくられているんですよね。ブラックにシルバーの配色も今っぽいし、以前から履いてみたいと思っていたのでナイスタイミングでした」(小澤)
BEST4:MIZUNO FOR MARGARET HOWELL|MIZUNO HIKING SANDALS
スニーカー色強めの2WAYで履けるサンダル
「マーガレット・ハウエルとミズノの定例コラボから、今年の春夏に出た新作スニーカーサンダルです。ミズノのインラインにあるウエーブエボークスイッチという、ウォーキングシューズから派生したサンダルをハウエル流にアレンジしています。インラインもとてもよくできているんですが、よりソリッドに洗練されたこちらのほうがUOMO向きかと思ってピックアップしました。
このコラボのベースになっているウエーブエボークスイッチを、ミズノではサンダルと言わず“二刀流シューズ”と謳っています。いわゆるスニーカーサンダルの中でもスニーカー色強めのモデルと、サンダル色強めのモデルがあると思いますが、このハウエルのハイキングサンダルはもちろん前者。
履いてみるとすごく歩きやすくて、甲がオープン仕様ということもあって夏のウォーキングにもよさそうです。踵のストラップを外してミュールにしたときも、シューレースでフィット感が調整できるからホールドされていて踵が浮かず快適です」(小澤)
BEST3:PUMA|DEVIATE NITRO ELITE TRAIL HELIOT EMIL
モードなアプローチが光る気鋭のデザイナーコラボ
「コペンハーゲン発のモノクロームでソリッドな、それでいてスポーティなニュアンスも携えるモード系のブランド、エリオット・エミルとプーマとのコラボレーションです。ディヴィエイト ニトロ エリート トレイルというプーマのハイテクランニングシューズがベースになっていますが、アッパー全体をテキスタイルでカバーして、ブラックワントーンにしているので、ベースモデルがまったくわからなくなっています。
世代的に僕は、プーマと言えばフラットでローテクなバッシュのイメージが強く、ハイテクなランニングシューズはノーチェックで、今までプーマのランニングシューズを履いたことがありませんでした。でも今年は箱根駅伝でも25人の選手がプーマを履いていたそうで、僕が推している立教大学の選手もプーマを履いている人が多かった。最近はランニング市場でもリアルなアスリートに落ちてきている気がして、プーマ、頑張っているなと。
テクノロジーも備えたランニングシューズがこれだけファッション感度の高いものになっているということは、僕が出張スニーカーとして挙げる『走れて日常生活にもマッチする』という条件をクリアしています。プーマは90年代にいち早くジルサンダーとコラボするなど、先鋭的なアプローチに僕もずっと注目してきました。このエリオット・エミルとのコラボはデザインとしても面白いので、ぜひ履いてみたいと思っています」(小澤)
BEST2:VANS|Authentic
ヴァンズはインラインの定番モデルが最強!?
「インラインで普通に売られているヴァンズのオーセンティックです。いろいろトピックはあるものの、インラインでこういう光るスニーカーが見つかるのが、ヴァンズの魅力。おしゃれな人たちは、なんてことのない定番のオーセンティックをサラッと履いているイメージがあります。
多くの場合、ハイブランドや人気ストリートブランドとのコラボモデルがうらやましく思えたりするものですが、ヴァンズはインラインのド定番が普通にカッコイイと思わせてくれます。誰かがオーセンティックの上位コラボを履いていたとしても、『自分は別にこっちでいいし』となるんです。守ってもらえている感覚がある。
今シーズンのこのCREPE PEYOTE(クレープ ペヨーテ)というオーセンティックの新色は、クリアクレープソールとスエードアッパーでこんなに高級感があるのに8,250円という価格。これでいいですよね。こういうのをサラッと品よく履いていたいです」(小澤)
BEST1:CONVERSE|JACK PURCELL 1935
90周年を迎え原点に立ち返った新生モデル
「1935年に誕生した『ジャックパーセル』が今年で90周年を迎えました。それに伴って原点に立ち返りながら、レガシーを大切にするコンセプトのもと新作が発売されることになりました。もともと『ジャックパーセル』は、高級感があって履き心地のよさに定評があったモデルです。今回はその原点でもある1970年代のモデルをベースに、新たに開発したアナトミカルラスト(足のフィット感を追求した木型)を採用して、モデル名も新たに『ジャックパーセル 1935』となって登場します。
もともと『ジャックパーセル』は年代や生産国によって微妙に木型が違うのですが、今回は木型も美しく、土踏まずのアーチをサポートするファイバーシャンクを取り入れるなど革靴っぽい感覚もあり、履き心地がすごくよくなりました。アッパーはキャンバス素材ながらライニングはレザーで、昔ながらの高級感のあるつくりになっている点もすごくいいなと思います。サンプルの時点から見せていただいていたから、完成するのが楽しみでした。
トウガードの長さを内外で変え、カーブ具合もとても美しく、相当力を入れてつくったことがわかります。僕にとって『ジャックパーセル』は制服の足元であり、90年代の裏原宿カルチャーの象徴でもある。いわゆるグランジの文脈で履いたことはありません。大人になった今、新たな気持ちで『ジャックパーセル 1935』を履いてみたいと思っています」(小澤)