新元号が発表された4月1日に誕生日を迎えたヒーローがいる。キン肉マンことキン肉スグルだ。SNSでも温かな祝福に包まれ人気ぶりを見せつけた。作品自体も今年40周年。昭和、平成、そして令和の三時代を駆け抜けるヒーローの誕生は?

「小学4年生のときに中井くんが転校してきて。僕はすでにその頃『キン肉マン(の原型)』をノートにコマ割りして描いていたんですが、『面白いな』と言ってくれた。そこから中井くんも漫画を描くようになって。それが始まりです」(嶋田、以下嶋)

「もともとさほど漫画に興味のなかった僕にその魅力を教えてくれたのも相棒でした」(中井、以下中)

二人で漫画を本格的に描き始めたのは、あの名作『まんが道』(藤子不二雄Ⓐ)の影響が大きかった。

「あの二人のように一つ屋根の下で机を並べて…って光景に強烈な憧れがありました(笑)」(嶋)

10代で「週刊少年ジャンプ」にて『キン肉マン』の連載を開始。初回で異例のアンケート人気上位を獲得。滑り出しは上々だったが競争は苛烈を極めた。

「『キャプテン翼』に『北斗の拳』『ドラゴンボール』…ライバルが多かった。他の作品が盛り上がるタイミングで山場をぶつけたり、つぶし合いでした。すぐ先の展開すら考える余裕がなく、来週のことは来週のゆでたまごがどうにかするだろう、と」(嶋)

「初めてアンケートで1位を取れたのは連載開始から3年後。テリーマンがザ・魔雲天との死闘から生還した『おかえりテリーマン!の巻』でした」(中)

「当時は1位の作品が常に変わった。行きつけの高円寺のとんかつ屋で普通なら並なのに、1位を取ると担当編集が特上ロースかつに豚汁をつけてくれてね。今思えばささいなことだけどうれしかった」(嶋)

テレビアニメにキンケシブーム、その後の爆発的な人気の広がりは、40歳男子ならご存じのとおり。連載終了後は不遇の時代にも苦しんだが、今こうしてあの頃のキン肉マンの“未来”を描いている。

「キン肉マンって闘うたびに仲間が増えていく。“友達がいると楽しい”のは昔から伝えたいテーマ。キン肉マン自身は結構いいかげんなヤツですけど」(嶋)

「あまり友達になりたくない(笑)」(中)

「それでもみんなに好かれてるっていう。40歳を過ぎた読者からもいまだに“友情パワー”って大事ですよねって言われます。友情パワーを描いて、友情パワーで結ばれてる僕らが解散することがあれば失望される。だから描き続けないと。なあ?」(嶋)

「どちらかが倒れるまではね。よく二人はどういう関係ですかと聞かれるけど、親友というのも違って。『超友』って表現がしっくりくる」(中)

「大の大人が“ゆで理論”(現実の物理法則を無視した『キン肉マン』独自のトンデモ理論)を毎週楽しみにしてくれてるのは、不思議ですけども」(嶋)

「キン肉マンってこんな表情するんだとか、今も新しい発見がある。だから長く続けられるんです」(中)

皆の心に愛があるかぎり、キン肉マンはいつの時代もスーパーヒーローであり続ける。


ゆでたまご Yudetamago

漫画家。原作担当の嶋田隆司(写真右)、作画担当の中井義則(写真左)からなる合同名義。ともに大阪市出身。1979年「週刊少年ジャンプ」にて『キン肉マン』の連載がスタート。2011年より新シリーズを「週プレNEWS」で開始。現在も好評連載中。

デビュー当時と比べると絵柄も劇的に進化。「実は当時は筋肉のことを何も知らないで描いていたんですよ(笑)。とはいえ、漫画には噓の部分が必要なので、実は上手すぎてもよくない。あえて絵柄を戻したりも」(中)。40周年記念特別サイトhttp://wpb.cloudpublisher.jp/kinniku_40th/index.phpも絶賛公開中。また「学研の図鑑」シリーズからキン肉マンの全超人を網羅した超人図鑑も発売中。

Photo:Tohru Yuasa
Movie:Toshihiko Egi[Remocon Inc.]

©ゆでたまご/集英社